ピピピピピがブログを書きますよ。

運動もせず、ヘタレ顔でキーボードに手を置くピピピピピがブログを書く。野人の如き豪快さが欲しいね。

カモられるだけでは済まない出会い系被害者達 50サイト以上を裏側から観察 恐喝・自己破産・人生破綻のリアル

19歳の終わりぐらいから一年弱、出会い系サイトのサクラをしていた

サクラとは、架空の男女キャラを演じる事だ。
僕がやっていたのは所詮はバイトであり、言われたとおりに動く末端である。
端っこで座るだけの毎日。約10年前の話だ。
中心部に存在する本当の闇を確認出来ない。しかし悲鳴の声を耳にする事は出来てしまった。
未払い金のある会員への執拗な嫌がらせ。
「保険証のデータがあるけれど、アンタ大丈夫? こちとらてめーが飛んだ所で、痛くも痒くもねぇのよ。お前は痛いで済まない事になるけれどな?」
誰もが笑顔になる赤ちゃん。ヨチヨチ歩いて社会への扉を開ける。そして気づけば、痛い痛い痛い。
苦痛なる金切り声が轟く。

人生崩壊のアナウンスをするのは一体全体誰なのだろうか?

30代そこそこの単なるバイトリーダーだ。
善良な市民を装った有毒者だ。
連中の毒性は驚異の粘着力を持っており、一度標的にされたら最後、前のめりに倒れて灰になるまで止まらない。
声を荒げる恐喝。消費者金融へと足を運ばせる。すなわち自己破産への歩み。全身に毒が回るプロセスにある焦燥、怒気、絶望。
見ちゃいられない。罪悪に責められ金縛りが起き、血の含まれた痰を吐き、人間が人間である為の良心を破棄する。
一般的な人間であれば、一人の人間の精神崩壊……いや、人生崩壊まで見せられては、その光景を継続して見続ける事など出来ないだろう。
鏡が浮かび上がり、「もしかしたら僕だってこうなるかもしれないよ」と他人事ではない思いに駆られるからだ。
魂が浮かび上がり、消えていく……。命の消滅を眼球に焼き付けてしまう。それも人間の悪意によって。
人間ではない。魂はない。心もない。
連中の魂は悪意である。心は悪意である。心臓は悪意である。
滑走路に倒れた人を無視して走行出来てしまう。
毒入りの電気信号を伝送した先に、大量出血し、頭が転げ落ち、肉体が腐敗した人間がいようとおかまいなしなのだ。
血の匂いをフレグランスの一種だとでも思うかのように、連中は鼻をひくひくさせる。
そのうち笑い転げ、腹をよじり、快感の唾液を零す。
命ある歌声が掠れていく過程が愉快で仕方ない。笑える。ははは。
連中の声は今この瞬間にも空中を飛び交っている。
人を笑顔で切り刻む鬼の所業について書かせて頂くとしよう。

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出会い系サイト運営会社35社ほどに関わる

僕は30社ほど面接を受けて、その内15社で働いた。
どこの会社も一つのサイトだけを運営している事は殆どなく、いくつかのサイトを同時に運営して荒稼ぎを目指す。
2014年の今となれば、運営に深く関わっていた有名なバンドのメンバーが逮捕されたり、真実暴きのサイトが出た事により、急速に衰退に向かっているようにも思えてくる。
しかし、約20年前の勢いはとてつもなかった。飛ぶ鳥は全て大気圏を超えてしまうほどの跳ね上がり。
たった一つのサイトで売り上げが1億円を軽々と飛び越えているなど、出会い系バブルの時代であった。
運営者だけでなく、使い捨ての駒であるバイトすらも、ディスコで踊り狂うように気分良く高速タイピングをしていたのだ。
僕は、出会い系サイトが衰退に向かい始めた頃に働き始めたので、大した稼ぎはなかった。
「俺はなぁサクラ15年目なんだ。今は40万程度の給料だけれど、10年前は80万円ぐらい当たり前にあった。寝ながらタバコ吸って、適当にタイピングして。凄くね?」
生ゴミを擦りつけたように汚らしいギャル男連中の自慢を何度聞いた事か。
ハッキリ言わせて貰えば“最もヤバイ人生”を送っているのは、入会してしまったお客さんではなく、他でもないサクラバイトなのだ。
連中は、罪悪感を薄れさせるトレーニングを行い、罵詈雑言と言い訳のスペシャリストとなり、遂には詐欺による金稼ぎを正当なものだと思い込み始める。
「サクラってのはな客商売。営業、販売、カウンセラーと似ているよ。どれだけ夢を見させて上げられるかなんだ。ホストやキャバクラ嬢だってそうでしょう? ロマン溢れる時間を買おうとするお客さんに対して、出来る限りの誠意を持って接する。相手を幸せにしてあげる。それがサクラの仕事なんだ」
犯罪者の屁理屈である。
「神がお告げをくれたのだ」と残忍な犯行に及ぶ類いのサイコパスとまるで変わらない。

