挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
旧・サモナーは最弱?いいえ、チートです 作者:佐藤辰也

0008

 ログインすると、まず始めに朝食を取りに食堂に向かった。
「おはようございます。リョウさん」
「おはよう、アリー」
 アリーはテーブルを布巾掛けしていたが、俺が見えた途端挨拶をしてきた。
「食事ですか?少し待っててください」
「頼んだよ」
 いつも通り、適当に席について料理が運ばれてくるのを待つ。
 暫く経つとアリーが食事を運んでくる。
 他にお客がいないためか、俺の食事の様子を見てくる。
 あまり見られていると食事が取り辛いんだがな。
 そう思っても口には出さなかった。
「ごちそう様」
 食事が済んだので席を立つ。
「お粗末さまでした。この後はどうするんですか?」
 アリーは料理の乗っていた皿を片付けながら聞いてきた。
「討伐クエストをこなしてレベル上げだな」
「モンスターと戦うの、怖くないですか?」
「慣れれば、それ程じゃないさ。それに俺には仲間がいるしな」
 そう言って、肩に乗っている無月を見る。
「確かに。仲間がいれば心強いですよね」
「ああ、そうだ。じゃあ、行ってくる」
「はーい。行ってらっしゃーい」
 アリーは手を振って見送ってきた。
 さて、このままモンスターを狩りに行ってくるか。
 無月を連れて町の外へと出ていく。
 もう何度もこなしているので、ここで出てくるモンスターを相手にするのには慣れた物だ。
 1匹の場合は、離れた場所から魔法を打ち込んでそれでお終い。
 MPが少なくなったら、接近して攻撃をするけど、俺と召喚モンスターで当たれば、それ程被害を受けずに済む。
 1回の戦闘で戦う数は2匹まで。
 3匹以上になると手間取ってしまうからだ。
 実際に3匹と戦ったが、まず1匹を魔法で仕留め、残りの2匹を俺と召喚モンスターでそれぞれ相手にした。
 俺の方はそれほどダメージを受ける前に仕留めることが出来るが、召喚モンスターの方はそうはいかない。
 実力が拮抗しているから、かなりダメージを負ってしまう。
 俺が先に倒して、それから応援に行ってそれでようやく倒せる感じだ。
 もっと強くなればあまりダメージを負わなくなるんだろうが、今の段階だとそれは無理。
 ダメージを喰らいすぎるとHPを回復させるために休憩を取らないといけない。
 回復薬を持ってないからな。
 回復薬を持っていれば、回復を待つことなく戦闘を続けることが出来るんだろうけど、モンスターを2匹以下ならば、殆どダメージを負うことなく済ませるので、回復薬を持たずにいる。
 あ、この場合、1匹を魔法で仕留めた場合だ。
 MPが少ない時は1匹しか、戦わない。
 この戦い方が出来る様になったのは武器を新調してからだ。
 その前は魔法喰らわせても1撃では倒せなかったし、魔法を使わない場合はそれなりに反撃を喰らっていた。
 だから、前は自作でポーションを持とうとしたんだが、ポーションが金になると分かったから、作った奴全部換金しちゃったんだよな。
 この後薬草を取って、まだ自作しようかな。
 ただ、入れる容器が無いから買わないといけないけど。
 まあ、その事は後でするとして、今は狩りに集中しよう。

