日本を始めとした先進国で共通の課題となっている社会福祉。特に日本は急激な少子高齢化の進展のために、一刻の猶予もない状態です。
この社会保障制度をどうやって持続可能にするのかが、先日の「みんなの日本2050」-八代尚宏講師(国際基督教大学客員教授)のテーマでした。
(みんなの日本2050についてはこちら)。
最新の高齢社会白書によると、日本の高齢化率は2050年には38.8%。65歳
以上の方1人を現役世代(15歳から64歳)1.3人で支えることになります。
では、その高齢者を支える国民年金制度は現在どうなっているかというと、納付料が年間約18万円であるのに対して、給付額は年間約77万円となっています。保険料の納付期間が40年、年金の支給期間が20年としても、納付料の倍も受け取る計算になります。この差額は国の財政で負担しています。
ここで私たちが考えなければならないことは、その「財政負担」の中身。
皆さんもご存じの通り、いまや国家予算の歳入の半分近くは借金で(平成26年度一般会計予算では43%)、歳出の多くは社会保障関連費です(同31.8%)。先日出揃った来年度予算の概算要求も総額約101兆円と、過去最高になる見込みです。
国債による歳入は社会保障費に直接充てられるわけではありませんが、お金に色は着けられないので、将来世代から借金をして社会保障費を工面していることに違いはありません。
これを若者の立場から見ると、いわば自分たちや、将来の子供たちのクレジットカードを使って、祖父母が買い物をしているような状態なのです。
現役世代が減っていくなかで、現状の社会保障制度を維持することはもはや不可能。今すぐにでも根本的な改革をすることが必要とされています。
社会保障に関わる改革は、医療や介護、子育て支援など多岐にわたります。しかし、どの分野の改革でも共有すべきなのは、これまでの「福祉」から「サービス」産業への転換という視点です。
もちろん最低限の生活保障を行うことは国の義務ですので、福祉の観点を完全に捨て去ることはできません。
しかし高齢化の進展や働く女性の増加は、社会保障の分野を成長産業にします。そのときに厚生労働省が引き続き市場を独占し、配給するようなやり方では、変革は不可能です。
過剰な補助金を廃止し無駄な規制を撤廃すれば、民間企業が参入し、競争により安くて質のいいサービスが提供されるようになります。国の財政的な負担も低減されます。
これまで十分な改革が行われてこなかったのは、高齢者に痛みを強いる改革は選挙で票が取れないからです。しかし選挙を恐れるあまり、眼前の重要な課題から目をそらして将来世代に付けを回し国民全体を沈没させるような現状は変えなくてはいけません。自分たちが孫のクレジットカードで生活をしていることを認識してもらえるよう、政府・国会議員が明確に伝えて行ければ、高齢者も大幅な改革を受け入れてくれるはずです。そう信じています。
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- 2014年08月30日 11:50
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