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旧・サモナーは最弱?いいえ、チートです 作者:佐藤辰也

0012

 森の中を突き進む。
 目的である、妖精と出会うためだ。
 森の中は見通しが悪く、何時どんなモンスターと出逢うか分からない。
 しかし、その心配もフェンリルとラビットのおかげで大分軽減されている。
 フェンリルの持つスキル嗅覚探知とラビットの持つスキル危険探知のおかげで、敵が気付く前に発見できる。
 なるべく敵とは戦わない様避ける様にして移動している。
 そのかいもあって移動はスムーズに済んだ。
 索敵をしながら移動して、暫くすると目的の妖精を発見した。
 妖精の数は3匹。
 予想した通り、妖精はかなり小さかった。
 距離があるのではっきりとは言えないが、15から20㎝くらいだろう。まるで動くフィギアだ。
 数の上では同じだが、戦うにはラビットが厳しいだろう。
 ラビットのレベルが攻めて5あれば何とかなったかもしれないが。
 妖精が別れないか、様子をじっと見た。
 妖精達はじゃれ合っていてとても楽しそうだ。
 見ていて和む。
 おっと、鑑定しておこう。

 ピクシー Lv1 ピクシー Lv1 ピクシー Lv2

 む、レベル2がいるのか。そいつとは戦わないようにしないとな。
 しかし、ピクシー達にも性別があるんだな。
 女性型が2匹、男性型が1匹だ。
 もしくはそういう風に見えるだけかもしれない。
 暫く見ていると、妖精の近くに蝶が飛んできた。
 するとピクシーの1匹が、蝶を気に入ったのか、一緒に飛び始めた。
 蝶はその場から離れ、奥へと進む。
 すると一緒に飛んでいたピクシーもその後を追掛け始めた。
 これによって、2匹と1匹に上手く分かれた。
 これはチャンスだと思い、1匹の方を追掛けた。
 暫く進むと、蝶が木に止まっていて、その周りをピクシーが飛んでいた。
 2匹とはだいぶ離れていて、戦闘をしても駆けつけては来ないだろうと判断した。
「フェンリル。あいつは契約できるか?」
 フェンリルをじっと見ると、首を縦に振った。
「よし、なら契約しよう。フェンリルとラビットは牽制してくれ」
 木陰から出て、ピクシーに近付いた。
 ピクシーに近寄ると、こちらに気付いた。
 ピクシーは警戒するどころか、俺に近寄ってきた。
 そして、俺の周りを飛び始める。
 危険な気配が無いのを感じ取ったのか、フェンリルとラビットは特に何もしなかった。
 ピクシーって全員こんな感じなのか、それともこいつだけそうなのか、それは判断できなかった。
 しかし、コントラクトを使うのには丁度良かった。
「コントラクト」
 ピクシーを対象に選び実行した。

 《コントラクトに成功しました!名前を付けてください》

 おっと、1発で成功か。
 成功する要素は何だろうな。
 ただ単に確率?
 まあ、いいや。
 そんな事より名前だ。
 妖精と言うと花を思い浮かべるな。
 花関連の名前にするか。
 花っていうとすぐに思い浮かぶのは薔薇だな。
 薔薇だと、ちょっと名前にするにはおかしいか。
 呼び方を変えてローズ。
 これだったら、おかしくないか。
「よし、お前の名前はローズだ」
 そう名付けるとローズは喜んでいた。
 さて、ステータスはどんなだ。

 種族 ピクシー ローズ Lv1

 筋力 8
 耐久 6
 敏捷 12
 器用 11
 知力 14
 精神 12

 スキル
 風魔法 1 回復魔法 1

 魔法が使えるのか。しかも回復魔法も。
 ステータスも魔法寄りだし、こいつは後衛だな。
 そう言えば、回復魔法のスキルとって無かったな。
 どうするか。うーん、ローズが使えるから保留にするか。

 《召喚できる数を超えています。送還します》

 ローズは回復役としていて欲しいから、ラビットを還してローズを呼ぼう。
 ラビットとローズを入れ替えた。
 さて、これで目的は果たしたから戻るか。
 あれ?なにか忘れているような。なんだろう?
 うーん、あっ、そうだ。
 ここ、魔力草が採れるんだった。
 帰りながら魔力草を探して採って行こう。
 帰る時魔力草を探しながら歩くと有るわ有るわ、もう、取り放題。
 魔力草だけでなく薬草もいっぱいあった。
 取れるだけ取ることに決めた。