実態のない幻の女を届ける事がサービス?

「会えなくても幸せ! 財布がすっからかんになっても幸せ! 自己破産したぁ! 幸せだ。幸福をありがとう! 青い空の下で今日もわたしはひとりぼっちです。みなしごです。ありがとう。嬉しい。嬉しすぎる。幻の様だよ!」
こうした喜びの発狂を行えるお客さんがいると思っているのだろうか。
どれだけの時間を掛けても、人様に喜びを与えられるような点は見つからない。毒針を突き刺して息絶える瞬間を楽しみに待っているのに等しい行為だ。
寂しい。孤独だ。心が感想している。これがお客さんの心理状態である。
それに対して、幻を届けるのは優しさだと思える時点で想像力が足りないし、自己正当化に走る利己主義でしかないし、ふがいない害でしかない。
認識不足。勉強不足。ペテン師の癖して口だけは回転するようになった、汚い風を送るゴミ屋敷の扇風機。
一刻も早く廃棄すべきだ。
僕も、一年間サクラをやっていた。単なる末端だとしても、外道の行いである。
善悪の区別もつかない視野狭窄の青年時代は、過ちを犯しがちだ。
だから現状働いてしまっている人間は、今すぐに飛ぶ(連絡なしで急に辞める)事で心を洗浄して欲しい。
世界はどこであれ、人と人の営みの中で幸福が生まれるように出来ている
人を大事にする事を、生きる上での第一条件と出来ない限り、気持ち良い食事も出来なければ、心地良い夢も見られない。
「でも入会者なんて狂った奴が多いじゃないか。だから別に痛めつけても良いだろ」
一つの場面での狂いを持っている人間は素敵な人生を奪われても仕方ない。どこの誰にそのような冷酷非情な考え方を教わったのだろうか?
ストーカー気質であれ、異常性癖であれ、ホームレスであれ、人に危害を加えずに純情に生きている限りは、たとえ狂いが含まれていたとしても幸せを目指す権利はある。
いつまでも自己正当化と小銭稼ぎに奔走していないで、人としての最低限の綺麗な生き方を覚えるべきだ。
さもなくば、永久に続く空虚感の中で、温もりの感覚を知らぬままに息絶える。
ちなみに、僕は履歴書を詐称していた。
他人の悪をタコ殴りする割には、危険な行為に手を出している。
何故その必要があったのかと言えば、「裏世界の存在を感じるから安全対策だ。住所は昔住んでいたボロいアパートにしておこう」と、考えた為だ。
当時は、きちんとした身分証確認もせずに働かせてしまう出会い系運営会社がいくらでもあった。
企業としての品格を欠いている会社だらけだからこそ、僕は働けてしまったとも言えるだろう。

強烈な違和感が心を砕く

10年前の僕は、大学を辞めてから人との交流もなくなって行き、コミュ症の引きこもりであった。
一念発起して上京を果たし、お笑い芸人を目指し始める。
そこまでは良いものの、どんな会社で働いても赤面や震えが発生して、いてもたってもいられない。
「人と会話しなきゃ働けないのかよ……」
コミュ症は自活など不可能だなと思っていた時に、とある掲示板で知り合った人からメールが来る。
「出会い系のサクラとか興味ある? パソコン好きなら天国だよ」
ここからだ。この瞬間を起点に、人間のむごたらしいドラマが始まってしまった。
「パソコンを通した会話なら何とかなる。転職だ!」と、良い意味での震えが起こる。
人生に光が差したと思ってしまったぐらいだ。希望の光などではなく毒針が差し込まれている事も知らずに……。

