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福島県で急増する「死の病」の正体を追う!〜セシウム汚染と「急性心筋梗塞」多発地帯の因果関係〜【第1回】

宝島 8月26日(火)18時23分配信

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福島県で急増する「死の病」の正体を追う!〜セシウム汚染と「急性心筋梗塞」多発地帯の因果関係〜【第1回】

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福島県で急増する「死の病」の正体を追う!〜セシウム汚染と「急性心筋梗塞」多発地帯の因果関係〜【第1回】
【表5】福島県内の「急性心筋梗塞」年齢調整死亡率増減

 また、10年の「急性心筋梗塞」年齢調整死亡率でもともと高かった地域が、セシウム汚染が加わった12年にはさらに上昇するという傾向も見られた(石川町、相馬市など)。加えて、もともとは低かった地域の中で強いセシウム汚染に晒されたところでも、12年には同死亡率の上昇が見られた(天栄村、桑折町など)。そうした事実が積み重なっていった果てに、福島県全体の「急性心筋梗塞」年齢調整死亡率が急上昇するに至った──ということなのだろう。
 さらに付け加えておくと、今回の解析対象から外した原発直近7町村の「急性心筋梗塞」年齢調整死亡率は、5町村(双葉町・大熊町・富岡町・浪江町・葛尾村)で上昇が見られた(【表5】参照)。

(注2)都道府県ごとに年齢構成には差があるため、死亡数を人口で除した(割り算した)通常の死亡率で単純に比較しようとすると、高齢者の多い県では高めの数値が弾き出され、若年者の多い県では逆に低めの数値となる傾向がある。そこで、年齢構成の異なる地域間でも死亡状況の比較ができるよう、年齢構成を調整した死亡率が「年齢調整死亡率」(人口10万対)なのである。この調整を加えることによって、年齢構成の相違を気にすることなく、地域同士の比較や年次ごとの比較ができるようになる。
なお、今回の解析では、人口はそれぞれの年の10月1日現在のものを使用している。2010年のみが国勢調査の実数で、他は推計値である。国(厚労省)で行なっている年齢調整死亡率の計算(2010年)では、年齢不詳の数値を按分した(5歳ごとの年齢階級人口の数に応じて割り振った)人口と病気の発生数を使用しているが、今回の計算では他の年と条件を揃えるため、2010年分でも按分する前の人口を使用した。

(注3)セシウム137の汚染値を、12年12月28日現在の値に換算したもの。原発事故の発生直後は、プルトニウムやストロンチウムといった放射性核種も測定されていたものの、事故から3年が過ぎた現在の測定作業では、測定しやすいセシウムが中心となっている。つまり、セシウムは「汚染のバロメーター」であり、セシウムだけが問題なわけではない。従って、プルトニウムやストロンチウムのように「詳細に測定されていない」放射性物質による被曝が、福島県民の健康を脅かしている可能性も否定できない。

(注4)「r」とは、ふたつの変数間で類似性の度合いを調べる分析方法のこと。今回の解析で弾き出された【図2】の「r=0.36」という値は、「弱いながらも有意な相関関係」を持つデータであることを示している。
この「r」値が1に近づけば近づくほど、強い相関関係があることを意味する。

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最終更新:8月27日(水)13時14分

宝島

 

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