- 作者: 下川裕治
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/11/16
- メディア: 新書
- 購入: 7人 クリック: 129回
- この商品を含むブログ (53件) を見る
この本は、日本ではなくアジアの街でひきこもる外こもりの若者たちを描いたルポです。タイ、バンコクのカオサンを中心として、多くの人物が登場し、外こもりにいたった背景やその生活の実態が詳しく記されています。
短期間の間に集中的に日本で働いたり、生活保護を受けながら、タイなどのアジアで暮らす。そんな人たちが主役です。それぞれ事情を抱え、外こもりに行き着きます。
目次が内容を物語っているので、目次を載せておきます。
序章 旅から外こもりへ
第一章 東京は二度と行きたくない
第二章 人と出会える街
第三章 ワーキングホリデーの果てに
第四章 留学リベンジ組
第五章 なんとかなるさ
第六章 これでいいんだと思える場所
第七章 死ぬつもりでやってきた
第八章 こもるのに最適な環境
第九章 帰るのが怖い
第十章 ここだったら老後を生きていける
第十一章 沖縄にて
付章 ラングナム通りの日本人たち
- 日本を降りる若者の実態を知りたい人
- アジアでの外こもりに興味がある人
- 日本社会の息苦しさについて考えてみたい人
全員が日本嫌いだった。正確にいえば、皆、日本の仕事を嫌っていた。日本という国に生きづらさを感じてしまった若者たちだった。
外こもりしている多くの人に共通する特徴です。余白や遊びと言えるものの少ない日本社会に疲れてしまうのです。そして、人それぞれ紆余曲折を経て、日本ではないアジアにたどり着きます。
著者はこうも記しています。
外こもりとは、突き詰めれば日本社会からの逃避である。
全くそうだと思いました、しかし、それで救われるとしたらどうだろう。この本を読んでいるとなんとも言えない気持ちになりました。
では、いったいなぜタイといったアジアなのか、その疑問に対する簡潔な答えはこちらではないかと思います。
日本人にアジアはとことん優しく映るようだ。(中略)とろけるほどの居心地のよさですっと心と体に入り込んでくる。
もちろん魅了のされ方は1人1人違います。しかし、日本とは違う時間の流れ方、ほっといてくれるお国柄に自分の居場所を見つけてしまうのです。
衝撃的な内容で、私は読後未だにいろいろ考えてしまっています。
いくつもはてなマークや、えっ?という疑問がわいた方は、読んでみるといいでしょう。日本社会について、考えるきっかけも与えてくれます。
日本を捨てた男たち フィリピンに生きる「困窮邦人」 (集英社文庫)
- 作者: 水谷竹秀
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2013/11/20
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログを見る