『嫌われ松子の一生』、『百年法』で大人気のベストセラー作家・山田宗樹さん。山田宗樹さんの作品は、ブクログでも多くの本棚登録がされていて、高い評価を受けています。
『嫌われ松子の一生』では転落していきながらも一途に生きていく女性の一生を、『百年法』では永遠の若さを得た人々が法律により100年後に”死の強制が待つ”という問題作を描いてきました。
多様なテーマで小説を書き上げてきた山田宗樹さんが世に送る『ギフテッド』は、体内に未知の臓器を持つことが原因で『ギフテッド』とよばれるようになった者たちをめぐる物語です。普通の人々の、自分には理解できないものに対峙する恐怖が伝染し、やがて暴走し始める―。そんな、山田宗樹さんの新作『ギフテッド』。目が離せない作品です。

人類は進化の時を迎えた。だが、取り残される者は、決してそれを認めない。
25年前、アメリカ合衆国のミネアポリスに住む13歳の少年の体内に
<未知の臓器>が見つかった。
以後、同様の臓器をもつ子供たちの存在が、世界各地で確認される。
いつしか彼らは、羨望と畏れを込めて
「ギフテッド」と呼ばれるようになった。
日本国内においても同様に<未知の臓器>の存在が認められた。
だが「ギフテッド」に認定された少年少女に<未知の臓器>による影響はなにも見られず、
国の政策で多感な思春期を隔離されて送った彼らは、
自らのアイデンティティを見つけられないでいた。
自分には理解できないものに対峙する恐怖、そして、理解できない他者を受け入れる恐怖。恐怖は伝染し、拡大し、やがて、暴走し始める―。
みなさまから応募いただいた質問に、山田宗樹さんご本人がお答えします。
新作「ギフテッド」やこれまでの作品、作家という職業について聞いてみました。

子供の頃から本は好きでしたか?
また、最近読まれた本で印象深い作品を教えてください!(seoyuriaさん)

じつは十代のころはほとんど本を読みませんでした。ただ、夏目漱石の『坊っちゃん』だけは好きで、繰り返し読んでいたように記憶しています。先日、久しぶりに読み返したのですが、自分があの作品の文体やテンポなどにかなり影響を受けていると感じました。 最近読んだ本の中で印象に残ったというと、小説ではないのですが、『宇宙が始まる前には何があったのか?』(ローレンス・クラウス 著、青木薫 訳、文藝春秋)があります。私が子供のころには想像もできなかった宇宙の姿とそのスケールに圧倒されました。

小説を書く上で特に気をつけていることは何ですか?(名無しさん)

読者を退屈させないこと。それに尽きます。

私はいま中学生なのですが、将来、小説家か文章を書く仕事に就きたいと考えています。
山田さんは、小説家になるためにどんなことが必要だと思いますか?(名無しさん)

これは難しい質問です。一般的には「本をたくさん読むこと」と答えるところでしょうけど、なにせ私は中学時代にほとんど本を読まずに小説家になってしまった人間ですから、そもそも説得力がない。実際に小説家になった方々の経歴をみても千差万別で、決まったパターンがあるわけでもない。あえて自分のことを棚に上げて言うならば、小説家になるために必要なのは「とにかくたくさん読んで、たくさん書いて、自分の才能と運を信じて努力を続けること」でしょうか。
幸運があなたに味方することをお祈りしています。

山田宗樹さんの本を読んでいると、脳内にかなり明瞭な映像が浮かんで映画を見ているような気分になるのですが、ご自分で執筆なさっている間も映像は浮かんでいるのでしょうか?(kさん)

そういっていただけるのは、とても嬉しいことです。書いているときも、つねに映像は意識しています。というより、まず映像で固めてからでないと書けないタイプなんです。

作家になった頃と今とで、作品を通して伝えたいこととか、変わったりしていますか?受け手としては、同じ方向の中で、少し違いもある気もします。(ふみさん)

変わってきている部分もたしかにあると思います。ただ、どこがどう変わったのか、自分ではよくわかりませんし、とくに意識しているわけでもありません。毎回考えているのは、いかに読者に楽しんでもらうか、一気に読んでもらうか、ということだけです。

いままでの作品で、自分が「一番共感できる登場人物」と、「一番共感できない登場人物」を教えてください。(ysksdrさん)

自分の書いた登場人物には、すべて等しく共感できる部分があるのですが、あえて一人選ぶとすれば『嫌われ松子の一生』の川尻笙です。共感というよりも、ともに松子の人生を辿った仲間、という感覚でしょうか。
共感できない登場人物はいません。どんなに冷酷で悪い奴でも、同じ要素が私の中にもあるはずだからです。もちろん、許せない、と感じる登場人物はいます。たとえば松子を遊び半分に殺した若者たちはその筆頭です。とはいえ、これも正確に言えば、読者に「許せない」と感じてもらうように私が造型したのですが。

なかなか筆が進まない時やアイデアが浮かばない時など、印象に残っているスランプは有りますか?また、スランプを克服する方法があれば教えてください。(夜狼寺 大さん)

筆が進まなかったりアイデアが浮かばなかったりというのは極めて日常的な光景です。ばりばり書けたりアイデアが次々と湧いてきたりするほうが異常で、そんな日は年に何度もありません。すらすら書けるようになる方法があるのなら私が教えてほしい。というか、教えてください(切実)

電子書籍で未来の読書はどうなるのでしょうか。山田先生が考える未来の読書とは。個人的にはそんな未来の話も書いていただきたいです。(名無しさん)

電子書籍の端末も使っているのですが、たしかに便利なんですよね。読みたいと思ったらすぐに手に入るのですから。紙の本で育った世代がいるかぎり、紙の本がなくなることはないでしょうけど、将来的にはやはり電子書籍が主流になると思います。で、私がそういう未来の話を書くかどうかは、いまはなんとも言えません。

山田さんにとって小説を書くとはどのようなことですか。自己表現?職業?芸術?(名無しさん)

生きること。
……すみません、ちょっとカッコつけました。