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サクラの主な仕事

会社によって多少の違いはあるものの、働き方は似通っている。
お客はポイントを購入して、メールを行う。
受信無料。送信500円。写真を見る2000円。電話番号送信5000円などだ。
サクラは必死に返信を促し、ポイントを削らせて追加購入させる。
こうして会社に利益を上げるのが、サクラの仕事だ。
主な仕事の内容も書いておこう。

□一人一人のお客に対して、手打ちで返信。
特にヘビーユーザーに対しては、想いの込めたメールを送り続け、金払いの良さを継続させる必要がある。
□返信の止まったお客に対して、メール送信(追加送信や掘り起こしと呼ぶ)。
ポイントがなくなってしまったが為に、静かになっているお客がほとんどである。
その為、「今週の土日休みだったりしませんか?」など出会いを喚起させるメールを送りつけるのだ。
歓喜のメールが返ってきたら価値である。お客がポイントを購入さえしてしまえば、「あ、いつも土日休みなのかって思って聞いただけなんです。すいません勘違いしちゃって笑」と拒否メールを送る。
ちなみに、本気度の高すぎる会社になってくると、デリヘル嬢を複数雇っている場合もあり、今後金払いの良い人間に成長する見込みがある場合は実際に会ってしまう。
一度会うとどっぷりになるお客が多いので、猛烈な勢いで汚い儲けが始まるのだ。
□一斉送信
範囲を決めて、一斉にメールを送る。
20歳~30歳の範囲。青森県出身の範囲。ニートの範囲などなど。
サクラが足りていない時や、21時などのゴールデンタイムには、一人一人の相手をしている暇がない事がある。
そうした時に武器になるのが一斉送信だ。
ある程度誰にでも通用しそうな文章を書いて、一気に送りつけてしまう。
□キャラ作成
サクラが扱う幻の男や女を作成する作業。
『みちこ(21歳になりました♪)』
誕生日を迎えたばかりなのに、とても寂しい。。。
だって誰も祝ってくれなかったしー、来年もおんなしなのかなって考えちゃうから。。。
キャラ名・年齢・職業・自己紹介。
大体これらの項目を埋めれば完成である。
「男キャラって必要なの?」と思う方もいるかもしれないが、女性の出会い系サイト利用率も意外に高い。
若い子もいくらでもいるし、悪質な運営者は可愛い女性を選び出して、実際に出会って喰いまくっている。
□サポート
多い会社になれば、サクラを100人以上雇っている。
「そんなに大勢いたら、メールがぐちゃぐちゃにならない?」と思う方もいるだろう。
そこに関しては、専用のソフトを使用しているので問題はない。
お客に同じキャラから何通ものメールを出してしまうミスは起こりにくい。
しかし様々なキャラを使い分けながら、ハイスピードに返信している内に、大失態を犯す事だって人間だからある。
天然のミユちゃんって女キャラにも関わらず、「俺はお前の事大好きだぜ!」と、明らかなキャラ崩壊をしてしまう。
そんな時に必要になってくるのがサポート舞台だ。
「お客様申し訳ございません。サイト内異常により、一部会員様のメールが誤って届いてしまったかと思います。謝罪の意味を籠めて300ptを送信させて頂きます。どうか今後も宜しくお願い致します」
大体のお客は信じてくれる。
サポート部隊は、サクラ会社になくてはならない存在なのだ。

他にもいくらでも仕事はあったと思うが、愚にもつかぬ内容なので失念した。
mixiや2chなどからお客になりそうな人間を引っ張ってくる係りなんてのも、会社によればあったらしい。
これは、不正アクセス禁止法違反になるので、何人もの逮捕者が出た。
何度も言うが、サクラなんてのは社会悪で、ろくでもない穀潰しである。

