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itouitou  - ,  07:00 PM

営業のコミッション制はうまくいかない(ただし、短期的な視点で見た場合は別)

営業のコミッション制はうまくいかない(ただし、短期的な視点で見た場合は別)

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Inc.:セールスマンと聞くと、ステレオタイプを思い浮かべるかもしれません。報酬を最大化することにアドレナリンを放出するリスクテイカーたち。縄張り意識の強い一匹狼で、チームプレーが苦手な人たち。95%は生来の怠け者で、目の前に大きなニンジンがぶら下げられた時だけがんばる人たち。

そんなセールスマンもいるでしょう。でも大半の人は、みんなと同じ普通のビジネスマンです。きちんと朝から仕事を始め、ベストを尽くしてがんばっています。彼らは良い仕事をしたいのであり、それに見合う報酬を求めているだけです。

私たちは、自社「Pluralsight」(米国のオンライン教育企業)での経験から、これが真実であることを知りました。Pluralsightは、セールスコミッションを撤廃するという異例の決断を行いました。なぜか? 長期的に見れば、コミッションは悪影響をもたらすからです。以下、短期的には有効かもしれないコミッション戦略が、長い目で見ればうまくいかない「6つの理由」を解説します。


1. コミッションは真のモチベーションとはならない


企業が社員のモチベーションを上げようと考えているなら、それは危険信号です。私たちは、Pluralsightの辞書から「モチベーション」という言葉を排除しました。社員たちが企業の最善の利益を考えているなら、彼らのモチベーションを上げてやる必要などありません。そのかわりに、社員への教育やトレーニングにフォーカスしてください。企業として目指すビジョンを共有し、ビジネス目標をいかに達成するかを共に考えるのです。そうすれば、社員の自主性も高まり、短絡的思考も排除できます。

コミッションを支払う代わりに、私たちはセールスチームのメンバーに対して、業界の平均以上の報酬を支払っています。私は、セールスマンにコミッションという非本質的なモチベーションを与える必要があるとは思いません。PRチームがコミッションを必要としないのと同じです。コミッションというインセンティブがないからといって、誰もセールスに行きたがらないような最悪のケースは想定していません。代わりに、社員全員に最良のケースを想定しています。こうした社員への信頼をベースに、弊社の企業文化は築かれています。


2. コミッションは全体最適ではなく、部分最適である


部分最適とは、企業の一部が自分のことだけにフォーカスして、組織全体としては最良の成果を挙げられないことを指します。これが、個人の営業成績ばかりに注目する多くの企業で起きていることです。例えば、ある月に会社の総売上が下がったとします。あなたはリストを調べ、営業成績が悪い社員を割り出します。そして、売上が下がったのは彼らのせいだと考えるのです。

しかし、実際の問題はそれほど単純ではありません。彼らの営業成績が低かったのは、あなたが月の途中で担当地域を変えたからかもしれません。あるいは、彼らに新人教育を頼んだか、顧客訪問を命じたためかもしれません。さまざまな要因が、セールスマン個人の成績に影響を与えます。ここから学べる教訓は、コミッションベースのメンタリティーは、部分最適を導くということです。事業を伸ばすには、全体最適を目指すべきです。個人の営業成績ではなく、システム全体を見てください。それが長期的な成功につながります。


3. コミッションは個人を非難する。システムではなく


私は、「人」を計測できるとは信じていません。以上。この考え方は、何十年も前に、W・エドワーズ・デミング氏が「14 points on Total Quality Management」で提案したものです。デミング氏の主張の1つに「全社員のノルマを撤廃せよ」があります。彼の原則は「人ではなくシステムを計測せよ」という考えに貫かれています。

私がこの考えを広めようとすると、否定派が必ずこう言ってきます。「計測もしないで、どうやってセールスマンの働きぶりを知るのか?」答えはこうです。私たちは、そんなやり方で個人を計測したりはしない。かわりに、彼らが属しているシステムを計測する。すなわち、システムからのアプトプット、生産されるものの品質、企業目標へのチームの貢献、などを見るのです


