俳優の米倉斉加年さん 死去8月27日 16時12分
舞台やテレビドラマなどで幅広く活躍した俳優で絵本作家の米倉斉加年さんが26日夜、腹部大動脈りゅう破裂のため、福岡市内の病院で亡くなりました。
80歳でした。
米倉さんは福岡市出身で昭和32年に劇団民藝の演劇研究所に入り、その後、俳優や演出家として活躍しました。
高い演技力で演劇や映画に数多く出演し、森光子さんが主演を務めた舞台「放浪記」では主人公を見守る友人の役として20年以上にわたって活躍しました。
テレビでは、NHKの大河ドラマ「三姉妹」や「国盗り物語」、それに「秀吉」などの作品に出演したほか、平成20年3月まで放送された連続テレビ小説「ちりとてちん」ではヒロインの祖父を演じました。
また絵本作家としても知られ、イタリアのボローニャ国際児童図書展で2年連続でグラフィック大賞を受賞するなど多彩な才能を発揮しました。
米倉さんは今月3日、戦争体験を語る講演会にも参加し、疎開中に生まれたばかりの弟を栄養失調で亡くした自らの経験を綴った絵本を朗読するなどして、平和の大切さを呼びかけていました。
米倉さんの所属事務所によりますと米倉さんは26日、滞在していた福岡市内のホテルで具合が悪くなり、午後9時半すぎに腹部大動脈りゅう破裂のため、福岡市内の病院で亡くなったということです。
山田洋次監督「すばらしい役者が一人消えた」
亡くなった俳優の米倉斉加年さんは、山田洋次監督の映画「男はつらいよ」シリーズや、ことしのベルリン国際映画祭で話題となった「小さいおうち」にも出演しています。
親交の深かった山田監督は「この春、米倉さんに出演してもらった映画『小さいおうち』のパーティーでお会いしたときはとても元気で、この次は喜劇の舞台をやろうねと、その話で盛り上がり、実際、僕はその気になっていたので、あまりの突然で言葉もありません。心から師の宇野重吉さんを尊敬した人でした。ぼくは彼がうっとりした表情で宇野さんの話をする姿が好きだったし、その姿がいつのまにか宇野さんに似てきたような気がしたものです。柔軟な感性と表現力、その奥に硬質な思想がでんと座っている、すばらしい役者がこの国から一人消えたという思いです」というコメントを出しました。
吉永小百合さん「思い出がいっぱい」
米倉斉加年さんは、ことし10月に公開予定の映画「ふしぎな岬の物語」にも出演し、主人公が営むカフェの常連客で、心優しい医者の役を演じました。
この映画を企画し主演も務める吉永小百合さんは「ロケ地でもとてもお元気で、楽しそうに岬を歩いてらしたのに驚いています。十代の頃、日活の映画でご一緒したり、二人きりのミュージカルをやったり、思い出がいっぱいで、もっともっとご一緒したかったです」というコメントを出しました。
|
[関連ニュース] 自動検索 |
|
[関連リンク] |
|