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◆梅田恵子(うめだ・けいこ) 1967年3月6日、東京・豊島区生まれ。89年入社し、主に芸能担当。主なスクープは小泉今日子結婚、広末涼子結婚など。社内屈指のテレビおたくでややネクラ。 ドラマ、アニメ、歌謡曲、80年代洋楽などがやや得意。辛口コラムでやや知られ、10年から紙面等で「勝手にドラマ評」を展開。極度の偏食で昼食はおひとりさまです。

バイト600人も! ASKA傍聴券の舞台裏

[2014年8月29日13時39分]

ASKA被告初公判の傍聴券を求めて日比谷公園に並ぶ人々
ASKA被告初公判の傍聴券を求めて日比谷公園に並ぶ人々

 覚せい剤取締法違反などの罪に問われた歌手ASKA被告(本名宮崎重明)の初公判では、21席の一般傍聴席を求めて2646人が列をつくった。抽選倍率は126倍だった。注目裁判を現場で取材して読者に届けたいマスコミ各社にとって、傍聴券を手にできるかどうかは切実な問題。くじ引きがアナログだった時代から、抽選の舞台裏は悲喜こもごもである。

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 スポーツ紙は司法記者クラブに加盟していないため、裁判所に用意してもらえる記者席がない。法廷の様子を取材して読者に届けるためには、一般傍聴席を確保しなければならない。本紙の場合、抽選倍率が高そうな注目裁判では「並べる社員は並ぶ」習慣があり、今回は100人近くが並んだ。倍率に反してなぜか複数枚の傍聴券が当たり、担当記者と法廷画家も入ることができた。当該部長も「読者に申し訳が立った」とうれしそうだ。

 臨時バイトなど約600人も動員したテレビ局もあり、資金力の違いを痛感するけれど、大勢並んだから当たるというわけでもないのが「確率」の手ごわいところ。逆に、少数でも当たる時は当たる。箱の中の当たり棒で抽選をしていたアナログ時代には、記者が1人しか来なくてもなぜか連戦連勝している某スポーツ紙の強さが羨望(せんぼう)を集めたこともあった。95年のオウム裁判を機にパソコンによる抽選になり「黄金の右腕」みたいなエピソードはなくなったが、今も社によって「ウチは弱いから」「あの社は昔から強い」など、伝統を引きずっていたりするのも不思議だ。

 もはや神頼みの世界のせいか「バラバラに並ぶ」か「固まりになって並ぶ」かでもめる光景もよく見る。パソコンによるランダム抽選なので、当せん番号はまんべんなく散らばっているわけではない。ちなみに、今回の当たり番号で一番数字が若いのは293番。それ以前はごっそりハズレだ。本紙もここに固まりで並んでいたら全滅していた。かといって、バラバラに並ぶのもいかにも当たらなそうで心細い。もはや必勝法は「抽選倍率をはるかに超える人員を投入する」しかないが、それでも100%ではない。

 注目度の高い裁判だから、98席ある104法廷を使ってほしかったという嘆き節もあちこちで聞かれた。記者席を除く48席に裁判史上最多の1万2292人が並んだオウム真理教麻原彰晃被告の初公判(96年、抽選倍率256倍)も104法廷だ。大きな事件が裁かれてきた法廷でタレントの薬物事件など、という判断なのか、09年の人気女優初公判と同様、小法廷となった。フタを開けてみれば、この女優の時の6615人、抽選倍率330倍には遠く及ばなかったので妥当な判断とも思えるが、遠くからわざわざ来たファンもたくさんいる。1人でも多くの人が法廷を見られたら、とも思うのだ。

 とはいえ、当たる人は1人で並んでもしっかり当てている。この手の抽選を1度も当てたことがない立場からの実感である。

【梅田恵子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能記者コラム「梅ちゃんねる」)

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