2014年08月31日
8月29日に防衛省の平成27年度概算要求が提出されました。

防衛省:我が国の防衛と予算−平成27年度概算要求の概要−(PDF:4.3MB)

概算要求は各省庁が財務省に提出する来年度予算の見積もりで、12月までに審査が行われて予算が決定します。そのため概算要求と決定した予算では金額の数字が違う事もあるので注意してください。平成27年度概算要ではF-35戦闘機は6機959億円(1機約160億円)が要求され、P-1哨戒機は経費削減の為に一括調達(20機3781億円)などが目立ちます。滞空型無人機やティルトローター機、新型早期警戒機など注目すべき項目が多く、幾つか目立ったものを取り上げたいと思います。

○ 多様な任務への対応能力の向上と船体のコンパクト化を両立させた新たな護衛艦の建造に向けた調査研究(3億円)
 新たな護衛艦の建造に向けて、性能等を確定させるために必要となる調査研究を実施
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フリゲート級の大きさの護衛艦(DE)の研究です。日本版LCS(沿岸戦闘艦)という話もありましたが、LCSとはかなり異なる艦艇になりそうです。

○ 水陸両用作戦等における指揮統制・大規模輸送・航空運用能力を兼ね備えた多機能艦艇の在り方について検討するための海外調査(5百万円)
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強襲揚陸艦です。イメージ図はフランス海軍のミストラル級によく似た乾舷の高い艦が描かれ、飛行甲板上にはオスプレイやアパッチ攻撃ヘリコプターが描かれています。

○ 双腕作業機の取得(2両:0.6億円)
大規模災害等に対応するため、人命救助及び瓦礫等の除去などに柔軟に対処可能な双腕型の作業機を整備し、大規模災害等への対処能力を検証
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日立建機の双腕作業機「ASTACO」を購入します。

○ 将来戦闘機関連事業(412億円)
将来戦闘機に関し、国際共同開発の可能性も含め、戦闘機(F−2)の退役時期までに開発を選択肢として考慮できるよう、国内において戦闘機関連技術の蓄積・高度化を図るための実証研究を実施
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将来戦闘機の要素「主翼前縁部レドーム」

○ 大型艦艇及び島嶼上の脅威に対処する誘導弾用弾頭技術の研究(15億円)
空母等の大型艦艇の外壁を貫徹し、艦艇内部で起爆し、爆風効果で破壊する大型艦艇対処用弾頭及び島嶼上の地上目標等に対し広範囲に高い貫徹力を有する攻撃が可能な地上目標対処用弾頭の研究を実施
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空母撃破用の貫通弾頭は開発中の超音速空対艦ミサイル「XASM-3」用と思われますが、地上攻撃用クラスター弾頭はどのミサイルに実装する予定なのでしょうか。空対艦ミサイルを改修して空対地ミサイルとして使うのか、地対艦ミサイルを改修して地対地巡航ミサイルとして使うのか。後者ならば南西諸島に地対艦ミサイルを前進配備させる際に大きな意味を持つ事になります。今回の概算要求の一番の注目点かもしれません。日本国はクラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)に加盟しているので、条約に抵触しないクラスター弾頭を開発することになります。 ※オスロ条約は一定の条件でのクラスター弾頭を認めている。

1)10個未満の爆発性子弾しか含まない。
2)それぞれの爆発性子弾の重量が4キロ以上である。
3)単一の目標を察知して攻撃できるよう設計されている。
4)電気式の自己破壊装置を備えている。
5)電気式の自己不活性機能を備えている。

以上の条件かあるいは「そもそも爆発性子弾ではない」ならばオスロ条約で許されたクラスター弾頭になります。

○ 艦載電磁加速砲の基礎技術に関する研究
弾丸の高初速化により、従来火砲に比較し、射程、威力の大幅な向上が期待でき、革新的な装備品となる電磁加速砲に関する研究実施に向け、調査を踏まえた技術的成立性に係る検討を推進
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電磁レールガンです。日本が開発する予定のものは小口径で、対地攻撃よりも対空防御が主な役割になります。

○ 高高度領域の高速脅威に対処するための飛しょう体技術の研究(14億円)
現有の地対空誘導弾システムでは対処が困難な高高度領域における弾道ミサイル及び高速巡航ミサイル等へ対処するための飛しょう体技術に関する研究を実施
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弾道ミサイル迎撃用の大気圏外での機動能力を持つ対空ミサイルの研究です。空気の希薄な高度でも向きを変えられるサイドスラスターと推力偏向ノズルです。「高速巡航ミサイル等」とあるのは、将来に登場するであろう高高度を飛来してくる「極超音速グライダー弾頭」や「スクラムジェット巡航ミサイル」を指します。
19時32分 | 固定リンク | Comment (1) | 軍事 |

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  1. クラスター弾頭開発でまたぞろいつもの人達が騒ぐことに、花京院の魂を賭けるぜ!!