サクラの職場環境

20人程度のアットホームな職場から200人以上の大規模な職場まである為、これだと言える確定情報は出せない。
けれど、どの会社も例外なく異質な空気を放っている。
安いビルを購入しているから、いつでも逃げられる場所を選んでいるから、どれも関係ない。
桁外れな違和感を放出しているのは、パソコンでもないし、エアコンでもない。
紛れもなくサクラである。そこで働く人間なのだ。
薄笑いと、嘲笑と、痛みがそこにある。
ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ
ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ
カコンっ。返信完了。
毒針を注入する音。息絶える命。にやけるサクラ。
人心を乖離させてしまうタイピングなど、そうそうないだろう。
罪悪感、背徳感、責任感。人間としての使命などかなぐり捨てた連中は、生死に関わる仕事をしてしまっていると言う意識がまるでない。
「人生における遊びの一環でしょ?」と不思議そうな顔をする。
こいつらの開き直りは、もはや人様の胸を切り開き、直に心臓を握りつぶす行為に等しい。
絶えず悲鳴が飛んでくる。明瞭な音声ファイルとなって、頭の中に永久に保存されてしまう。
阿鼻叫喚と共存しながらも、脳天気に浅はかな思考を展開し、ひたすら打ち込み続ける。
包丁を振り回しているのと変わらない。
物理的に相手にダメージを与えて、重大な損傷を与える事だけが暴力ではない事を知らないのだろうか。
闇サイトでの晒し上げ。リベンジポルノ。精神的イジメ。
前科がないだけの犯罪者なのだ。
法の隙間を通れば何をしても良い。グレーゾーンは最高だと考えるドブネズミである。
地上で生息していてはいけない生命だ。

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給料も貰えずに辞めてしまった会社がいくつもある

最底辺の職場環境。感じ始める違和感と罪悪。
いつの間にか、出社するだけで心臓が落ち着かなくなり、誰と挨拶しても赤面して汗が滴り落ちてしまうようになった。
容姿に自信がない、性格に自信がない。そんな小さなレベルの話ではない。
生き方だ。少し寄り道するつもりが、どん底を歩いている。
「僕は一体何なのだ! 何を目指して生きている。ここはどこなんだ!」
精神分裂が起きて、頻繁に目眩も起きるし、「けれど辞めたって、無能でコミュ症な僕はどこでも働けないよ……」と焦りが恐怖を呼び起こす。
「なんだよこいつら。キーボードを笑いながら叩いている。全員僕を見下しているんじゃないか。なんだよ。なんだここは」
胸の辺りに有毒の煙が浮かび上がっている気分になって、吐き気も止まらず、しかめっ面をして耐えるしかなかった。
救済の天使なんてやってこないし、罪悪で視界が霞む僕には、どれだけ崇高な者が現れてもモザイクが掛かっているようにしか見えない。
曖昧な者に対しては、想像するしかない。
途方もなく困窮した僕が、頭の中に浮かべるのは、血や散らばった肉片と、骨身に染みる毒液を注入される映像だけであった。
重たい罪で汚れた罪人の地獄。そう表現するしかない就業環境だ。
15社で働いた訳だが、きちんと給料を貰えた会社は少ない。
何故なら、お金など捨てざるを得ない精神状態に追い込まれ飛んでしまうからだ。
出会い系サイト運営会社は、急に飛んだ人間にお金を払う事はしない。
心をプチプチ潰して行く、地獄体験ツアーであった。

集団暴行未遂・スリ・盗撮 サクラ同士のいがみ合い

出会い系サイトの問題と聞いて真っ先に思い浮かべるのは、詐欺であったり、可哀想な被害者の事だろう。
僕も、そう思っていた。
しかし遙かにそれらを凌ぐ大問題が存在している。
それはサクラバイトの異常精神性だ。
そもそも公序良俗を欠いた悪質な仕事を平気でこなす人間は、社会不適合者が多い。
強盗経験があり前科あり、散財の日々を送り自己破産済み、あまりにも素行が悪く親族全てと縁を切っている。
事情があるので、一概に終わっているなどは言えないが、連中の多くは自分が楽しければそれで良いと決めて生きている。
他人への思いやりなどまるでなく、金と女と自由を得られるならば、遠くの命が消えてしまいそうでも笑えてしまう。
呵々大笑の悪魔なのだ。
「このシャープペン使いやすいじゃん」と、口に出すと同時にポケットに入れる。つまり盗んでしまう。
キリンの首は長いし、強盗の盗みは早い。
ガンジーは、売り物の服に木工用ボンドを垂らす嫌がらせはしない。それと同じように、強盗は盗まずにはいられない。
世の理だ。

