0010
ログインすると、朝食を食べるために食堂に向かう。
「おはようございます。リョウさん、少し待っててください」
アリーは厨房に入っていく。
うん、相変わらず、アリーは可愛いな。
こうして見るだけでも癒される。
本当、ここに泊まって正解だった。
しかし、俺がアリーと話をしていると、他の男達が怖い。
殺気立っていると言うか何と言うか、兎に角嫌な気配を感じる。
まあ、気持ちは分かるけど。
アリーみたいな美少女が、他の男と仲良くしてるところを見たら、その男に殺意を持つと思う。
しかも、アリーの方が好意を持っていると分かったら尚更だな。
もしかして今の俺がその立場か?
落ちつけ、俺。
アリーが俺に好意を持っているとしても、友人としてだろう。異性としてではないと、思う……。
こういう事は経験したことが無いから、断言できない。
え?どうなの?友人として、それとも異性として?
分から~ん!!
こういう時は相手が何か言ってくるまで放っておこう。
じゃないと、精神的に参っちゃう。
そう、普段通りに接すればいい、普段通りに。
「お待たせしました。リョウさん」
「わあ!!」
「どうしました?リョウさん」
「あ、ああ、なんでもない。ちょっと考え事してたから、アリーに気付かなくて吃驚しただけ」
「何を考えていたんですか?」
「大した事じゃないから気にしないで」
「そうですか。それじゃあ、料理が冷める前に召し上がって下さい」
「ああ、いただきます」
俺が食べ始めると、アリーは近くの席に座り俺をじっと見ている。
仕事をしなくていいのか?と思ったが、今、食堂にいるのは俺だけだった。
なら別に問題ないか。
「リョウさん、今日はどうするんですか?」
食事が終わったのを見計らって聞いてきた。
「ああ、昨日、またポーション作成の依頼を新たに受けたから、それをこなすことになる」
「それってどれくらいで終わりそうなんですか?」
今の時間は7時13分。
半から始めたとしても、えーと、10時ちょっと過ぎくらいに終わるか。10時半までは掛からないはず。
「10時半までには終わると思う」
「それって夜のですか?」
「いや、朝の10時半だよ」
「その後はどうするんですか?」
「冒険者ギルドに行って納品するな。その後は、また、ポーション作成を頼まれるかもな」
「今日はポーション作りになるってことですか?」
「新たに依頼されたらな。そうじゃなければ、モンスター退治して来るけど」
「そうですか。わかりました。ポーション作り頑張ってください」
アリーは更を持って厨房に下がった。
それを見届けてから部屋に戻り、ポーション作成に取り掛かった。
今やっているポーション作成は、錬金術の短縮を使っての作成だ。
これを使って作成すると時間が大きく短縮できる。
使わずに作ると、大体5分くらい掛かるが、使うと2分くらいで済む。
半分以下の時間に短縮できる。
短い時間で数を作りたい時には役立つスキルだ。
その代わり、品質が悪くなるのはいただけないが。
短縮を使うと、大体2ランク品質が悪くなる。
使わなければEの品質だが、使うとF+になる。
量を取るか、質を取るかで使う、使わないを決めればいい。
今は、質より量が欲しいという事なので、短縮を使って急いで作っている。
調合か、錬金術のレベルが上がれば、短縮を使っても品質は良くなると思う。
ただ、そうなるには後どれくらいレベルを上げればいいのか。
上げるにしても、今だと間に合わなさそうな所が痛い。
そんな泣き言を言っていても始まらない。
兎に角どんどん作らないと。
その後、残りの数をひたすらに作り続けた。
《短剣のレベルが上がりました》
短剣か。
これが上がっても品質に何も関係しないんだよな。
全部が出来上がったのは、予想通り10時を少し回った頃だった。
出来上がった品質は、Fが4個、F+が128個、E-が68個だった。
これは予想していたのより良い品が多かった。
E-は精々40個前後だと思っていたのに68個も出来、Fも20個くらいだと思っていたのに4個で済んだ。
これは嬉しい誤算だった。
出来上がった品を持って冒険者ギルドに向かう。
そしてティアさんに品が出来たことを報告する。
「ティアさん、出来ました。これがそうです」
そう言って、鞄の中から、ポーションを取り出す。
借りた鞄の中は全部ポーションで160個入っている。
そして残りの40個を俺の鞄から取り出す。
「早かったですね。お昼過ぎに来るものだと思ってましたよ。では早速鑑定させてもらいますね」
ポーションをしっかり鑑定していく。
20分ほど掛けて全部を鑑定した。
「確かにポーション200個、受け取りました。報酬はこちらになります」
報酬金額は4611Gになった。
