北アフリカの産油国リビアが内戦状態に陥っている。

 国内の政治勢力と結びついた民兵組織同士の戦闘が激化し、日米欧の大使館も退去する事態になっている。

 混乱の悪化は、中東全体の治安に波紋を広げる。地中海を隔てた欧州にはすでに多くの難民が到着している。石油価格や国際経済への波及も懸念される。

 事態の打開へ国際社会は行動を急がねばならない。何より、各勢力の自重を促し、対話の機運を創出しなければならない。とりわけ周辺諸国の協力と、米国や国連、欧州連合(EU)の本格関与が不可欠である。

 中東情勢は、エネルギーの供給面などを通じて日本とも深く結びついている。調停役、助言役として、日本も積極的にかかわる道を探るべきだ。

 リビアを40年以上支配してきたカダフィ独裁政権は、2011年の政変で崩壊した。民主的な国家の誕生が期待されたが、実際には、民族系とイスラム系の両勢力の対立が悪化した。この夏には首都で戦闘が拡大し、国際空港も閉鎖された。

 長い独裁下で育つ土壌すらなかった民主政治を基礎から築かねばならない国だ。安定した統一国家づくりへ向けて、各勢力が結集する自覚をもつよう時間をかけて促すほかない。

 欧米は軍事力も投じて政変にテコ入れしたが、その後の支援は明らかに不足した。

 12年秋には米領事館が襲われ、大使らが死亡した。そこまで事態は悪化していたが、以降も混乱に巻き込まれるのを恐れて関与を控え、現地を争うに任せてしまった。その結果、高性能の兵器が拡散し、イスラム過激派の伸長を招いた。

 同じような混迷ぶりは、「アラブの春」を経た中東の国々に多かれ少なかれ共通する。欧米は後手続きの政策を改め、もっと積極的にかかわるべきだ。

 リビアが破綻(はたん)国家となると、その影響は計り知れない。米国や国連、EUは、湾岸諸国やトルコなどとも協力して、沈静化を急ぐ必要がある。過激派を抑えつつ、正式な政府を樹立させる道筋を探らねばならない。

 各部族や勢力間の利益分配を民主的な政治手続きで決められるようになるまでには、長く険しい道のりが予想される。長期的には、市民社会を成熟させることなしに、安定化と民主主義の定着は実現しないだろう。

 冷戦終結後、欧州各国は旧東欧や旧ソ連諸国に対して、様々な形で民主化支援に尽力した。同様の息の長い、地道な取り組みが中東にも求められる。