【社説】遺族の心の傷えぐるデマ、流した者に厳罰を

 ソウル中央地裁は29日、インターネットのあるサイトに「セウォル号が沈没する直前、船内では犠牲者たちの間で不適切な関係があった」という虚偽の事実を書き込んだとして、26歳の男性に懲役1年の実刑を宣告した。また「セウォル号沈没現場では、責任者が救助や遺体の収容を邪魔していた」などのデマを今年6月からカカオトークなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を通じて広めたとして、30歳の男性に対しても懲役1年の実刑を宣告した。

 現在、セウォル号沈没事故の遺族を最も苦しめているのは、これらの根拠のないデマや数々の誹謗(ひぼう)中傷だ。事故後、警察に届けられた遺族への名誉毀損(きそん)や侮辱行為などの事案は89件に上り、警察はその中の66件について起訴が妥当として検察に送致した。ところが警察の取り締まりにもかかわらず、最近はセウォル号にまつわるこの種のデマや誹謗中傷が一層深刻になっている。

 先日からネット上では個人のホームページやツイッター、カカオトークなどを通じ「セウォル号沈没事故の遺族は、犠牲者全員を国家有功者や義死者(職務外の行為として他人の生命・身体・財産を救おうとして死亡した人物)に指定するよう求めている」「遺族らはすでに巨額の補償金を受け取った」などの書き込みが急速に広まっている。ところがこれらはどれも事実とは異なる。与野党の一部議員が提案しているセウォル号関連の法案に記載されている内容が、あたかも遺族が要求したかのように誤解されていることから、遺族を非難する書き込みが相次いでいるのだ。中には「遺族は補償金目当てで抗議行動を続けている」「遺体を商売に利用している」といった非常に悪質なものもある。事故で息子や娘、父母兄弟を失った遺族のつらさを考えると、絶対に口にしてはならない言葉ばかりだ。

 問題はこれだけにとどまらない。756の団体で構成された「セウォル号惨事国民対策会議」には、2008年の狂牛病(牛海綿状脳症〈BSE〉)問題をめぐるろうそくデモ、韓米FTA(自由貿易協定)反対の抗議行動、さらに済州島海軍基地建設反対闘争などに顔を出してきた活動家や団体がまたも加わっている。彼らはセウォル号問題を政府・与党に対する闘争につなげるために、ありとあらゆる扇動を執拗(しつよう)に行っている。一部では「セウォル号は西海(黄海)で訓練中の米軍潜水艦と衝突して沈没した」といったとんでもないうわさも事実であるかのように広められている。彼らは「遺族のことを心配しているのは自分たちだけ」とでも言いたいような言動を並べ立てているが、その意図するところは、この問題をきっかけにかつてのような大規模反政府デモへとつなげたいだけだ。

 遺族が痛みを乗り越えて再び日常に戻れるよう支援することは、韓国社会の構成員全員に投げ掛けられた大きな課題だ。遺族をあざけり、中傷し、根拠のないうわさを広める行為は、言うまでもなく反社会的でなおかつ甚だしく人倫に反している。韓国社会の共同体の基盤を根本から揺るがすこれらの行為は絶対に見過ごしてはならない。

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