財政難のもとで高齢化が進む日本。介護や福祉の支え手として「地域」が脚光を浴びている。「高齢者が自宅で暮らし続けていくためには、地域で支えることが大切」という趣旨だ。

 しかし、高齢化が急速に進む都市部は、そもそも職住が分離して発展してきている。地域とは、何なのだろう。

 東京都足立区は「孤立ゼロプロジェクト」に取り組む。まず自治会や民生委員が高齢者宅を訪ねて、他人と世間話をする頻度や、困りごとの相談相手がいるのか調査。他人との接触が少ない人がいれば、区に登録した住民ボランティアが定期的に訪問する。もちろん、本人の同意が前提であり、ボランティアは秘密を守る。

 埼玉県内の戸建て住宅地「フレッシュタウン」では、高齢者が庭の手入れや外出の付き添いを気軽に頼める態勢づくりに取り組む。依頼に応じるボランティアをそろえることがカギだ。近隣の総合病院や行政に呼びかけて「支え合い協議会」を設けて、看護師による相談会や健康づくりの催し、趣味の会を自治会館で開いている。

 いずれも、地域のつながりをつくり出す試みである。

 一方、都市部で地域を支えてきたのが、民生委員だ。しかし、昨年12月時点で全国の定数23万6271人のうち、欠員は6783人。特に都市部での欠員が目立つ。委員自身の高齢化も進み、後継者がいないとの声も聞こえてくる。活動の負担が膨らんで、新潟市では、民生委員を助ける「協力員」制度を設けている。

 自治会のような地縁型の組織だけではなく、介護や食事など特定のテーマに強いNPOやボランティア団体が果たす役割もある。昨年12月には全国社会福祉協議会や日本生活協同組合連合会の呼びかけで「新地域支援構想会議」が誕生するなど、協働する動きも出始めている。

 こうした動きを広げていくことが、これからの私たちを大いに助けるはずだ。

 仕事漬けだった会社員OBが地域に入ってもいい。空き家を活用して「ちょっとした困りごと」を解決する場にしてもいい。福祉の専門職がこうした場や活動に関われば「最近、あの人は元気がない」といったSOSの端緒がつかみやすくなる。

 新しい互助の形として、地域のつながりをつくり出せれば、災害や悪質商法の被害防止にも役に立つ。高齢者ばかりか子どもや障害者を含め住民全体の暮らしやすさにも通じていく。地域をつくる工夫を広げたい。