 《採取のレベルが上がりました!》

 お、採取が上がったか。上がるような事を久しぶりにしたから漸くだな。
 取れる品質は薬草はE-か悪くてもF+で、魔力草はFかF-しか取れなかった。
 ラビットがいなくなったからフェンリルだけに警戒してもらっていたが、上手くモンスターと遭遇することなく森を出ることが出来た。
 出る頃に取った数は薬草が58個でF+が9個、E-が49個、魔力草が43個でF-が18個、Fが25個だった。
 後で調合しておこう。
 森を出て、見晴らしが良くなったので、ここで休憩を取ることにした。
 昼食と言うには大分時間は過ぎていたが弁当を取り出し食事をした。
 食事を済ますと、街に戻り冒険者ギルドに向かった。
 取り敢えず手入れたアイテムを売り払いたかった。
 ティアに手に入れたアイテム、狼の大牙、コボルトの牙、コボルトの毛皮を買い取ってもらった。
 その金額は200Gで内訳が狼の大牙が120G、コボルトの牙と毛皮が40Gづつ。
 これでまたお金が増えた。
 しかし、今の所お金の使い道が無いんだよな。
 どうするか。相談に乗ってもらうか。
「ティアさん、ちょっと相談があるんですがいいですか?」
「相談ですか?なんでしょう?」
「お金の使い道です。今、35000G近くあるんですが、いい使い道有りませんか?」
「贅沢な悩みですね。装備品はどうです?」
「それは今の所大丈夫です。現在買える最高の武器は買いましたから」
 手にしているミスリルロッドを見せた。
「確かに最高の武器みたいですね。防具はどうですか?」
「後衛の俺が防具を買い替えてもあまり効果はありませんから」
「それでも、買い替えておいて損は無いと思いますよ」
「そうですね。その内、という事で」
 そういうと、ため息を付かれた。
「それ以外となりますと、どんなのがいいんでしょうね。35000となりますとかなりの大金になりますし。部屋を借りるというのはどうです?」
「部屋を?」
「ええ、貸出部屋を借りれば、宿に泊まるより安上がりですよ」
「それだと、料理を自分で作るか、買うために出かけないといけないからな。料理が苦手な俺にはちょっとね」
「料理が出来ると女性にもてますよ?」
「パス。人には向き不向きがあるよ」
「そうなりますと、そうですね……。お店を借りるというのはどうです?」
「お店?借りられるの?」
「ええ、借りられますよ。リョウさんは調合のスキルを持ってます。それで薬を作って売るというのはありだと思います。リョウさんの作るポーションの質は悪くは無いですし。それにまた、ポーションがいつ不足なるのか分かりませんから、ポーションが確保できる場所が増えるのは歓迎します。経営に付きっ切りになりたくないと言うのでしたら、従業員を雇えばいいですし」
 今は落ち着いているが、それでも今までに比べるとポーションの在庫が少ないらしい。
 ある一定の人数が買い溜めをしだしたら、またポーション不足になってもおかしくないそうだ。
 現に、その事件をきっかけにプレイヤーは今までよりポーションを多めに持つようになったそうだ。
「店を持つ、か。店の経営は面白そうだな。失敗しても持ち金が無くなるだけだしな」
 お金を稼ぐ方法は何とでもなる。
 クエストを受けるなり、あの薬局での依頼を受けてもいいし。
 お金が無くて困るってことは無いだろう。
「どうです、やってみませんか?」
「よし、やってみるか」
「さすがです、リョウさん」
「で、何処に行けばいいんだ?」
「ちょっと待って下さい。紙に書きますから」
 ティアは1枚紙を出し、それに地図を描き込んでいく。
「はい、ここに向かってください」
 差し出された紙を受け取る。
 見ると現在地である冒険者ギルドと目的地までちゃんと描かれてある。
「ありがとう。早速向かってみるよ」
 地図を手に外へ出る。
 地図を頼りに目的地に向かうとすぐにその場所に辿り着いた。
 目的地にある建物はそれほど大きくない。と言うか小さい。
 ここは不動屋である。
 入ってみると男性が1人いた。年は40代前半と言う感じ。
「いらっしゃいませ。今日はどんな物件をお探しでしょうか?」
「お店を借りられると聞いて来たんですが」
「ええ、貸し出しています。お客様お1人で経営を?」
「いえ、従業員を雇って経営をしようかと」
「そうですか。ご予算はいかほどでしょう?」
「えーとですね。従業員を雇うのにいくらくらい掛かるか分かりますか?」
「そうですね。相場から言いますと1月5000Gから10000Gの間ですね」
「となると、5000Gと考えて30000G。そこから10000Gは残して置きたいから20000G位ですね」
「そうなりますと、少々お待ちください」
 男性は手元にある台帳を捲り始めた。
 そしてしばらくして、その動きを止めた。
「2つ物件があります。1つ目は小さいですが、大通りから少し外れた場所にあります。お値段は18500Gです。2つ目は町から外れてますが大きなお店です。お値段は13000Gです。どうでしょう?」
「その2つ見る事は出来ます?」
「ええ、勿論です。どちらから見ますか?」
「近い方から」
「ちょっと待って下さい」
 男性は店の奥に行き、戻ってくるときには手に鍵を持っていた。
「では、行きましょう」
 まず、向かったのは大通りから外れた裏通りにある小さな店だ。
 歩く事10分で着いた。
 その店を見た感想は、ちっちゃ!!
 お店の横幅は3m、いや、2mくらい、人が2人並べば限界なほどだ。
 中に入ると、人が10人が限界くらいの広さだった。
 勿論カウンタースペースを入れての広さだ。
 奥には部屋があり、そこから2階へ行ける階段がある。
 上がってみると6畳か5畳くらいの部屋になっており、ここが居住区になっている。
