公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が29日発表した2014年4~6月期決算によると、年金積立金に占める国内株比率は6月末に16.8%と、3月末から0.9ポイント上がった。GPIFは今秋まとめる運用改革で国内株の比率を20%台に引き上げる方向だ。7月以降の買い増し余地は3兆円程度あり、株価の下支え材料になりそうだ。
国内株は1兆1243億円増えた。株価が上がって含み益が増えたほか、新たに買い増した。外国株と外国債の比率も上がった。
国内債は51.9%と1.5ポイント下がった。GPIFが昨年決めた資産構成の目安では下限が52%。四半期決算で初めてこの水準を下回った。GPIFは9月にも発表する新しい目安で、国内債の中心値を40%台に下げ、国内株を20%台に引き上げる方向だ。すでに先回りして動きつつある。
14年4~6月期の運用収益は2兆2235億円の黒字だった。国内外の株価上昇が底上げした。運用資産額は3月末比6869億円増の127兆2640億円となった。
7月以降も国内債を売り、国内株や外国株・外国債を買っているとみられ、8月には資産構成割合の上限と下限を一時的に撤廃した。こうした動きがさらに市場の期待を呼び、株価や円相場に影響を与えている。
外為市場では通常、ウクライナ情勢などの地政学リスクがあると、安全資産とされる円が買われて円高になりやすい。しかし足元では1ドル=103円まで円安が進んだ。
年金基金の原資は円建ての保険料で、外国証券を買えば円売りになる。ゴールドマン・サックス証券の試算では、7月以降、GPIFの運用見直しで年金マネーが少なくとも13.7兆円分の円を売る。GPIFに追随して共済年金も海外資産を買うためで、「大規模な円売りへの期待が円安を後押ししている」(同社の西川昌宏氏)という。
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