 《鑑定のレベルが上がりました!》

 また、鑑定のレベルが上がったのか。
 鑑定だけレベルが高いぞ。
 まあ、一番よく使ってるから、仕方がないと言えば仕方がないのかもしれない。
 モンスターにアイテムを調べるのに使うからな。
 そろそろ俺のレベルが上がらないかな。
 早くレベル4にしたい。
 そう願って狩りを続ける。
 結局クエストを完了してもレベルは上がらなかった。
 ちっ、次のクエストが終わるまでに上がってくれよ。
 町に戻って、冒険者ギルドに行きクエストカードを出して、完了の報告をする。
「確かに、完了ですね。また、討伐クエストを受けるんですか?」
「ああ、そうだよ」
「最近は討伐クエストばかり受けてますね。ポーション作成や、薬草の採集のクエストは受けないんですか?」
「今はお金より、経験値が欲しいんだ。だから、討伐クエストを受けてるんだよ」
「そうなんですか。なら、仕方がないですね。もし、余裕があったら、ポーション作成などのクエストを受けてください」
「ああ、分かったよ」
 報酬を受け取り、また討伐クエストを受けた。
 時間的には昼少し過ぎたところだったので宿に行き食事を済ました。
 そして、町の外に行き、またモンスターを狩り始めた。

 《レベルが上がりました!》
 《任意のステータスを1つ上げてください》

 おおっと、ついに来たか。
 さて、何を上げるか。
 魔法の威力は今の所十分だから、物理攻撃の威力を上げるために筋力を上げとくか。

 種族 人間 性別 男 Lv4 (+1)
 職業 サモナー J.Lv3

 筋力 17 (+1)
 耐久 14
 敏捷 14
 器用 15
 知力 22
 精神 20

 こんなところか。
 レベルが上がったから荷物もより多く持てるようになったし、良い事尽くしだ。
 無月もそろそろ、上がってもおかしくないな。
 その感覚は外れていなかった。
 暫くしてインフォメーションが鳴った。

 《召喚モンスター「無月」のレベルが上がりました!》
 《任意のステータスを2つ上げてください》

 さてさて、何を上げるか。
 まずは、知力は確定として、もう1つは何にするか。
 上から順番に上げていくか。
 そうなると筋力だな。

 種族 バット 無月 Lv3 (+1)

 筋力 7 (+1)
 耐久 6
 敏捷 6
 器用 6
 知力 6 (+1)
 精神 6

 これでよし。
 次にレベルが上がった時は耐久と敏捷だな。
 無月もレベルが上がったから、今度はラビットだな。
 無月を戻し、ラビットを呼んだ。
 無月がいなくなったので空中戦が少し面倒になるが仕方がない。
 さあ、狩りを続けるか。

