近現代史施設:花博建物の転用検討 大阪市と府が共同設置
毎日新聞 2014年08月29日 15時27分(最終更新 08月29日 16時30分)
大阪市の橋下徹市長が大阪府との共同設置を目指す近現代史の学習施設について、市が今年3月に閉館した「市立環境学習センター」(鶴見区)の建物の転用を検討していることが分かった。展示テーマは東京裁判(極東国際軍事裁判)を軸に検討中で、市は年度内に基本構想をまとめ、2016年度中の部分開館を目指す。ただ市議会の野党会派は「大阪市が施設をつくる必然性がない」としており、難航が予想される。
新規建設には数百億円が必要で、市は既存施設の転用で費用や工期の圧縮を図ることにした。環境学習センターは、鶴見緑地で1990年に開催された「国際花と緑の博覧会」のパビリオンを利用して97年に開設した。「生き生き地球館」の愛称で地球環境や生態系を映像や模型で紹介していた。市関係者によると、旧「なにわの海の時空館」(住之江区)なども候補だが、環境学習センターは設備が新しく、床面積も約2400平方メートルあり、有力という。
市は監修責任者に日本政治外交史が専門の北岡伸一・国際大学学長を招いて展示テーマや候補地の検討をしている。施設では戦時中の日本の指導者がA級戦犯として裁かれた東京裁判の場面再現などを想定している。
当初、市は基本構想を今夏にも策定し、来夏に東京裁判をテーマにした先行展示会を開く予定だった。しかし5月議会で公明、自民など野党が「国が整備すべきだ」などと反対して関連経費を全額削除した。
橋下市長は「近隣諸国と冷静に議論するために、教科書以外で体験できる施設が絶対必要だ」などと東京裁判に着目した施設をつくることについて説明していた。来年度の当初予算案に事業費を再計上する方針だ。【茶谷亮、寺岡俊】