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小田実代表の「戦争の記録を残す市民の会」(その1)
2013/08/11 20:53:28
 風光明媚な西宮の住宅地の地下で戦時中行われた事実について、小田実は次のように述べています。

(写真は2007年都内の病院で闘病中だった小田氏) 
<しかし戦争中この下で、おそろしいことが始まっていたことを大部分の住民が知らない。日本が戦争に負けたため、それが中止され未完成に終ったことも住民たちは知らない。
このおそろしいこととは、この下に戦闘機工場、海軍司令部、はたまた天皇の隠れ家のための地下工場をつくろうとする計画だった。>
 川西航空機の局地戦闘機「紫電改」の製作のため、当時小林聖心に通われていた須賀敦子さんや、野坂昭如の疎開先に住んでいた神戸女学院の女学生も動員されていた時代です。

 野坂昭如は甲山上空を川西航空機爆撃のため飛んでいたグラマンの様子を私小説に描き、遠藤周作も、仁川の実家で川西航空機宝塚製作所の爆撃を目撃し、「黄色い人」にその情景を描いていました。
http://nishinomiya.areablog.jp/blog/1000061501/p10762343c.html
 小田は更に続けます。
<それは、豊で比較的リベラルな中流階級や上層中流階級の住宅地のまっただなか、さらに正しく言えば、その直下で行われたことだった。何が行われたかだれも知らなかった。そして戦後大部分未完成なまま、全部で五十本位あるトンネルはそっくり残り、忘れられた。戦後四十数年たった1987年12月、トンネルの一つが初めて発見された。>


 太平洋戦争末期、現在は住宅地となっている甲陽園一帯に地下壕が二つの目的で建設されました。その一つは川西航空機の地下工場、もう一つは大阪海軍警備府が疎開を予定していた軍用地下施設であったそうです。また、建設工事には数百人の朝鮮人が動員され、その中には強制的に連行された人も含まれていたそうです。


<戦後そんなにも長い間、私たち日本人が誇ることのできない過去の歴史が私がいま家族と共に暮している町の豊かな中流階級や上層中流階級の生活している場所のすぐ下にかくれていた。この事実は私に衝撃を与え、考えさせた。………
 海沿いにある私のアパートから、ときどき私はあたかも自分が現在と過去の日本にむきあっている気持ちになる。>


 小田実のその後の活動については、2000年に西宮・甲陽園の地下壕を記録し保存する会から発行された「よみがえれ緑の春―西宮・甲陽園地下壕ガイドブックー」にも述べられていました。(西宮市立図書館で借りることができます。)
(その2に続く)


川西航空機
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甲陽園 | コメント( 2 ) | トラックバック( 0)

現在私が西宮在住であったならすぐに図書館に閲覧に行くことでしょう。「比較的リベラル」なだけで、アッパーミドル以上の豊かな階層は通常は保守(しばしば頑迷なそれ)です。
「金持ちは金持ちであり続ける以外のことに一切興味がない」
というのは村上春樹書記3部作の登場人物である鼠の言ったこと。
金持ちが金持ちであり続けるには、自分が金持ちになり得た
(金持ちの一族であることを継承でき得た)体制を全面的に
支持せねばならないから。日本という三等国を愚かな太平洋戦争に至らしめた狂気の体制であろうとも。
私見ですが、この事実を知っていた上流階級人は数多くいたのではないでしょうか。

[ せいさん ] 2013/08/11 21:13:17 [ 削除 ] [ 通報 ]

「よみがえれ緑の春」は西宮市教職員組合が発行したもので、よくまとまった小冊子でした。この活動が現在はどうなっているのか心配です。

[ seitaro ] 2013/08/11 22:09:48 [ 削除 ] [ 通報 ]

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西宮にゆかりのある小説や随筆、アニメの舞台を訪ね、当時の景色や登場人物に思いを馳せるセンチメンタル散歩です。震災以降、街並みは大きく変わりましたが、歴史ある美しい景観を守る一助になればと思っています。
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