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阿字瞑想法

 真言密教で最も基本的な瞑想法である、阿字観、阿息観について実践していただきながら、真言密教の根本をまず、学びます。

 阿字の意味する 諸法本不生とは・・・

 あらゆるものは生まれては消えて行きます。人もまた生まれ、育って、精一杯力を漲らせた後、やがて衰え、力を失って、死んでいきます。

 ところが、私たち人間は生きている間、「得たものの多い、少ない、汚れた、美しい」と一喜一憂しています。

 しかし、悟りを得た目で見れば、失うことに大騒ぎする事はありません。

 全てのものは在るがまま、以前と同じように存在していて、何も変わりがないのです。

 全ては人の心の中で、生まれ、消えていく・・・と映るだけなのです。 

 このことは般若心経の中にも「不生不滅、不垢不浄、不増不減・・・」ととかれています。

 この悟りを得た目で観た真理を「諸法本不生」と言い、阿字で表わします。

 

如の世界

如来とは・・如の世界から、「来てくださる」仏様

 仏様の名前の多くには「釈迦如来・阿弥陀如来・大日如来」と「如来」という名前がついています。

 「如来」とは「如の世界から、来る」仏様という意味です。

 

 では、仏様のいる「如」の世界とはどんな世界を言うのでしょう。

 「如」は、在るがままに、「在るが如く」世の中を見る仏の心の世界のことを言います。

 それに対して、私たち人間はどうでしょう?「在るがまま」に世の中を見ているでしょうか?自分の好みに合うものを「美しい・素晴らしい」と見て欲を出し、好みに合わぬものを「汚い・劣っている」と嫌います。自分勝手に価値を付けて見ています。のどが渇いたら、水だけを求めて他のものを見ず、餓えれば食べ物のみを追いかけます。 

 しかし、仏様は、人間の欲や焦りを離れ、在るがままに世界を受けとめ、自分の好き嫌い・損得を離れて「在るが如く」全ての存在を見ています。

 

 「在るが如くこの世を見る時」、この世のすべての存在が、己の自我という小さな枠を離れ、全ての生き物と共に一つの大きな生命を生きていることを悟ります。

 この宇宙全体の営みや働きを、阿字は象徴しています。絶対的な世界です。

 

(阿字の世界) 

絶対的な大日如来の世界

  人間の煩悩や欲を離れ、在るがままにこの世を眺めた時、どう見えるのでしょう。

 

 宇宙の真理の象徴である大日如来の働きは、人や獣をはじめとし、山川草木一切が生命を燃やし、滅して行くその姿に見出すことができます。

 牧野に遊ぶ馬や牛、空を飛ぶ小鳥たちの躰・鳴き声と意識の働き一切の中に如来の働きは現われ、この世の有情・非情なる一切衆生の身・口・意の働きの中に、永遠の生命たるべき大日尊は存在します。

 

 大日如来の真言を至心に念誦すれば、大宇宙との一体の神秘な境地が現れて、自我の意識が消滅し、宇宙そのものに生を得て、われらの実相が気づかされ、一切衆生に平等の生命を授けらる大日如来の深秘なる慈悲の心の存在と、その加持力を感得します。

 宇宙の生命を自らの生命として生きるのです。

 この如来から、この世の森羅万象と、菩提の智慧と慈悲心の、形相と徳を証すなる、曼荼羅の、諸仏・諸菩薩と明王・天が出生すると弘法大師は説かれます。

 

阿息観  

阿息観を実践して、真言の瞑想をいたします。

 吐く息、吸う息に、宇宙の大生命が奏でる「ア」の声を唱えます。 大宇宙を生かし続ける大日如来と自身の気を通わせ、心を通わせる

瞑想法、阿息観を一緒に致しましょう。 

導き  『心静かに気を充実させ、先ず呼吸を調えます。』

 

導き  『先ず姿勢を正します。背筋を伸して下さい。耳と肩を平行になる ように、鼻とお臍が垂直になるように致します。これで姿勢がよく なりました。次に法界定印を結びます。左の手を水平に上に向けて 置き、その上に右の手を上向きにして重ね、両方の親指の先は軽く 着けます。その法界定印を丹田(下腹)の所に置きます。目は半眼 にして鼻筋を通して五十センチから一メートルぐらいのところに自 然に落ちるような姿勢で座ります。』

 

導き  『次に呼吸法です。先ず、下腹を引っ込めながら、

 第一回目は、胸に溜まっているモヤモヤした不浄の気を、口を軽 く開いて、ゆーっくりと(ゆっくりと発音する。)「ハアー・・・」 と吐き出します。 そのまますっかり吐き終わります。今度は吸いま す。口を閉じ鼻から吸います。遠くの方から、清らかな霊気が白い 霧のようになり、 鼻からユルユルと入って来て、喉から胸を通って 腹部を満たしてから胸にまで至ります。

 

      二度目は、下腹に溜まっている不浄の気を、先程の要領で下腹を 引っ込めながら、ゆっくりと「ハアー・・・」と吐き出し、終わり ますと、口を閉じて鼻から吸います。遠くの方から清らかな霊気が ユルユルと、鼻から喉・胸・下腹に入ってきます。

 

      三度目は、全身の細胞の不浄の気をゆっくり「ハアー・・・」と 絞り出して下さい。そして、息を吸う時は、全身の毛孔からも霊気 が全細胞に浸透して行く、と観じます。』

 

導き  『では、いよいよ阿息観に入ります。

全てのものは在るがまま、いつも同じように存在していて、何も変わり  がないと感じます。「如来」の住む「如」の世界を思い浮かべます。

この世のすべての存在が、己の自我という小さな枠を離れ、全ての生き 物と共に一つの大きな生命を生きているとを感じ、出る息、吸う息に、   「ア」の声を余念なく念誦することです。

     先ず、体の中にある息を「アー・・・」と唱えながら、口からゆっ くりと吐き出します。その吐き出す「ア」の息は一メートル、二メ ートルとだんだん遠くへ流れて行くと観じます。次に息を全部吐き 出したら口を閉じ、鼻から「アー・・」とゆっくり吸い込みます。 これを三回繰り返して下さい。

 

三回終わりましたら、口を軽く閉じて、鼻から息を吸い、鼻か ら息を抜きます。その時、出る息、入る息ともに「アー・・・」「ア ー・・・」と心で唱えながら「ア」の息にこころを集中します。  (五分または十分瞑想を続ける。)

 

導き  『それでは、静かに目を開き、法界定印を解いて胸の前で合掌して 下さい。短い時間でしたが、この瞑想によって心が穏やかになりま した。それでは、そのまま一礼して阿息観を終わります。』

                              以上

 

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