生活保護費多重受給:公判中の女、ほかに3例計300万円
毎日新聞 2014年08月29日 08時00分
東京都三鷹市で生活保護を受けながら、他2自治体からも保護費を不正受給した疑いが持たれている無職の女(48)=詐欺罪などで静岡地裁で公判中=が、他にも三重受給を繰り返していたとみられることが、静岡県警と自治体への取材で分かった。支給した自治体は少なくとも8市区に上る。新たな三重受給は3ケースで、重複受給額は計約300万円。県警は近く女を詐欺容疑で再逮捕し、事件の全容解明を目指す。
捜査関係者らによると、女は2009年5月〜今年1月に三鷹市から保護を受けながら、11年7月〜12年12月に世田谷区から約217万円を受給。さらにいずれも12年中に、文京区から4カ月で約36万円、武蔵野市から2カ月で約17万円、豊島区から4カ月で約33万円を受けていた可能性が高いという。
女は、三鷹市以外に相模原市から約176万円を不正受給したとして静岡県警に詐欺容疑で逮捕された。さらに、川崎市からも重複受給した疑いなどが持たれていた。毎日新聞の報道で不正受給の可能性に気付いた都内の市区と三鷹市、都の担当者が都庁で7月に情報交換連絡会を開催し、詐欺の被害として県警に連絡した。
生活保護の受給状況は自治体間で共有されていない。住民登録をしていない自治体でも、居住実態があれば受給できるため、重複して保護申請しても自治体が見抜けない場合がある。ある担当者は「居住実態が確認できれば、性善説に立って保護せざるを得ない」と話す。
女は静岡地裁公判で、既に起訴された重複受給の内容をおおむね認めている。女の弁護人によると、現在捜査中の川崎市が絡む三重受給の詐欺容疑についても大筋で認めているという。弁護人は、今回明らかになった世田谷区など他の詐取容疑については「ノーコメント」としている。【井上知大】