 正直言って狭すぎる。
 しかし、個人経営するには丁度いいのかもしれない。
 立地もちょっと悪いが、人はそれなりに通るし、開けばそれなりにお客が入りそうだ。
 これで18500は悪くは無いかもしれない。
 続いてもう1つの方へ向かった。
 向かった場所はどんどん町の中央から外れ人気のない方へ行く。
 ついた場所は本当に町のはずれで人気は全くない。
 周りにも建物は殆ど無く、ポツンと建っている。
 しかし、大きさはかなりの物だ。
 外から見ただけでも大きい建物で冒険者ギルドの3分の1くらいはありそうだった。
 中へ入ると売り場スペースは30畳か、それ以上のスペースがある。
 カウンターも大きく2・3人いても問題ない。
 奥のスペースが倉庫と鍛冶場があった。
 なんでも前の借り手が鍛冶職人であったらしく、鍛冶場を作り、自分で鍛冶を打って品を売っていたそうだ。
 これは魅力的だった。
 鍛冶には興味を持っていたのだ。
 その内鍛冶スキルを取って、鍛冶を学ぼうと思っていた。
 今なら、鍛冶スキルを取れるだけのポイントはある。
 鍛冶スキルは4ポイントだ。
 しかし、今鍛冶スキルに手を出すのはやめとこう。
 鍛冶と調合を両方を使いこなすのは無理だろう。
 せめて調合のスキルを使いこなしてから鍛冶に手を出すべきだと思うから。
 そう決めると、ここを借りるのはやめた方が良いだろう。
 ここは人気が無さすぎる。プレイヤーもこんなところにわざわざ来ないだろうし。
 もし、ここを借りる場合、もう1つの方で常連の客が出来てからここに移った方が良いだろう。
 いや、その時は借りるより買った方が安く済むかもしれない。
「あの~、ここを買う場合いくらになりますか?」
「買っていただけるんですか!?」
「値段によってですね」
「お値段はですね、100万と言いたいところですが。見ていただいたとおり、町の中心から離れていて人気もありませんからね。以前80万で売りに出したのですが、全く話にもなりませんでした。もし、買っていただけるのでしたら、思い切って50万でどうでしょう?」
「50万か。因みに、最初に見た方のお店だといくらになります」
「あちらですか。ああ見えて、意外と借りる方はいます。あちらでしたら120万でお売りしましょう」
「もし、同じ大きさで大通りに面していたら、いくらになりますか?」
「最低でも200万はしますね。あとは物件と立地によって値段が変わりますので」
 高い、と判断するのは間違えなんだろうな。売りに出す品物によってだろうが、多分それくらい出してもすぐに元は取り戻せるんだろう。
 それに立地とか悪くても品が良ければ利益は出せるはず。
 まあ、最初の内は苦労すると思うけど。
「それでどうなさいますか?」
「うん、最初のお店を借りるよ」
「そうですか、ありがとうございます。それでは一旦戻りましょう」
 不動屋に戻ると、男性が紙を持ち出してきた。
「こちらは契約書になっております。確認して問題なければサインをお願いします」
 契約内容を見て、特に問題がなさそうなのでサインをした。
「確かにサインいただきました。こちらが鍵になります。契約期日は明日からとなっておりますが、今日から使っていただいても構いません」
 鍵を受け取る。
「それでは御代の方をお願いしてもよろしいでしょうか?」
「ああ、分かった」
 18500Gを取り出した。
「確かに代金は戴きました。次の契約の1か月後にお伺いに参ります。大事に扱ってください」
 契約は済んだので不動屋を出た。
 これで俺は店持ちだ。とはいってもレンタルだが。
 宿を引き払って、あの店に寝泊まりだな。最低限の家具は買わないとな。
 最低限必要と思われる、家具や寝具・食器を買った。それと店に客が入ったことが分かるように鈴を買った。
 この鈴をドアに取り付けて確認する。
 音はカランカランとかなり響きよく分かる。
 店の中を掃除して綺麗にする。
 後は看板と商品を用意すれば一応準備はオッケーだ。
 売りに出す商品はポーションとマナポーションにする予定だ。
 材料である薬草と魔力草は持っている。
 開店早々売れるとは思っていないので、大量に用意する必要は無いだろう。
 夕刻になったので宿に行き食事を取る。
 宿と俺が借りたお店は意外と近い。徒歩10分で行ける。
 食事が済むと女将さんに宿を出る事を伝える。
 宿泊日にはまだあったがのだが、お店で寝起きした方が良いだろう、と判断。
 女将さんとアリーには引き留められたが、お店の事を伝えると女将は納得した。
 アリーにはこれからもここで食事を取る、という事を伝えてようやく引き下がってくれた。
 宿泊料金はお世話になったので返金を受け取らなかった。
 店に戻る前に薬局に行った。
 容器を買うためだ。
 今空いている容器は10個。
 今日手に入れた材料は101個なので91個足りない。
 91個の容器を買い、店に戻った。
 時刻は19時を少し回った。
 機材を取り出してポーション作成に取り掛かる。
 今回は錬金術を使う気はない。
 NPCで売っているポーションは、基本E品質だ。
 なので、それ以上の品質を作らないようにしなければ売れないだろうと判断した。
 同じ品質なら若干値段を抑え、品質が良ければ高めにして売ればいい。
 さて、作りますか。
 まずは品質がF+の薬草から。
 この品質はギルドで渡されたものと同じ品質。
 なので出来上がる品質はEもしくはE+だろう。
 その予測は正しかった。
 出来上がったポーションはEが5個、E+が4個だった。
 そして本命のE-の薬草。
 以前、この品質の薬草で作ったポーションは、F+で作った物より良い品が出来た。
 なのでもしかしたら品質D-のポーションが出来るかもしれないと期待した。
 そして作り始める。

