防衛大学校を揺さぶる「中国美女学生スパイ」騒動
(SAPIO 2014年9月号掲載) 2014年8月11日(月)配信
中国がターゲットとするのは、OBだけではない。
一昨年に日中の関係悪化を理由に廃止されるまで12年間にわたって続けられた「日中佐官級防衛交流事業」。軍事交流の深化を名目に親中派の橋本龍太郎元首相が00年に江沢民国家主席と会談した際に実施が決まったもので、日中の佐官クラスが毎年、相互訪問して意見交換や基地視察などを行なった。
「中国側にとってはOBではなく現役の実務担当者である佐官クラスに公然とアクセスできる絶好の機会だった」
と防衛省関係者は言う。そこで何が行なわれていたのか。
「事業では双方の参加者が出席する懇談の機会が必ず設けられるのですが、名刺交換をすると、その後、執拗にメールを送ってきたり、『日本に来ているので食事しよう』と連絡してきたりして、個人的に親しくなろうとするのです。明らかな接近工作が疑われることから、参加者には、名刺にメールアドレスを書き込むな、個別に会うなといった対応要領を事前に教育するようにしていました」(同前)
陰に陽に中国の工作活動は活発化している。決して気を緩めることなく、いっそうの警戒が必要だ。