「広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。」よりも、英語のタイトルの方が的を得ていると思いますが、Webブロモーションの本質を捉えた良書。
ちょっと考えてみれば分かることですが、いくら嵐やAKBの曲がトップチャートを独占していても、周りで嵐やAKBのCDを買ったという人に会ったことがありません。
それに引き換え、流行になりつつある「マラソンブーム」を考えてみると、都内でマラソンをしている人をよく見かけ、「本当にマラソンが流行っているんだ」という現実感が湧きます。つまりこれが広告やメディアで洗脳して、人を動かす従来の方法ではなく、ユーザーを動かすための「空気づくり」を考慮した戦略的PRなのではないでしょうか。
「AKB&嵐」と「マラソン」、Webだけに留まらず、プロモーションの本質がここにあると思います。
私も仕事柄、Webを使ってぱぱっとバズらせて下さいよ、と頼まれることがありますが、このような人は明らかに20世紀型の人達で、コントロールできないユーザーの感情を動かすのにクリエイターがどれだけ「脳に汗をかいて」いるかを理解していません。
↑「バズらせる」とか気軽に口にするな (Photo)
本の中にもありますが、今どきのユーザーは企業が金儲けのために仕掛けてきたプロモーションには意地でも乗るものかという断固たる心を持っています。
P&Gの営業部長が「シャンプーを間違えて1億本発注してしまいました。お願いします。買って下さい。」と土下座してもユーザーは無反応ですが、ジャパネットの高田社長が「テレビを間違えて100万台、誤発注しちゃってね! 今日は思い切って赤字覚悟の大安売り」なんて言ったら、ユーザーの反応はそれほど悪くないのではないでしょうか。
↑人を動かすのは広告でも同情でもなく、「感情」だ! (Photo)
少し前まで、情報を伝えるインフラはある程度限られていましたが、ITやSNSの発達により、誰もコントロールできない領域がWeb上にどんどん広がっています。
「誰もコントロールできない領域」を意地でもコントロールしようとする企業もありますが、頑張れば頑張るほどかっこ悪いだけで、最終的には自社のブランドを傷つけるだけなのかもしれません。
今日も出版社に行ったら、アマゾンのランキングを細工をして、初登場1位を取りましょうみたいなことを言われました。
企業宣伝の仕方は自由ですが、本当に大事なことは企業がメディアや広告で人を動かすのをやめることではなく、1人1人のユーザーが、本当に価値のあるものを見極める力を付けることではないでしょうか。
そのような人達が増えてくれば、世の中はもっともっと面白くなっていくと思います。