韓国が軍事政権時代(1960〜80年代)のころは政治的自由や言論の自由が制限されていたため、野党や反政府派の人たちは海外に出かけて時の政権を非難した。外から国内政治に影響を与えようというわけで、国際的にはいわゆる亡命政治家などがよくやる手だ。韓国にとって隣国の日本は昔からその有力な舞台だった。現代史でいえば、そんな野党政治家の中から金泳三、金大中両氏が後に大統領になっている。
この夏、韓国マスコミには多くの訪韓日本人が登場したが、そのほとんどは日本の野党・反政府派の人たちだった。みんな韓国を応援し日本を非難するものだから、韓国の昔のことを思い出した。「まるで日本の韓国化だな」と。
日本では政治的自由や言論の自由は制限されていないから外国にまで出かけて日本非難をやる必要はないのだが、外務省出身の評論家、孫崎享氏などは韓国紙とのインタビューで「(自分を含め)安倍(晋三氏)批判の知識人の発言機会が減っている」と、日本について不満を語っている。この夏、韓国で安倍政権批判をぶって人気だったのはこの孫崎氏と村山富市元首相で、2人とも韓国政府の強力な反日政策研究・推進機関である「東北アジア歴史財団」にアゴ足つきで招待されていたのだった。(黒田勝弘)