他人の大損は我が幸せ。我が大損は他人の最後

自分が上手く行っている時はご機嫌だが、正反対の時は他人に危害を加えてあの世へ追いやる。
短絡的な人間が潜んでいる為に、いつだって気を抜けないのだ。

お客を呼び出し撮影。脅して金を奪い取ろうとする

「今日ってあいてますかぁ~~? ちょうどバイト休みになったんですよ~」とメールを出す。
会いましょうと言った類いのメールを出して良い人間は限られているにも関わらず、身勝手に行動を起こすサクラもいるのだ。
何故そのような行いを平気でするのか? 「楽しいからだよ」
この一言で片付けられてしまっては、返す言葉もない。
お客を最寄り駅に呼び出して、数人で笑いに行く。
「見ろよ。指定した通りコーヒーの缶を振ってる。おもしれー。いつまで振ってるんだろうなあの馬鹿。間抜け。ゴミだなー」
実際の現場を見たわけではないが、携帯電話で録画したムービーを見せて貰ったことがある。
そうしたら上記のセリフを大声で吐き散らしていて、一気に全ての臓器が足下に落ちるぐらいの重苦しさを感じた。
女に飢える男。人生における当たり前に見られる光景ではないか。
誰にだってある生理的なものを、徹底的に笑い扱き下ろす。その上脅しまで掛ける。
「こいつキモイっすよ。電話番号も無理矢理聞き出したんで、このムービー使って金奪い取りますよ」
誰に問い掛ける訳でもなく、オフィスの真ん中で叫ぶように語る。
悪人は、そうやって他人を貶める事で自尊心を保ち、生きるエネルギーにしているのかと思うとゾッとした。
頭がぷっちんとキレてしまっている空気を大量生産してくるので、誰も反応出来ずに、恐ろしい無言と無音がいつまでも君臨する。
この後の男の行動は知る由も無い。

東京中の出会い系サイト運営会社を回りデータを盗み取る

USBメモリを持ち歩く、危険なサクラもいる。
こいつらは、まだ出来たてほやほやの会社を探す。
体制が整っていない会社であれば、監視の目も行き届いておらず、さらっと盗み取れてしまうのだ。
実際に盗んだと言う人間とも出会い、話を聞いた。
「俺ここで働きながらサクラ会社やってるんっすよ。数千人の会員データ盗んだんで楽勝! 面接中にパソコン前で一人にされた時間あったから余裕だったすわ」
頑丈そうなゴッツい体を持った男は、腕を振り回しながら言うものだから、「凄いですね!」と肯定する事しか出来なかった。
原始的な環境と言うか、どうしてこうもゴリ押しでマンモスを叩きのめすような暮らし方が出来るのだろうと不思議でしょうがない。
もはやサクラでも何でもなく、不正取得を日常的な行いにしている常習的犯罪者だ。

制御不能に陥った都市に沸いたゾンビのようなサクラたち

ある会社では、「数字を達成したら口でやってあげるよ」と言う女子がいると噂になっていた。
アダルトビデオや深夜ドラマの見過ぎだなと思っていたのだけれど、それもどうやらガチモンのようである。
出会い系サクラを募集する媒体は、風俗関連の仕事も一緒に紹介しているので、抵抗のない子もいるのだ。
裏の世界では、日常のルールを飛び越えた刺激が溢れすぎて、気づくと誘惑とダンスを踊り、罪の汗を流す羽目に陥るのだ。
数字と性を交換するなど、目新しいものではないのかもしれない。

他にもいくらでもある

ドギツイ下ネタメールを、可愛い新人のサクラに担当させて、後ろについていやらしく指導する。
何がきっかけか分からないが、いきなり殴り合いになる入れ墨の男二人。
常識を遙かに超えた騒ぎ方をしていて、誰も入ったことのない部屋に連れて行かれるサクラ。
「早くやれオラ! てめーら誰が稼がせてやってると思ってんだ! クソガキども!」と軍隊のように叫ぶサクラリーダー。
出勤中に熟睡する男。これは僕だ。
童貞の為、下ネタメールの返し方が分からない。これは僕だ。
可愛いサクラの女の子に話しかけられて赤面してしまい、恥ずかしいから帰宅。これは僕だ。
猛獣のコロシアムとでも表現してやりたくなる環境がそこにはあった。
ブラックホールの先は誰も知らない。底なし沼の世界を誰も知らない。
そこに行くと初めて分かる、とてつもない驚き。
罪悪と赤面と震えと衝撃と悩乱。そして忌まわしい記憶だけが刻まれた一年間であった。

