脳の不思議...虫の声を聴いているのは右脳と左脳、どっち側?

暦の上では秋とはいえ、連日の猛暑。
朝から聞こえる蝉時雨に弥が上にも暑さを感じております。この迫力...「うるさい」にあてる漢字は「五月蝿」ではなく「八月蝉」のほうが良いのではとおっしゃった方に心から賛同いたします。

明日から、9月。聞こえてくる声の主役は木で鳴く虫から草むらで鳴く虫たちに代わってきますね。子供の頃から秋になると思い出す歌の1つが、文部省唱歌「虫の声」

あれ松虫が鳴いている チンチロ チンチロ チンチロリン  あれ鈴虫も鳴き出した  リン リン リン リン リーン リン  秋の夜長を鳴きとおす  ああ おもしろい 虫の声

口ずさむだけで、なんだか秋の風が吹くような気がいたしますが、虫の鳴く音を、心地良いものとして感じるのは日本語かポリネシアン語を母国語とする人だけだそうです。

人間の脳は右脳と左脳とに分かれ、それぞれ得意分野があります。

右脳は音楽脳とも呼ばれ、音楽や機械音、雑音の処理を、左脳は言語脳と呼ばれ、言語音等の論理的知的な処理を受け持つ。

ここまでは人類共通。

ところが...

東京医科歯科大学の角田忠信教授の発見では、私たちは、虫の音、そのほかの動物の鳴き声、波、風、雨の音、小川のせせらぎまでをも左脳(言語脳)で聞いているとのこと。一方、日本語かポリネシアン語を母国語としない人々はこれら全てを右脳(音楽脳)で処理しているそうですから、私たちには「虫の声」でも母国語が違う方々には「虫の音」にしか聞こえていないのだとか。(参考文献:角田忠信 『日本人の脳』)

自然が発するたくさんの音を「声」として聞こえる脳を持った私たち。この能力を使わない手はございません。電力不足が杞憂に終わりそうな節電の夏が過ぎ、まもなく訪れる秋の夜長。耳を澄まし、生きとし生けるものすべての音を声として聞き、一人ひとりが、自然に対し、人に対し、未来に対し、今、何を選択しなければいけないのか、何ができるのか、と考えていただければ幸甚に存じます。

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紫青

カテゴリー:サイエンス

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