紫電改。  永遠の翼

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日本軍機マニアなら知らないはずは無い、局地戦闘機「紫電改」…。

昭和20年3月19日、愛媛県の松山海軍基地から飛び立った海軍第343航空隊の紫電改54機は、広島県呉を目指して進撃する米海軍航空隊と熾烈な空戦を繰り広げ、撃墜52機と言う大戦果を報じた事から、一躍その名を轟かせました。

紫電改は、絶望的な戦況で圧倒的な戦果を収めた事から、ちばてつやの漫画「紫電改のタカ」や東宝映画「太平洋の翼」、果てはカネボウの育毛剤「薬用 紫電改」(!!)など様々なカタチで戦後も語り継がれてきました。

ちなみにカネボウと言えば、この紫電改をはじめ、戦争後半に作られた日本軍機の燃料タンクを防御する為に多用された、「カネビヤン」と言う一種の人造ゴムを開発しております。

それはさておきこの紫電改、マニアなら周知の事実ですが、元々は川西航空機(現在の新明和工業)が開発した水上戦闘機「強風」がベースでした。重くて抵抗のあるフロート(浮き舟)を持つ弱点を押さえる為に採用された新機軸が、そのまま陸上戦闘機にも転用できる!と言う事で川西が独自で開発して海軍に売り込んだのが局地戦闘機「紫電」。

しかし、この「紫電」は厄介者でした。「譽」エンジンの不調や整備の困難さに加え、強風と同じ中翼配置だった為に飛行特性が悪く、しかも中翼から無理やり二段式に伸縮する主脚がしばしば故障するなど、文字通り散々な機体で、搭乗員からは「殺人機」とまで酷評されました。

その為主翼を低翼配置として飛行特性の向上を図り、構造を簡素化したり部品点数を少なくして生産性を上げたのが、この「紫電二一型」通称「紫電改」と言うわけです。

どう見ても無理や無駄が多かった「紫電」から産まれた機体とは思えない素直な飛行特性、強風から改良を重ねてきた「自動空戦フラップ」、4挺の20ミリ機銃と日本機らしからぬ防弾装備を持って、「紫電改」は見事に生まれ変わったのです。

殊にこの「自動空戦フラップ」は日本独自とも言える機構で、空戦などの旋回時に水銀を使ったセンサーがGを感知してフラップを作動させ、急激な失速を抑えることにより旋回性能を向上させると言うものです。

しかし、「紫電改」は登場が遅すぎました。そして日本を守るには、あまりに数が少なすぎました。

終戦までに完成した紫電改は、僅かに約400機。紫電も約1000機しか作ることが出来ませんでした。それは同じ頃に「大東亜決戦機」としてその名を馳せた、陸軍4式戦闘機「疾風」の半分にも満たない数です。「紫電」の失敗と零戦の後継機「烈風」の開発遅延が海軍航空隊の凋落を早めた事を思うと、「紫電改」の存在はキラ星のように見えて、実は無念な存在でもあります。

それでも「紫電改」の搭乗員は、文字通り「必死」で戦いました。特攻こそ行ないませんでしたが、最期の制空戦闘機隊として、圧倒的な物量で日本を襲う敵機に、真正面から挑みかかったのです。それは所属する3個飛行隊の飛行隊長全員が戦死してしまった事からも伺えます。343航空隊は戦後も様々な評価や批判がありますが、この事実だけは決して忘れてはならないと思います。

個人的には名称の響きや戦歴、機体の美しさから「疾風」に軍配を挙げるのですが、「紫電改」には、それとは対照的な無骨さや逞しさと言った魅力があり、短いながらも激しく戦った姿は、「疾風」とは一味異なる「輝き」を、今日でも放ち続けております。

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2009/3/20  11:44

投稿者:ZeroTaka@管理人

ガンダムって、実はあまり見てなかったんですよねぇ(汗)。周りがガンダム〜言ってる頃からゼロ戦〜でしたから(笑)。

確かに元ネタとして戦史や兵器を持ってくるアニメは多いですね。某アニメキャラなんか大半が軍艦の名前だし、某宇宙戦艦なんかは殆どそのまんまだし(笑)。

やはりフィクションで戦いを描く時、リアリズムを追求したくなると、どうしてもリアルの戦いに目が行ってしまうんでしょうね。

2009/3/20  1:34

投稿者:アツシ

アニメ「機動戦士ガンダム」にも「カイ・シデン」というパイロットが登場します。なかなか魅力的なキャラクターでしたよ。
アニメの製作者には国内外の戦史に詳しい人が結構いますね。私なんかは後になってから元ネタを知ることが殆どですが、知識のある人は初登場の名前を聞いただけでニヤリとすることが多いんでしょうね。

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