橋本プロ初先頭弾!1番抜てきズバリ、猛打ショー
◆巨人4―0阪神(28日・東京ドーム)
張り詰めた東京ドームの空気を、一振りで変えた。初回先頭、橋本は藤浪の150キロ直球を完璧にとらえた。「そんなに強く打った感じではなかったですけど、思い切っていった結果、入ってくれました」。ライナー性の打球は右翼席中段に飛び込む3号ソロ。4月20日の中日戦(東京D)以来、4か月ぶりの一発は、自身初の先頭打者弾。そして、首位攻防戦を制す決勝打となった。
藤浪キラーだ。自身の172センチに対し、藤浪は197センチ。25センチ差の“ミスマッチ”だが、この差を「チャンス」と表現する。試合前には「藤浪くんのボールには力がある分、逆に高めの球は、しっかり芯に当たれば飛ぶ。高めを積極的に振っていきたい」と宣言していた。その通り、高めの直球をとらえて一発を放つと、第2打席で中前安打、第3打席でも左前安打で、今季5度目の猛打賞。昨年からの対戦成績を10打数6安打とした。
自らの幻影にとらわれてきた。5月8日のDeNA戦(東京D)で左太ももを肉離れするまでの34試合で、打率3割1分6厘、2本塁打、16打点の好成績を残した。だが7月に負傷から復帰後は、この試合まで打率2割3厘。「あのときの感覚と違うんです」。けがをする前の自身の映像を見て、参考にした時期もあったが、状態は上向かなかった。
そんなとき、今季から取り始めたメモ帳を見直した。開幕前に読んだ「ゼロ秒思考」(赤羽雄二著・ダイヤモンド社)という本に、疑問やアイデアを書き留めることで、頭が整理される効果があると書かれ、続けてきた。見返すうちに「あのときと(負傷して)体も違うし、同じ打ち方をしていてはダメだ」と気づいた。「強くスイングする」ことを意識し、再びはい上がってきた。
今季2試合目の1番に座り、4か月ぶりの一発。お立ち台では「僕はホームランバッターじゃないので、4か月ぐらい空くのは普通ですけど、またみなさんが忘れた頃に打ちたいなと思います」とおどけた。伝統の一戦で、背番号32が特大の輝きを放った。(井上 信太郎)