複数の韓国メディアは26日、韓国の検察当局が産経新聞の加藤達也ソウル支局長を名誉毀損の疑いで起訴する方針を決めたと報じた。

名誉棄損の疑いがかけられているのは、8月3日に掲載された「朴槿恵大統領が旅客船沈没当日、行方不明に…誰と会っていた?」という記事。朝鮮日報のコラムなどを引用し、セウォル号沈没事故が発生した4月16日の朴大統領の所在が7時間にわたって不明となっており、その間に大統領が元秘書室長のチョン・ユンフェ氏と会っていたというウワサが流れていることを紹介した。

ソウル中央地検は、記事に登場したチョン・ユンフェ氏からすでに事情を聴き、沈没事故当日に青瓦台(大統領府)を訪問していないことを確認。朴大統領も当時、青瓦台から出ていないことが確認されているという。

また、18日と20日に行われた加藤支局長に対する2回の聴取では、朝鮮日報以外の具体的な情報源が提示されなかったという。

こうしたことから、検察は「産経新聞の報じた疑惑は事実ではない」と判断。加藤支局長から再度聴取した上で、情報通信網法の名誉毀損罪の適用などを検討しているという。

この問題については、韓国に駐在する海外メディアが成り行きを注視しているほか、韓国内でも一部で、日韓関係への影響に対する懸念や「言論弾圧」を指摘する声が出ている。

これに対して、韓国人ネットユーザーからは様々な意見が寄せられているが、総じて起訴には批判的だ。主なコメントを紹介しよう。

「なんとまあ、これしきの事で起訴?? 検察はバカですね。(笑)」

「名誉棄損で起訴すれば7時間何をしていたのか明らかにする必要がある。そのつもりなのか?」

「これはいいこと。裁判を通じて国際的に広まれば」

「まさか…  産経新聞の内容が事実とは思えない… 我が国の大統領なのに…」

「朝鮮日報が先に書いたのに、なんで朝鮮日報を告発しない?」

「日本の極右新聞が自分の新聞名をひけらかしてパク・クネをバカにしているのに、チョン・ユンフェ(元秘書室長)が告訴・告発をしないこと自体、事実を認めているようなものでは?」

「疑惑の当事者が明らかにすれば済むことを、ここまでややこしくする必要が? 7時間の間誰と、どこにいたのか、客観的に公開してほしい。国民にも知る権利がある」

「朝鮮日報が空白の7時間について記事を書き、産経新聞が後追いで書いたはず。それに、青瓦台の外で会ったと言うのに青瓦台の訪問者記録を確認するなんて、無駄なマネ」

「フタをしようとすれば一層臭気を放つ。息のかかった者を動員して世論を有利に誘導しようとしても、真実は明らかになるもの」

「言論の自由とは真実を明かす自由だろ… 他人の名誉をけがす自由なんて、おかしい」

「イギリスでは女王や王室が、記事がお気に召さないからと告発などしない。マスコミは権力者を監視して追及するのが本能。民主主義に適応できない大統領やその取り巻きに問題あり」

「最初からあの時間帯の動静を明らかにしてたら、世界の視線を集めるほど大騒ぎにならなかったのでは?」

(編集 兼田)