    Posted by 名無しОбъект at 2014年08月31日 19:38:43
  2. 新型護衛艦のイメージ映像見て英国のデアリング級を連想してしまったw
    ステルス性や索敵能力を重視したら必然的にこういう形状になるのは分かるんだけど、やっぱり見た目のインパクトが強いね。

    Posted by 名無しОбъект at 2014年08月31日 19:44:58
  3. >1

    自己鍛造弾のスマート対戦車子弾なら10個未満ならオスロ条約で許されてるから、これじゃないかな?

    でも敵上陸部隊への攻撃は普通のクラスター弾の方が効果的なんだよなぁ・・・

    Posted by 名無しОбъект at 2014年08月31日 19:50:19
  4. 日立のダブルアーム・・・かなり使いづらいて聞くが・・・災害時なら結構役に立つもんなのかね。

    Posted by 名無しОбъект at 2014年08月31日 20:04:45
  5. >艦載電磁加速砲の基礎技術に関する研究

    25日の朝日新聞にリニアの技術は軍事用に転用できると書いてあったが・・・ズバリだな

    平和と発展の研究を軍事用に転用するのはさすがに許されることじゃない

    Posted by 名無しОбъект at 2014年08月31日 20:09:59
  6. 双腕、単純で1台3000万か
    配管・電磁弁・コンピュータてんこ盛りなのに、過酷な現場で使えるもんなんだか サービスマン大変だな

    Posted by 名無しОбъект at 2014年08月31日 20:27:05
  7. 機動戦闘車向けの予算は今回はつかんのか。
    10式は13両分の予算が付いたが、結局何両配備されるんかな?
    キドセンは、C2の調達が大分減ったようだが、これで、空中機動力が阻害されたりしないんだろうか?

    Posted by 名無しОбъект at 2014年08月31日 20:27:20
  8. >>5
    >>平和と発展の研究を軍事用に転用するのはさすがに許されることじゃない

    寝ぼけてますか?
    その平和と発展を他国の脅威から守るために軍事技術がある。

    そもそもTRDIのリニア技術の研究は”転用”か?
    最初から軍事用に研究されてたものだったと思うが。

    Posted by 名無しОбъект at 2014年08月31日 20:30:07
  9. >5

    リニアモーターカーとリニアレールガンの技術は全く別物で、朝日新聞の知能の無さが光るだけ。つか超伝導じゃないぞこれ。

    Posted by 名無しОбъект at 2014年08月31日 20:30:35
  10. >8
    どうせネタだから触れてはならぬ

    Posted by 名無しОбъект at 2014年08月31日 20:49:09
  11. 双腕重機は…テレビ映えしますから……(震え声)
    個人的にはアオシマあたりにプラモ化してほしいものであります

    Posted by 名無しОбъект at 2014年08月31日 21:21:26
  12. >>6
    >>配管・電磁弁・コンピュータてんこ盛りなのに、過酷な現場で使えるもんなんだか

    過酷な場所で使うこと前提で開発されているから問題ないのでは?
    現役だと消防あたりとか。

    Posted by 名無しОбъект at 2014年08月31日 21:28:03
  13. >対地クラスター
    広範囲に高い貫徹力を有すると言っているので非爆発系の徹甲弾タイプかな?

    Posted by 名無しОбъект at 2014年08月31日 21:41:49
  14. >13

    自己鍛造弾の子弾でも自己鍛造の過程で爆発するので、10個未満じゃないと条約に触れる。9個で効果あるかなぁ・・・戦車部隊に打ち込むなら意味はあるけど、歩兵部隊ではあまり意味が・・・

    Posted by 名無しОбъект at 2014年08月31日 21:47:50
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