昨日の方が金額が良かった。
やはり、品質が悪いと金額が悪くなるか。
《緊急クエストをクリアしました。ボーナス報酬スキルポイントを6つ手に入れました》
おっと、これがあった。
これでスキルポイントは14になったか。
後で何かスキルでも取るか。
「あの~、リョウさん。また頼んでもいいでしょうか?」
「ポーション作成?」
「はい。他の人にも頼んでいるのですが、やはりまだ、全体的に不足気味でして」
「数は?」
「200個、お願いしてもいいですか?」
《緊急クエスト!ポーションを200個作ろう。クエストを受けますか?Yes/No》
勿論Yesだ。スキルポイントは稼げる時に稼がないとな。
「分かりました。引き受けましょう」
「助かります。さすがリョウさん!」
「煽てても何も出ませんよ」
「そんなつもりはありませんよ。ではこちらが材料です」
カウンターに薬草と容器が並べられる。
200個ある事が確認したら鞄の中に詰めていく。
「出来上がったら来ます」
「はい。お願いします」
冒険者ギルドを出て、宿に戻る。
受付にアリーがいたが、戻ってくる可能性を食堂で言っていたためか、軽く言葉を交わすだけに済んだ。
また、昼食の時間になったら呼んでもらう事を頼んだ。
部屋に戻ると、器材を並べたが、すぐには始めなかった。
スキルポイントを稼いだんだから、これを使ってポーションの質を高めることが出来ないか。
そう思い、取得スキルを調べた。
スキル欄に載っている物は全部で50種類以上。
その中から生産スキルと補助スキルを重点に調べた。
その結果、これだ、と思える物が2つ見つかった。
1つ目は生産スキルで、「生産の心得」と言うスキル。
全生産に若干の補正が付く、と言う効果。
2つ目は補助スキルで、「精密操作」と言うスキル。
これは器用に隠し補正が付く、という効果。
どちらの取得ポイントは4必要だった。
合わせて8ポイント使う事になるが、使ってもまだ6ポイント残る。
それに、今、受けている緊急クエストをクリアすれば、また入るから気にすることは無いな。
そうと決まれば、取得しよう。
これで品質が良くなればいいんだが。
試してみれば分かるか。
ポーション作成を始める。
錬金術の短縮を使ってポーションを作成しては、鑑定で品質を調べていく。
しかし、あまり変わった感じが見られない。
10個20個と作っていくがF+やE-が交互で出来る感じ。
若干E-のできる割合が増えたかなと言う感じだった。
その後も作り続ける。
《生産の心得のレベルが上がりました!》
《精密操作のレベルが上がりました!》
レベルが低いからすぐに上がったな。
効果の方はあまり期待できないが、続けよう。
《鑑定のレベルが上がりました!》
鑑定か。
調合か、錬金術が上がって欲しい。
とその時にアリーが、昼食だと言ってきた。
丁度区切りも良かったのですぐに向かった。
「どうです、ポーション作りは?」
「うん、順調だよ。ただ、もっと品質が良くなるといいけど」
「品質が悪いんですか?」
「今は、質が悪くてもいいから大量に数が欲しいらしくてね。そのために錬金術の短縮を使ってるんだけど、どうも品質が落ちちゃうんだよ」
「良くならないんですか?」
「こればっかりはね。調合か錬金術のレベルが上がればよくなるとは思うんだけど、1つ2つ上がっただけじゃだめだろうね」
「ふーん、大変なんですね」
「作業は難しくないから、大変だとは思わないよ。疲れるけど」
「ふふっ、リョウさんって真面目なんですね」
「そうかな?そうは思わないけど」
「自分じゃ、気付いてないんですね。私は好きですよ、リョウさんみたいな人」
「好きって。からかうなよ」
「からかってなんかいませんよ。私の本心です」
「あー、分かった分かった。続きがあるから、俺はいくよ」
席を立って食堂を出ていく。
「あっ、ちょっと。……ふう、流されちゃった。私なんかじゃ本気にしてくれないのかな?」
「なーに言ってるんだい。あの人はアリーが本気だと思ってないだけだよ」
アリーの後ろから女将さんが声を掛けた。
「お母さん!」
「焦ることは無いよ。気長に頑張るんだね」
「うん、頑張る」
そんな遣り取りがあった事はを知らずに、俺はポーション作成に精を出す。
《調合のレベルが上がりました!》
やっと本命のスキルが上がったか。
これで少しは良くなってくれればいいんだが。
調合のレベルが上がったためか、それとも他のスキルの効果なのかF+の品よりE-の品が出来る回数が増えてきた。
Fの品は今の所出来ていない。
やはり、これはスキルの効果が出ているのだろう。
《生産の心得のレベルが上がりました!》
《精密操作のレベルが上がりました!》
また、この2つか。
上がるのが早くないか?
