へっぽこぺけぴの冒険の書

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「うわっ　頭の上すっごい蛾が群がってる」

メギストリス高等学校
頭が悪くても顔が良ければ入学できると言う全国屈指の顔面偏差値を誇るこの高校において
トップクラスの女子人気を誇る男、名をぺけぴー
ピシッと制服に身を包んだその佇まいは余りに気高く
まさに誘蛾灯の如く世の女性を惹きつける圧倒的雄度


「誰だ！本と本の間にかんだガムつけたやつ！」

図書室での一コマ
やはり最強イケメン、ただそこに立つだけでどんな日常の一コマもまるで絵画のような高級感を漂わせる

「ふっ…俺を差置いてイケメン気取りとは…笑わせるじゃないか、ぺけぴー」

「お前は…」


「ドｗｗｗｗドｗｗｗｗドリイコプｗｗｗｗ」

「やはりお前か、イコプ」

男の名はイコプ　ぺけぴーに勝るとも劣らないイケメン力を誇る永遠のライバル
彼が優しく呟くポエムは蒐集家の間では非常に高レートで取引され、
これを手に入れんが為に私財を擲つ熱狂的なファンも少なくないのだとか

「ぺけぴーよ、今日はお前に折り入って頼みがあってきたんだ」

「どういう風の吹き回しだい　人に頭を下げるのがズワルドの次に嫌いなお前が」

「背に腹は代えられないってヤツさ。
　これから合コンがあるんだが面子が足りないんだ。来てくれないか？」

「ふむ、相手は？」

「とーべんに、おもちだ」

「なっ…！」

先に述べたように、数多の学校の中でも随一の顔面偏差値を誇るこのメギストリス高等学校
その中でも特に群を抜いているイケメンツートップがぺけぴーとイコプならば
レディーサイドのツートップ、美少女オブ美少女　それがとーべん、そして、おもちの二人だ
言うまでも無く男性人気はエベレストよりも高い
何故か全身から醸し出される『おかあさん』の雰囲気がたまらないのだと言う

「イコプ、なんてヤツだ…あの二人と合コンの約束を取り付けるとは…恐れ入ったよ」

「なあに、まだ俺たちはスタートラインになったばかりさ、そうだろう？
　いこうぜ、アツく燃え滾る恋という名のラビリンスへよ」

「ああ、ガソリンは常にハイオク満タンだぜ」

「俺たちにブレーキは必要ねえ。アクセル全開フルストットル、ターボも忘れるなよ！」

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───待ち合わせ場所にて

「おもちです」

「とーべんよ」

「すげえ…！ははっ…！本物だ…！」

「美しい！スゲェ美しいッ！百万倍も美しい！」

噂に違わぬ圧倒的美貌を前に、ぺけぴーとイコプは思わず息を飲む

とーべんはもはやアフロディーテの生まれ変わりの如し　筆舌に尽くし難い妖艶さを全身に纏わせていた
しかし同時にうんこをこよなく愛するという穿った趣味の持ち主　まさに美と醜のアンビバレンツ

そしてもう一人おもちも自慢のトランジスタボディをこれでもかと強調し、僕らの心を強くビブラートする
いつでもどこでも寝れるという無防備極まりないそのスキルを前に何人の男が正気を保っていられるか
愛らしいルックスとは裏腹の魔性を秘めたビューティーモンスターだ

「写真撮ろう！写真！」

「値千金の一手だ、イコプ…！」

我々が浮き足立つのもむべなるかな
とりあえず落ち着きを取り戻すための時間を確保することが先決と判断したイコプは、写真撮影を提案
同時に思い出のスナップも取れるという、一度に複数の効果を挙げる匠の一撃である


「はいチーズ、サンドイッチ！」

待ち合わせ場所で有名なトロルバッコスの前での記念撮影
きっとこの写真は私にとって未来永劫の宝物となろう…ってイコプなにそのポーズ

「新しいしぐさだよ」

「何それカッコ良過ぎるこうしちゃいられないすまないみんな私行ってくる！」

「え！ちょっと！」　「なになにどうしたの」

「ぺけぴー！戻って来い！ぺけぴーーーー！！！」

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「これが私の真なる気持ち、その一番絞り。くうっ、なんという喉ごし」

美女との楽しいひと時をかなぐり捨て、更に強い欲望に身を任せたぺけぴーが辿り着いた地平
10万ゴールドを擲ち手に入れたロマン、胸中を満たす満足感　ユートピアは、ここにあったんだ───

「へっ、そんなことだろうと思ったぜ、ぺけぴー…！」



「イコプ…なぜここに…」

「分かっちまうのさ…お前の考えること、手に取るようにな。
　美しいポーズじゃねえかよ…流石は俺の永遠のライバルだ」

「とーべん、おもちの両女史は？」

「子供のご飯を作る時間だって言って帰った」

「大事だね」

「イコプ！ぺけぴー！」

「やや！この嬌声はもしや！」


「アストルティアに咲く！情熱の！赤い薔薇！！」

「イーリス！イーリスじゃないか！」

「さあ踊ろうレッツダンシング今夜はトゥナイト！パーティタイムの始まりよう！！」

「やらいでか！やらいでか！」

「役者は揃った！オウオウオオウ！オウオウオオウ！トゥギャザーしようぜ！！」


「アゲてけアゲてけーい！！」

「うおおおお恋の四次元殺法は透過誇大妄想と幻想的サーヴェッジの交差点で巻き起こる！！」

「在るのは臆病は自尊心か！？はたまた尊大な羞恥心か！？」


「ばっきゃろこんにゃろーめ！こんな制服なんて間怠っこしいもの着てられるかああああキャストオフ！！」

「ふふ、それでこそぺけぴー！私の認めた私だけのジュノンボーイ」

「妬けるぜお二人さん」


「イーリスッ！ひとつだけ忠告しておこうッ！
　貴女のスカートがシルフィードの悪戯により舞い上がりて、サンクチュアリの扉が今開かれんッ！」

「見せてんのよ」

「ほう、どれ」


「えっこれ大丈夫？ズレてない？シルクロードが蛇行しちゃってない？
　イーリスの大事なアヴァロンがアーサー王に発見されちゃってない？アワビ食べたくなってきた」

「そういうぺけぴーこそ、股ぐらのげんこつダケがあわや日輪棍の様相を呈しているわよ」

「しずまれい　しずまれい」

「ありがとう海の幸、ありがとう山の幸」

「自然の恵みに感謝」

「さてそろそろ寝るよ明日も早いんだ」

「寝よう」

「寝よう」

おわり。