2014年8月28日20時32分
さいたま市の全盲の男性(61)が飼う盲導犬が7月下旬、鋭利なもので刺されたとみられるけがをしていた。日々の暮らしの中で、むやみにほえないよう訓練されており、その場で鳴くのは我慢したようだという。埼玉県警は、何者かが意図的に虐待したとみて調べている。
武南署などによると、男性は7月28日午前11時ごろ、オスのラブラドルレトリバー「オスカー」(8歳)を伴い、通勤のために自宅を出た。最寄りのJR浦和駅から電車に乗り、同県川口市の東川口駅で下車。職場に着くと、同僚がオスカーの出血に気づいた。公共の場で抜け毛を散らさないよう着せていたシャツをめくると、右腰の辺りに、フォークなど先のとがったもので刺されたような、深さ約1~2センチの傷が3、4カ所あった。シャツは破れておらず、犯人がシャツをめくって刺したか、シャツがその時だけめくれていたのかは不明という。
治療した獣医師は「日常生活では起こり得ず、よほどの力が加わらないとできない傷だ」と話す。
職場近くのコンビニ店の防犯カメラに、男性と血を流して歩くオスカーが映っていたといい、署は駅のエスカレーターや電車内などオスカーが止まっている場所で、背後から刺された可能性があるとみて、器物損壊容疑で捜査している。
けがは順調に回復しているが、男性は取材に「オスカーは私の体の一部。私を刺すのと同じことで許せない。また狙われるかと思うと外出が怖い」、オスカーを訓練したアイメイト協会(東京都練馬区)の塩屋未来(みき)さん(35)も「こんなことは初めて。視覚障害者の方の命を危険にさらす卑劣な行為」と話している。
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朝日新聞社会部
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