経験値の入りが良いのか、それとも、レベルが上がりやすいのか。どっちだろう。
そして、この2つのレベルが上がったことにより品質がより良くなった。
それまでは3個中2個がE-だったところ4個中3個がE-が出来る様になった。
いいことだ。
《付与魔法のレベルが上がりました!》
付与魔法も上がったか。
こいつも地味に役立ってるんだよな。
全部が出来上がったのは17時を少し過ぎた時だった。
出来上がった品質は、F+が62個、E-が138個だった。
明らかに品質が良くなっている。
これは新しいスキルの効果と、調合のレベルが上がったためだろう。
出来上がった品を持って冒険者ギルドに向かった。
「りょうさん。もう来たって事は出来上がったんですか?」
「ああ、できたよ。ほら、これ」
カウンターの上にポーションを並べていく。
「早いですね。ベテランさんでもこんなに早くはできませんよ」
「その代わり、品質は悪いけどね」
「それは仕方がありません。早さを優先すれば質が落ちてしまっても文句は言えませんから」
「そう言ってもらえると助かる」
「それでは鑑定しますね」
ティアが鑑定している間暇なんだよな。
かと言って何かが出来るわけじゃないし、やっぱ大人しく待つしかないか。
ティアの鑑定が終わるまで大人しく待った。
「鑑定が終わりました。ポーション200個、受け取りました。報酬はこちらになります」
報酬の金額は8118Gになった。
《緊急クエストをクリアしました。ボーナス報酬スキルポイントを6つ手に入れました》
これでスキルポイントは12だ。後で使い道を考えておこう。
「ありがとうございました。ポーション作成はこれで一先ず大丈夫です」
「そう?じゃあ、この鞄返した方が良い?」
「そうですね。そうしていただけると助かります」
借りていた鞄をティアに渡す。
「確かに返してもらいました。リョウさんはこの後どうしますか?」
「宿に戻って夕食を食べて、その後は討伐クエストをする」
「ああ、そういえば、討伐クエストを受けてましたね。今どれくらい達成してますか?」
「大体3分の1くらいかな」
「今日中に終わらせるのは難しそうですね」
「まあね。出来る範囲でやるさ」
「無理はしないで下さいね」
そう言われて見送られた。
町の外に出ると、モンスターを狩っていった。
魔法が当たれば一撃で済んでしまうのでここでの戦闘は簡単に思えてきた。
ただ、MPの消費が激しいので、ずっとは使えない。
その時は魔法を使わずに杖を使った戦闘をして、MPが回復するのを待つ。
余りにMPの消費が激しいので何とかならないかと取得スキル一覧を調べる。
するとあるではないか。
「MP回復」と言うスキルが。
効果は自然回復量が増える、と言う物だった。
これは取っとくべきだ。
必要スキルポイントは8だったが、一切躊躇することなく取得した。
これで残りのスキルポイントは4になったが、悔いは無い。
MP回復のスキルの効果は+レベル数%。
つまり今は1%増量という事だ。
早く上がって欲しい所だ。
途中18時を過ぎたので以前に作って貰った弁当を1つ食べた。
弁当が食べ終わった後も狩りを続ける。
《職業のレベルが上がりました!》
職業か。
他の奴が上がって欲しかったな。
《杖のレベルが上がりました!》
《召喚魔法のレベルが上がりました!》
《召喚魔法のレベルが5になったため、召喚できる数が2になりました》
何、だと。
召喚できる数が2になっただと!
やっとか、やっと増やせるのか!!
召喚する奴は決まってる。無月だ。
無月がいないと、バットと戦うのが苦労するんだよ。
と言うわけで早速召喚。
うん、これで戦力増強だ。
これなら3匹まで戦うのもありだな。
その後は無月のサポートが入り戦闘が楽になった。
そして、22時36分。
今日はここまでにして戻るか。
倒した数は全部で81匹。
前に倒したのが63匹だから、残り56匹か。
明日の午前中には倒し終わるかな。
明日中にはレベルを上げたいな。
ラビットも上がるといいけど。
宿に戻り、ログアウトした。
リョウ
種族 人間 性別 男 Lv4
職業 サモナー J.Lv4 (+1)
筋力 17
耐久 14
敏捷 14
器用 15
知力 23 (+1)
精神 20
スキルポイント 4
スキル
杖 5 (+1) 短剣 3 (+1) 回避 3
召喚魔法 5 (+1) 火魔法 4 付与魔法 3 (+1)
錬金術 3 採取 1 調合 6 (+1) 解体 3 鑑定 6 (+1)
生産の心得 3 (NEW) 精密操作 3 (NEW) MP回復 1 (NEW)
+注意+
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