 《「ラビット」の危険察知が上がりました!》

 ラビットのスキルが上がったか。
 しかし、今の所危険な場面が無いから役に立ってないんだよな。
 けど、その内役に立つ時が来るから上げといて損は無いはず。
 暫くして、クエストが完了した。
 また、戻らないとな。
 何度も戻って面倒臭いな。
 もっと討伐数を増やすことが出来ないか?
 受付のお姉さんに言ってみるか。
 町に戻り、冒険者ギルドに行く。
 カウンターで受付嬢にクエストカードを差し出す。
「クエスト完了ですね。これが報酬です」
 受付嬢から報酬を受け取る。
「なあ、この討伐クエストなんだけど、討伐数を増やすことが出来ない?」
「討伐数をですか?」
「ああ、この討伐クエストって、最大30匹だろ?それだとすぐにクリアしちゃうんだよ。で、それを報告してまた受け直すのは時間的に無駄に感じるんだよ。だからもっと増やせないか?」
「ちょっと待っててください。マスターに聞いてみます」
「ああ、頼むよ」
 受付嬢は奥の部屋の中へと下がっていった。
 暫くするとおっさんと一緒に現れた。
「君かね、討伐数の数を増やせと言ってきたのは?」
「え、ええ。そうです」
「このクエストを何回受けたのだね?」
「数えてないのではっきりとは分かりませんが、10回近くは受けたんじゃないですか?」
「ふむ、それだけこなしているのならば大丈夫そうだな。良いだろう。これからはこのカードを使いたまえ」
 おっさんはカードを差し出してきた。
「なんです、このカードは?」
「このカードは討伐数を自分で決められるカードだ」
「自分で、ですか?」
「そうだ、例えばスライムの討伐を受けるとしよう。掲示板に張り出されている物だと最大30匹だが、このカードではもっと多くの数を受けることが出来る。そう100匹でも200匹でも、1000匹でもな。数の決め方は、クエストを受ける時にこのカードを出して討伐する数を言ってくれれば、それでいい」
「成程、報酬はどうなるんですか?」
「受ける数が掲示板にあるのより多い場合、基本料+掲示板にある最大の物と同じだけのボーナスになる」
「となると、スライム100匹の場合は?」
「基本料の1000Gとボーナスの300Gで1300Gだな」
「成程。いちいち受け直す必要が無くなるので便利ですね。最初っからこのカードにしてくれればいいのに」
「そうもいかんのだ。実力のない物に渡しても宝の持ち腐れになるからな」
「ああ、そうかもしれませんね」
「それと、そのカード失くすなよ。もし紛失して再発行する時は10000G貰うからな」
「げ、高!」
「それだけ高価なものだという事だ。初めての発行だから500Gだが、どうする。買うかね?」
 こんなカードに500Gと言うのは高いように感じるが、手間暇を考えると買っといた方が良さそうだ。
「買います」
「まいどあり」
 500Gを渡しカードを受け取った。
「じゃあ、早速、スライム、野ウサギ、バットの討伐を各200匹で」
「それだと計600匹だぞ。多くないか」
「良いんですよ。何も今日1日でクリアしようとは思ってませんから」
「成程。ならばいいか。決して無理をするんじゃないぞ」
「無理なんてしませんよ。それで死んだら元も子もないですから」
 死んでもそれでお終い、と言うわけでは無いが、デスペナルティがきつい。
 所持金が半額に所持品の一部が消失、それとステータスの半減と言うのがデスペナルティ。
 お金が減るのはまだいい。
 けど所持品の消失とステータス半減はいただけない。
 所持品は消耗品が無くなるのならいいが、装備品がなくなったら大変だ。
 その装備品がレアだったりユニークだったりしたら泣くに泣けない。
 ステータス半減は、回復するまでしばらく何もできない。
 回復するのに大体半日くらいらしいから、その日はもう殆ど何もできない。
 空腹ペナを1回起こしたけどそれの比じゃない。
 あの時は少し体がだるいくらいで済んだし、食事を取ればすぐに回復した。
 あの時より酷い状態になり、回復するのも時間が掛かる。
 正直受けたいとは思わない。
「そりゃそうだ。じゃあ、手続きは頼んだ」
 おっさんは受付嬢に丸投げして去って行った。
「まったく、これくらいやって行って下いよ。少々お待ちください。……これでクエスト受付は完了です。一応ご確認を」
 カードを渡されたので確認する。
 スライム、野ウサギ、バットの討伐数は各200となっている。
「うん、問題ない。ありがとう」
 カードを手に冒険者ギルドを出た。
 そのまま町の外には出ず、薬局、いや、薬屋に向かった。
「いらっしゃい。なんだ、お前か。何の用だ?」
「容器を買いに」