 《鑑定のレベルが上がりました!》

 鑑定か。他のスキルが上がって欲しかったな。
 その後、全部の薬草を作りきった。
 E-の薬草から出来上がった品はE+が48個。
 そしてD-が1個、出来上がった。
 鑑定結果はこれ。

 ポーション 品質 D- 重量 1
 回復薬。HPが14%回復する。

 かなり効果がデカい。
 これがもっとできたら主力商品になりそうだ。
 E+でも十分主力商品になりそうだけどね。
 さて、時刻は23時を回った事だし、今日はここまでにするか。
 マナポーションは明日作ろう。
 布団を引き寝っころがる。そしてログアウトする。
 リョウ
 種族 人間 性別 男 Lv5 (+1)
 職業 サモナー J.Lv4

 筋力 18 (+1)
 耐久 14
 敏捷 14
 器用 15
 知力 24 (+1)
 精神 20

 スキルポイント 8

 スキル
 杖 5 短剣 3 回避 3
 召喚魔法 5 火魔法 5 付与魔法 3
 錬金術 3 採取 2 (+1) 調合 6 解体 3 鑑定 7 (+1)
 生産の心得 3 精密操作 3 MP回復 1

 種族 ピクシー ローズ Lv1 (NEW)

 筋力 8
 耐久 6
 敏捷 12
 器用 11
 知力 14
 精神 12

 スキル
 風魔法 1 回復魔法 1
+注意+
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