人は過ちを犯す

気づくと30歳を超えていて、出会い系サイトのサクラを抜け出す機会を見失っている人間もいるだろう。
誰もが、小さな過ちを犯す。そこですぐに立て直せるか、ズブズブと悪の沼に入り込んでしまうかは、人それぞれだ。
筋力の強い人間もいれば弱い人間もいるように、精神的な強さにも強弱がある。
過ちを犯し続ける人間の集まりで構成されているのが、この世だ。
他人に注意をする熱血上司でも、甘いモノ中毒で日々太り続けているかもしれない。
「犯罪者なんて総じてクズだろ」と、笑っている癖に傘程度であれば平気で盗んでいるかもしれない。
意識せずに暴言を吐いてしまい、知らず知らずの内に相手を統合失調症に追い込んでしまっているかもしれない。
人は弱く、時間もなく、命も限りある。
衝動を抑える事など出来ずに、目の前にあるケーキを食べてしまい後悔する。
犯罪の類いではないにしても、何かしらの過ちを犯しながら生き続けるのが僕たちだ。
だからこそ、心が悪で埋め尽くされていないかの確認作業を行う必要がある。
異常心理、サイコパス、精神錯乱。
このような言葉に寄りかかって安心していては駄目だ。
「みんながやっているから大丈夫! 他にもサクラやっている人いるよ!」と、罪悪の薄れた発想を平気でしてしまうようになる。
住んでいる場所、食べられる料理、触れられる喜び。全ては人だ
人との繋がりの中で幸福があり、人がいるから温もりも感じられる
楽に楽に楽に楽に楽に。そして地獄へ落ちて行く。
人の神経構造的にも、誰かに感謝され、認められる事に最大の喜びを感じる。
素晴らしき心の安らぎも知らずに、他人の首を切り落とすかのような勢いでタイピングしているなんてもったいない。
人は弱い上に小狡い。
いくらでも自己正当化の為の言い訳を出来てしまう。
全ての人間はラッパーであり、無限にアンサーを放てるのだ。
しかし殆どの人間は本物のラッパーではない。
無用なディスり合いにより心を痛め、痛みを忘れる為に更にディスる
愚かな罵りと言い訳の交錯した世界の上で、痛みと闘いながら号泣して暮らす。
最低最悪の泥沼の底に匹敵する過ちだ。
犠牲者を作り、気づけば自らも犠牲者で、全ての人間が被害者となっている社会。
そんな息苦しい世界作りに荷担して良いのか。
「これぐらい良いじゃないか」が積み重なると、心臓が止まるような最悪な事態が訪れる可能性だって出てくる。
僕が昔住んでいたアパートには共同トイレがあった。
ある日、小便器の上のスペースに陰毛をいくつも置く人間が現れた。
その内、「俺も俺も」と模倣犯が出現する。
ぼろっちい激安のアパートだったのもあり、管理人のおばあちゃんは気が向いた時にしか来ない。
3ヶ月ぐらいだっただろうか。
そろそろ人々が寝静まる時間におばあちゃんがトイレ掃除にやって来た。
「管理人の仕事も骨が折れるわい」と呟きながらノシノシやってくる。
そして男性トイレを開けて、よっこいしょと雑巾を掴み掃除を始めようとした瞬間叫ぶ。
「だ、誰かの髪の毛。誰かの頭があるじゃない!」
夜中に酷い勢いで後方に倒れるおばあちゃん。
「おばあちゃん。髪の毛と勘違いしたんだね。ただの陰毛だよ」と心優しく伝える住人。
みんながやっているから構わないと言う悪質な思考により、おばあちゃんは腰を痛め、薬指の爪が折れた
おばあちゃんは良い歳かもしれない。それでも生きている。まだ生きたいのだ。
出会い系サイトのサクラを続けている人間は、おばあちゃんに大怪我を与える陰毛と大差ない。
僕もおばあちゃんも、そして全ての人類は長生きしたい。
危うく陰毛で命を奪われる所であった。
陰毛もサクラも毒針だ。電気信号に入り込んだ害毒だ。人間を灰にしてしまう毒液だ。


おばあちゃんを長生きさせて上げよう。