「何個だ?」
「取り敢えず10個」
「10個か。はいよ」
 店主はカウンターに容器を10並べる。
「100Gだ」
「はい」
「確かに」
 容器を鞄の中に仕舞う。
「じゃあ、また」
「ちょっと待て」
 買い物が済んだから出ようとしたら呼び止められた。
「なんです?」
「どうだった?」
「何がです?」
「マナポーションだよ。作ったんだろ?」
「ああ、作りましたよ」
「品質はどうだ?」
「全部F+でしたね」
「ほう」
「それがどうかしましたか?」
「なあ、お前。俺と取り引きしねえか?」
「取り引き、ですか?」
「そうだ。マナポーションを作らねえか?」
「そりゃ、使ったらまた作りますけど」
「そうじゃなくって、俺の依頼って事でマナポーションを作らないかって事だよ」
「ああ、仕事の依頼って事ですか」
「そういう事だ。で、どうだ」
「今の所、お金には困ってませんから」
「そうか、残念だ」
「因みに受けたらどれくらいの報酬で?」
「受けてくれたら、F+1個で300Gだ。勿論品質がそれより良かったり悪かったりしたら値段も変わるが」
 冒険者ギルドで受けるポーション作成より良い報酬だ。
 仮に100個受けてその9割90個がF+だったら、それだけで27000Gになる。
 現段階では一番いい稼ぎになるだろう。
 お金が必要になったら受けよう。
「そうですね。お金が必要になったら受けます」
「おお、その時は頼んだ」
「それじゃ」
「また来いよ」
 薬屋から出た。
 意外な所で仕事の依頼があったな。
 この事誰か知ってるのか?
 掲示板を覗いてみるがそれらしいものは載っていない。
 もしかして、レアクエストだったりして。
 そういえば、露店でマナポーションを売っている奴あまりいないな。
 いてもべら棒に高い上に品質もF-だし。
 普通にNPCで買った方がよっぽど良い。
 ただ、NPCで売っている品はすぐに売れ切れるって、掲示板に載ってたな。
 誰か買占めしてるのか?
 じゃなきゃ、露店で売っている品の高額には納得いかないしな。
 俺も露店販売したら儲かるのかもしれないが、露店をしてる時間がもったいない。
 NPCでも雇えるならちょっと考えるかもしれないけど。
 まあ、そん事はどうでもいいか。
 時間は4時を少し回ったところ。
 仮に出ると夕食に1回戻って来ないといけないな。
 それだと面倒だから、また弁当でも作ってもらうか。
 宿に向かう。
 宿に入るとアリーか女将を探す。
 受付の所にいたのはアリーだった。
 受付の仕事をしている所を悪いと思ったが、弁当を頼んでみた。
 すると、アリーは快く引き受けてくれた。
 其処へ女将がやってきた。
 アリーは厨房の中にいる。
 時間つぶしに女将と話をしていると、最近、俺が食べる料理は全部アリーが作っていると言われた。
 それを聞いて、アリーって料理が上手いんだな、という感想だった。
 しばらく話しているとアリーがやってきた。
 すると、女将が耳元で、「偶にはアリーを連れてどっか遊びに言ってやってくれないか」と言われた。
 偶にだったら別にいいかと思い引き受ける事にした。
 その時はアリーに休みを取ってくれと言っといた。
 アリーから弁当を受け取ると、お礼を言って宿を出た。
 さて、レベル上げを致しますか。
 町の外に出て、モンスター共を狩っていく。
 その後夜遅くまで狩りをした。
 勿論途中で弁当を食べた。
 アリーが作っていると分かったせいか、いつもより美味しく感じられた。多分、思い込みだろうけど。
 狩りではスライム、野ウサギ、バットを合わせて63匹狩った。
 そこで22時近くになったので、狩りを止めて宿に戻った。
 部屋に入るとベッドに横たわりログアウトした。
 リョウ
 種族 人間 性別 男 Lv4 (+1)
 職業 サモナー J.Lv3

 筋力 17 (+1)
 耐久 14
 敏捷 14
 器用 15
 知力 22
 精神 20

 スキルポイント 4

 スキル
 杖 4 短剣 2 回避 3
 召喚魔法 4 火魔法 4 付与魔法 2
 錬金術 2 採取 1 調合 4 解体 3 鑑定 5 (+1)

 種族 バット 無月 Lv3 (+1)

 筋力 7 (+1)
 耐久 6
 敏捷 6
 器用 6
 知力 6 (+1)
 精神 6

 スキル
 体術 2 音波 2

 種族 野ウサギ ラビット Lv2 (+1)

 筋力 6
 耐久 5
 敏捷 11
 器用 5
 知力 4
 精神 5

 スキル
 体術 2 (+1) 危険察知 2 (+1)
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