4. コミッションは長期的視点を阻害する


コミッションが悪いものなら、なぜこれほど多くの企業が導入しているのでしょうか? 答えは単純です。コミッションは有効だからです。ただし、短期的に見た場合だけ。翌月の業績だけ気にするなら、コミッションは効果があるでしょう。しかし、経営陣は、もっと先を見すえた、効果的なセールスの仕組みを考えるべきです。コミッションは、協力的な文化ではなく、不健全な競争の文化を育てます。それは、企業にとっても顧客にとっても、長期的にはマイナスの効果をもたらします。コミッションとして成績の良い一部のセールスマンにだけ褒美を与えれば、いずれ縄張り意識が芽生え、ほかのセールスマンと協力しなくなり、結果として、システム全体が停滞します。

逆に、コミッションをなくせば、セールスマンたちは、チーム全体の向上という目標に向かって、ベストプラクティスを共有し始めます。理想的なのは、セールスに関わるすべての人が、長期的視点で、チームと企業の利益の最大化を考えている状態です。セールスチャネル全体のアプトプットを継続的に計測すれば、システムがうまくいっているかがわかります。個人の単月ごとの成績を計測する必要はありません。チームがこのことを理解すれば、継続的な改善の文化が築かれます。社員たちは懲罰の恐れから解放され、より重要なことにフォーカスできます。大切なのは、あなたが構築したシステム全体の業績を継続的に計測することです。


5. コミッションは学びに基づかない


コミッションがあなたの会社の文化にマイナスの影響を与えると思ったら、そのことをセールスチームと周囲の関係者に伝えてください。それが、企業をあなたが望む方向へパワフルに前進させる一番よい方法です。私たちがセールスコミッションを撤廃すると思いついたとき、投資家たちはそれはクレイジーだと考えました。6ヶ月前のことです。今では、彼らもこのコンセプトがいかに企業全体をパワフルにするかを理解しています。ただし、この原則への深い理解(それは教育やトレーニングによってもたらされる)がなければ、簡単に元に戻ってしまうでしょう。一部のセールスマンを特別扱いする、コミッションベースのインセンシブの世界に。

時間をかけて、このコンセプトがいかに有効かを理解してもらえば、社員たちも喜んで協力してくれます。私たちは先週、各地の社員をユタ州にある本社に集めて、ワークショップを開きました。私たちがなぜこのやり方を採用するのかを理解してもらうためです。この、「PS CultureCon 2014」と呼ばれる3日間のワークショップでは、デミング氏のコンセプトがPluralsightといかに関わりがあるか、なぜそのコンセプトを採用するのかについて、みんなで議論しました。この試みは大成功に終わりました。ワークショップのあと、セールスチームは、なぜ私たちがこのやり方をするのかを、完全に理解していました。こうした教育は、本質的でない方法によるモチベーションアップよりも、はるかに価値があります。


6. コミッションは顧客のためにもならない


あなたのビジネスが、顧客に最善の利益を提供しないのなら、いずれは失敗に向かうでしょう。コミッションを採用することで生まれる利害の衝突に目を向けてください。例えば、弊社のセールスチームは、12〜18ヶ月で、5人から50人にまで拡大しました。そのための、セールスマンたちの担当業務、担当地区、担当顧客リストは常に変化し続けました。こうした激しい変化がある中で、コミッションベースで報酬を与えていれば、セールスマンたちはどう振る舞うでしょうか? 顧客の利益を第一に考えて行動するでしょうか? コミッションにフォーカスすれば、顧客ニーズを最優先事項にできなくなります。大切なのは、今月の自分の売上だからです。

コミッションを撤廃した結果、セールスチームのメンバーは、仕事に誇りを持ち、楽しんで働いているように見えます。「経営陣が見ている前で、お互いに競争させらている」そんな気分にはもうなりません。企業全体が同じチームに属していると思えたら、社員たちも全体の利益を考えて行動するでしょう。セールスマンも、いかに顧客を満足させるかにフォーカスするはずです。こうした企業文化のシフトが起これば、あらゆる企業で最も重要なことに自ずとフォーカスが当たり始めます。それは、協力して働き、それぞれの事業パートを構築、発展させるやり方を学ぶことです。もちろん、長期的な視点に立って。


Why Sales Commissions Don't Work (in the Long Run) |Inc.

Aaron Skonnard(訳:伊藤貴之)
Photo by Shutterstock.

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