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福島県で急増する「死の病」の正体を追う!〜セシウム汚染と「急性心筋梗塞」多発地帯の因果関係〜【第1回】

宝島 8月26日(火)18時23分配信

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福島県で急増する「死の病」の正体を追う!〜セシウム汚染と「急性心筋梗塞」多発地帯の因果関係〜【第1回】

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福島県で急増する「死の病」の正体を追う!〜セシウム汚染と「急性心筋梗塞」多発地帯の因果関係〜【第1回】
■【表3】過去4年間の県別「急性心筋梗塞」死者発見数、【表4】急性心筋梗塞の年齢調整死亡率の推移

 福島県はもともと、急性心筋梗塞の「多発県」だった。原発事故前年の10年は、全都道府県の中で最も不名誉なワースト1。人口10万人当たり25.3人(全国平均は同13.9人)もの福島県民が、急性心筋梗塞で亡くなっていた。なかでも男性の死亡率が高く、全国平均が同20.4人のところ、同36.9人。女性では同15.6人にとどまっているものの、それでも全国平均(同8.4人)の倍近くに達している。
 こうした事態を受け福島県では、心筋梗塞の主原因とされる生活習慣病を予防するため、健康体操などを指導する「健康フェスタ」等の対策を矢継ぎ早に打ち出している。また、2009年からは、実態の把握や治療成績の向上を目的とした「福島県急性心筋梗塞発症登録調査」も実施。だが、そうした対策をあざ笑うかのように、11年以降も急増し続けているのだ(【表3】)。
 ちなみに、急性心筋梗塞による死者の発生を全国規模で見た場合、年々減少する傾向にある(【表4】)。
 11年の東日本大震災および福島第一原発事故の発生以降も一貫して減り続けている。今年7月末、日本人男性の平均寿命が初めて80歳を超えたとの報道があったが、調査をした厚労省によれば、平均寿命が延びたのは、心疾患による死亡が減少したことも寄与しているのだという。
 にもかかわらず、なぜか福島県では急性心筋梗塞が急増し続けている。異常事態以外の何ものでもない。
 なぜなのか? 
 ひょっとして、これは原発事故の影響なのか? それとも、別の原因によるものなのか?


(注1)大分類である「循環器系の疾患」の数字には、「心疾患」と「心不全」「急性心筋梗塞」などの数字も含まれている。

■セシウム汚染と急性心筋梗塞に「正の相関関係」が

 急性心筋梗塞急増の原因が「被曝」そのものではなく、「被曝を避けるための努力に伴う過度な心労やストレス」であったとしても、それは紛れもなく、福島第一原発事故が招いた健康被害である。
 原発事故がもたらす健康被害は、なにも「被曝」によるものばかりとは限らない。それが「被曝によるものかどうか」の議論ばかりに時間を割いていると、結果的に被害者の救済が先送りにされるばかりか、被害対策自体も“後の祭り”的なものになりかねないので、注意が必要だ。
 もし、「被曝」が急性心筋梗塞急増の重要な要素(ファクター)だとするならば、急性心筋梗塞の多発地帯からいち早く住民を避難させることも、有効な「対策」となりうる。何が真因(あるいは主因)なのかによって、取るべき対策やそのスピード、そして東京電力が負うべき賠償責任も、全く異なってくる。
 被害の正体や本質を見誤らないためには、あくまで事実を最重視しつつ、ニュートラルな立場を心がけて問題にアプローチするのが肝心だ。場合によっては、「原発事故とは全く違うところに原因がある」と、逆の視点からの仮説を立てて臨むことが、結果として有効な解決策を生み出すこともありうる。
 そこで私たちはまず、「原発事故による被曝と関係がない」との仮説の下、それを否定することが可能かどうかを見極める検証作業に着手した。

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最終更新:8月27日(水)13時14分

宝島

 

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