【ロサンゼルス=共同】福島第1原発事故で、原子炉を冷却するため海水を注入した際に発生したとみられる放射性硫黄が、米カリフォルニア州で観測されていたことが分かった。ごく微量で健康には影響のない水準。カリフォルニア大サンディエゴ校の研究チームが15日、米科学アカデミー紀要電子版で発表した。
観測されたのは2種類の硫黄酸化物で、いずれも硫黄35を含んでいる。サンディエゴの大気を観測する施設で3月下旬から4月初めに高い値が確認された。米メディアによると、ピークの3月28日には通常の2~3倍となり同施設による観測史上の最高値を記録した。
同チームは、海水に含まれる塩素が中性子と反応して硫黄35が発生し、水蒸気とともに大気中に放出されて風で運ばれたとみている。
西海岸など米国各地へは、福島第1原発の事故で発生したとみられる微量の放射性ヨウ素などが到達。カリフォルニア州では牛乳からも見つかっている。
福島原発