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オートマだって売れてほしい
S4は海外では、単純に「WRX」として販売されるモデルの日本仕様。エンジンは最新FA20の直噴DITターボで、変速機はチェーン式CVTの最大許容トルク版。「スポーツ♯」モードにすると全域で8段ステップ変速になるほか、スロットルをある一定以上踏み込むと、あえてステップAT的な制御となるのもレヴォーグなどのそれと同じである。
海外仕様のWRXは同じエンジンでも約270psという控えめなチューンで、しかもCVTのほかにMTも用意される。それに対して、世界で唯一「S4」というサブネームが与えられる日本仕様は、より高度な300psチューンとCVTの組み合わせのみ。さらにアイサイトを筆頭に、各部の装備も海外仕様より高級化されている。
そこには「(STIではない)WRXの海外での好評価に対して、日本ではどうにも存在感がうすい。とくにオートマのWRXは歴史的に売れたためしがない」という日本市場特有の葛藤がある。先代の「A-LINE」はそれ以前よりはずいぶん売れたそうだが、それでも欧州ブランド車のスポーツセダン人気を考えれば、ある意味で同等以上の機能・性能をもつオートマのWRXは「もっと売れてしかるべき」の念が、開発チームに根強い。日本仕様のS4があえて「クラスを超えて、スバルの技術をすべて投入」ともいうべき満艦飾仕様なのは、そういう理由からだ。
今回の試乗は富士スピードウェイ構内道路のみだったので、細かいことはいえないが、レヴォーグ比で車体の剛性感の向上は印象的なほど。フットワークはレヴォーグより明確に硬いわけではないが、レスポンスや走行ラインはハッキリとタイトになっている。
レヴォーグではGTかGT-Sか……つまり、ビルシュタインがつくかどうかで乗り味はかなり異なるが、S4ではその差が望外に小さいのも特徴だ。
レヴォーグでは市街地の乗り心地で快適なのは圧倒的にGTで、ビルシュタインのGT-Sは限界域での所作が高度な代わりに、乗用域の乗り心地ははっきりカタかった。対するS4は低速でのアタリの強さに大差はなく、身のこなしの正確さを合わせれば、ほとんどのシーンでビルシュタインのほうが快適ですらある。逆にいえば、ビルシュタインに憧れつつ、予算の関係で安価なGTを選んでも、WRXのほうが後悔は少なそうだ。基本的な味わいはダンパー銘柄を問わずに酷似しているからである。
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