• 世羅別館のいわれ
  • プロ野球と世羅別館

世羅別館と読売ジャイアンツの関わり

20年ほど昔のはなしです

世羅別館は長年、読売ジャイアンツの宿舎としてご利用いただき、そのことを覚えていらっしゃる方も多いと思います。その他中日ドラゴンズにもご利用いただいておりました。もう、20年ぐらい前の話になりますね。

長嶋茂雄さん(読売ジャイアンツ終身名誉監督)や王貞治さん(福岡ソフトバンクホークス球団取締役会長)、星野仙一さん(東北楽天ゴールデンイーグルス監督)が現役でバリバリ活躍されていた頃のことです。

その当時のおもしろいエピソードなどを思い出しながら、少しずつご紹介していきましょうか。

寄贈 元東京読売巨人軍オーナー 正力 亨

プロ野球選手と年賀状

以前世羅別館に、読売巨人軍と中日ドラゴンズが広島遠征のときは宿泊されていたことはご存知の方も多いと思いますが、その頃は選手の皆さんから年賀状もいただいていました。

特に巨人軍の選手は新人教育の一環からかよく年賀状を頂きました。「巨人軍は紳士たれ」というのはこんなところからも伺えますね。

そのころのことを思い出していて、頭に浮かぶのが江川選手です。

確か2年間世羅別館にお越しになってその後、遠征のときの宿泊先がグランドホテルになったと記憶してます。宿泊先が変わってもしばらく年賀状を下さる方もいらっしゃったのですが、江川さんはスパッとやめられました。何かわかりませんが江川さんらしいとみんなで話したことを思い出します。

もう一人忘れられないのが、星野仙一さんです。いつもご家族の(主に娘さんでしたが)写真入の年賀状をくださいました。随分永くいただいていたのですが、奥様をなくされてからはいただいていません。

奥様が気を配って、世羅別館に来られなくなっても10年以上も年賀状を送って下さったのだなと思うと胸が熱くなります。

星野監督の愛妻家ぶりも当然だったのですね。

熱血漢 星野仙一

プロ野球ファンならこの人を知らない人はもぐりでしょう。

そのくらい有名な星野さんですが最近では珍プレー好プレーの審判に対する抗議の場面ばかりが取り上げられている気がします。

現役のころ(いわゆるONの全盛時代)の星野投手がどうだったかというと正直な話、今とあまり変わらないくらい暴れん坊?でした。ただし審判に対してではなく現役のころの星野投手は自分に対して腹を立てていたような気がします。エースとしての自覚でしょうけど不甲斐ない投球をするとベンチや宿舎で機嫌が悪く近寄りがたい存在でした。

また投手陣のリーダーとしても親分肌で同僚のピッチャーといえども気合の入ってないピッチングをすると宿舎で平手でびんたを食らわしたりしてました。ただ気分転換も上手で湯気を出していたと思ったら怒った若手の投手たちを連れてよく焼肉などを奢っていらっしゃいましたね。

意外と言っては失礼ですけど大変ご家族を大切にされていて年賀状などはお嬢様の写真が入ったものを頂戴したりいたしました。

そんな星野さんですから世羅別館でも大変な人気で「仙ちゃん仙ちゃん」と親しまれていました。今年はカープも中日も調子悪いですけど持ち前のファイトで頑張ってほしいと思います。

ON砲

プロ野球のオールドファンなら説明するまでも無い言葉ですが、巨人が9連覇をしていたころ、3番4番を打っていたのが王選手と長島選手でした。この二人のことを頭文字をとってON砲と呼んでいたわけです。

この二人の人気は人気選手ぞろいの巨人軍の中でも群を抜いていて、カープファンが圧倒的に多かった当時の広島においても、その人気ぶりは別格でした。公園での草野球でも子供たちは争って4番でサードを取り合いましたし、危なっかしいのにバッターボックスで片足を上げてスイングしていました。広島の子供たちにとっても二人はスーパースターだったわけです。

当時の市民球場はカープファン以外は小さくなってないと安心して観戦できないくらい、カープファン一色でしたが、そんなカープファンも巨人戦となれば、カープが3連勝してしかも王と長島のホームランは見たいといった勝手な夢を持っていたものです。

二人は天才として語り継がれていますが、勿論それだけであれだけの活躍ができるわけも無く精進ぶりも人一倍でした。

旅館ですから、畳敷きの和室のお部屋にご宿泊になりますが、お二人の部屋の畳はすぐだめになっていました。もちろん宿舎で素振りを繰り返すためですが、張り替えた畳が一週間もちませんでした。時には、部屋の壁も素振りで傷んでいました。巨人で一番活躍された二人が、一番多く練習されていたような気がします。

現在はプロ野球の球団はホテルをご利用されますが、洋室で素振りできない分今の選手は近くの公園などで素振りをされるようですね。畳替えをする時分になるとなんとなく当時のON砲が懐かしくなります。

広島風お好み焼きと野球選手

野球選手は皆さん、広島風お好み焼きが大好きでした。中には、選手引退後に広島風お好み焼き屋を始めた方もいらっしゃるほど。

巨人の選手も中日の選手もお好み焼きをよく召し上がられました。中日の選手は、「鉄板の上で食べないとおいしくない」と言って、昔の2階建てのお好み村へ、試合後よく食べに出かけておられました。

一方で、巨人の選手はほとんど出前でご注文になっておられましたね。

何だか、両チームのカラーがうかがえる話だと思いませんか?