北朝鮮が弾道ミサイル発射のための潜水艦開発をしている、との報道がありました。
例の『ワシントン・フリー・ビーコン』です。
元記事はこちら。
北朝鮮は、確かに旧式とは言えロメオ級やゴルフ級といった潜水艦を持っていますし、弾道ミサイル「ムスダン」はもともと旧ソ連の潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM)「R-27(SS-N-6)」をベースに陸上発射型にしたものです。最低限の技術は旧ソ連や中国から獲得している、と言えるかもしれませんね。フリー・ビーコンの記事ではお馴染みの国際評価戦略センターのリチャード・フィッシャー氏は、中国による技術支援が大きな役割を果たしているのではないか、と見ているようです。
一方で、フリー・ビーコンの記事は懐疑論もいくつか伝えています。
例えば、米海軍協会(USNI)のEric Wertheim氏は、「北朝鮮にとってSLBM実戦配備までのハードルを克服するのは困難」と明言しています。さらに、「ゴルフ級以外のものである場合、同等のサイズの潜水艦が必要だが、近年北朝鮮が建造に努めているのは1,000トンかそれ以下の小型潜水艦である」とも加えています。
私の愚見ですが、確かに発射プラットフォームとしての潜水艦に関しては中国からのレクチュアを受けることはできるかもしれませんが、SLBMの開発の方が大変だと思うのです。中国自身のSLBM開発も順調ではなく、昨年末にようやく初期作戦能力(IOC)を獲得したばかり。北朝鮮に技術指導するほどなのか、という疑問があります。それでなくとも、発射台としての潜水艦+SLBM+運用(整備など諸々)とか考えると、Wertheim氏の言うとおりハードルは高く多過ぎるものです。たとえ開発計画が実在のものだとしても、日米の脅威として対応にリソースを割く必要が出るのはかなり先の話ではないでしょうか。
話は逸れますが、『ワシントン・フリー・ビーコン』はトバシ記事っぽいものがあるので、注意が必要です。だからと言ってすぐに否定することもできません。実際、先日の中国の極超音速機「WU-14」の実験をいち早く伝えたのはフリー・ビーコンですし(今年1月の初実験もフリー・ビーコンです)、2012年の中国によるDF-41発射実験をスクープしたのはフリー・ビーコンでした。2012年当時、DF-41は開発計画がキャンセルされているとみなされていましたが、その後中国国防部が公式に認め、さらに米国の年次報告書『[PDF] 2014年度版 中国の軍事および安全保障の進展に関する年次報告』などでもDF-41の開発が確認されています。
今回の北朝鮮によるSLBMとそのプラットフォーム建造は、今のところ懐疑フィルターを何重にもかけて眺めるニュースだとは思いますが、一応こうした情報もある、というメモとして更新してみました(^_^;)
弾道ミサイル潜水艦建造か=北朝鮮−米サイト報道(2014/8/27 時事通信)
【ワシントン時事】米保守系ニュースサイト「ワシントン・フリー・ビーコン」は26日、北朝鮮が弾道ミサイルを発射可能な潜水艦を建造していると米情報当局がみていると報じた。最近になってミサイル発射管を備えた北朝鮮の潜水艦の存在が認められたという。
例の『ワシントン・フリー・ビーコン』です。
元記事はこちら。
North Korea Building Missile Submarine(2014/8/26 ワシントン・フリー・ビーコン)
北朝鮮は、確かに旧式とは言えロメオ級やゴルフ級といった潜水艦を持っていますし、弾道ミサイル「ムスダン」はもともと旧ソ連の潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM)「R-27(SS-N-6)」をベースに陸上発射型にしたものです。最低限の技術は旧ソ連や中国から獲得している、と言えるかもしれませんね。フリー・ビーコンの記事ではお馴染みの国際評価戦略センターのリチャード・フィッシャー氏は、中国による技術支援が大きな役割を果たしているのではないか、と見ているようです。
一方で、フリー・ビーコンの記事は懐疑論もいくつか伝えています。
例えば、米海軍協会(USNI)のEric Wertheim氏は、「北朝鮮にとってSLBM実戦配備までのハードルを克服するのは困難」と明言しています。さらに、「ゴルフ級以外のものである場合、同等のサイズの潜水艦が必要だが、近年北朝鮮が建造に努めているのは1,000トンかそれ以下の小型潜水艦である」とも加えています。
私の愚見ですが、確かに発射プラットフォームとしての潜水艦に関しては中国からのレクチュアを受けることはできるかもしれませんが、SLBMの開発の方が大変だと思うのです。中国自身のSLBM開発も順調ではなく、昨年末にようやく初期作戦能力(IOC)を獲得したばかり。北朝鮮に技術指導するほどなのか、という疑問があります。それでなくとも、発射台としての潜水艦+SLBM+運用(整備など諸々)とか考えると、Wertheim氏の言うとおりハードルは高く多過ぎるものです。たとえ開発計画が実在のものだとしても、日米の脅威として対応にリソースを割く必要が出るのはかなり先の話ではないでしょうか。
話は逸れますが、『ワシントン・フリー・ビーコン』はトバシ記事っぽいものがあるので、注意が必要です。だからと言ってすぐに否定することもできません。実際、先日の中国の極超音速機「WU-14」の実験をいち早く伝えたのはフリー・ビーコンですし(今年1月の初実験もフリー・ビーコンです)、2012年の中国によるDF-41発射実験をスクープしたのはフリー・ビーコンでした。2012年当時、DF-41は開発計画がキャンセルされているとみなされていましたが、その後中国国防部が公式に認め、さらに米国の年次報告書『[PDF] 2014年度版 中国の軍事および安全保障の進展に関する年次報告』などでもDF-41の開発が確認されています。
今回の北朝鮮によるSLBMとそのプラットフォーム建造は、今のところ懐疑フィルターを何重にもかけて眺めるニュースだとは思いますが、一応こうした情報もある、というメモとして更新してみました(^_^;)
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北の状況からして、実際に建造されるとすればまず間違いなく通常動力になるわけですが……
実際作ったとして、どこで使うつもりなんでしょうね。まさか仁川沖にでも出して南を恫喝しようっていうんでしょうか。
そういえば日本も北とは事情こそ違え、基本的に原子力艦艇の保有が厳しい国ではありますよね。
日本の技術でAIP機関、または大容量バッテリー搭載の弾道ミサイル潜水艦を建造したとして、はたして使い途はあるでしょうか?
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