昔、神聖ローマ皇帝のフリードリッヒ２世が、ある実験を行ないました。
50人もの赤ちゃんを両親から離して、養育係が育てるよう命じたのです。

ミルクなど、生きるために必要なものは十分に与えましたが、赤ちゃんにぜんぜん話しかけない。
目線も合わせない。
触れ合いをしないで育てたのです。

その結果…、
赤ちゃんは全員、死亡したとのことです。

心理学者のルネ・スピッツは、戦争孤児の赤ちゃん55人に、スキンシップをしない実験をしました。
27人が２年以内に亡くなり、他の子供も17人が成人前に亡くなってしまったそうです。

なんとか生き延びた11人も、その多くに知的障害や情緒障害が見られたそうです。


満たされない思いって、こんなにも人を傷付けてしまうのですね…。
愛情あるスキンシップの大切さを感じました。

人間には、「満たされたい」 という本能があります。
スキンシップを受けた赤ちゃんは、オキシトシンというホルモンが分泌され、安らぎに満たされるそうです。


スピリチュアル界には、無条件の愛…という概念があります。
無償の行為そのものは素晴らしいと思います。

ですが、厳密な意味での無条件の愛は存在しません。

わたしたちは現象界に生まれてきました。
それは、「条件付きの世界を選んだ」 ということなのです。

わたしは今まで、愛や光に関して否定的な発言を続けてきましたが、決して 「愛は必要ない」 という意味ではありません。

むしろ必要だからこそ、その在り方を見つめているのです。

二元性の世界では、愛という条件が必要です。
だから無理して 「無条件な自分になろう」 と努力するのではなく、条件を大切にすれば良いと思うのです。

自分を成り立たせている要素ひとつひとつを観照してゆく。
その過程でいろんなズレが無くなり、まっすぐな在り方が甦ってきます。

赤ちゃんの話に戻りますね…。
その時期に十分な愛を受けることが出来なかった人は、どうしたら良いのでしょうか？

過去は終わったことなので、いまさら変えることは出来ない…。
傷付いた過去も…。

でも、辛い経験を受け止めるための強さと柔軟性を回復させることは可能だと思うのです。

その手段の一つが、スピリチュアルの様々なメソッドですが…、
それが全てではありません。
スピに無関心でもよいのです。

自分の道を歩き、「自分らしさという条件」 を大切にしてゆけたら良いですね。

スピリチュアルの様々な教えを、表面だけで捉えるのは良くないと思います。
それも自由ですが、複雑な束縛も生み出してしまいます。

「今ここ」 もそうですね。

その言葉を表面だけで捉えた人は、次のような観念に陥ります。
「過去のことは考えるな」
「未来のことも考えるな」
「過去には価値がない。未来にも価値がない」

指導者クラスの人さえ、そんな不思議なジャッジをしている人が多いです。
魂の声を知らないのかもしれません。

もし、魂が未来願望を持ったら…、あなたはどうしますか？

物質界には時間・空間の枠があります。
だから願望の種類によっては、実現までに10年以上かかるケースもあり得ます。

魂の声というものを狭苦しいイメージの枠に閉じ込めてしまったら、本当の魂の声から離れてしまうのです。

魂が 「もっと計画性を持て」 とアドバイスしてきた時、あなたはどうしますか？
魂が 「過去をヒーリングしよう」 というサインを出したとしたら、どうしますか？

「魂の声」 「直観」 という概念を表面的に捉えてしまった人は、反対側の概念を排除しようとします。

スピによくあるのは、「直感と思考は正反対」 という単純すぎる二極対立の概念ですね。
直感と思考の共通点を見落としています。

だから、「直感が大切だ！」 などと意気込み過ぎて、思考を排除しよう…と試みるわけです。
その手法に慣れ過ぎてしまった人は、柔軟な対応ができるでしょうか？

魂が唐突に 「思考を使いなさい」 と指示してきた場合、すぐに切り替えることが出来ますか？

人それぞれに魂の役割・シナリオは異なります。
輪廻の回数が多い魂と、少ない魂がいます。
魂が満了寸前の人もいます。

だからわたしは、色んな方法を肯定しているわけです。
一見、否定的な記事が多いように見えるかもしれませんが、ぜひ本質を読み取っていただきたいと思います。

わたしが疑問を呈してきたのは、排他的な指針に対してなのです。

「未来のことは考えるな」
「思考を手放し、直感だけで生きなさい」

選ばれた直弟子に対して、そういう道を説くのは構わないと思います。
その弟子専用の指針だからです。

でも、不特定多数に画一的なものを押し付ける指導者は、人の個性を大事にしていないと思うのです。
現実とのバランスが取れていれば良いのですが…。