日本海津波予測:北海道せたな町で23m 国交省検討会

毎日新聞 2014年08月26日 17時02分(最終更新 08月27日 08時48分)

各道府県の全海岸線と平地で津波高が最大となる市町村
各道府県の全海岸線と平地で津波高が最大となる市町村

 日本海の海底断層で発生する大規模地震に関し、国土交通省などの有識者検討会(座長.阿部勝征東京大名誉教授)は26日、日本海に面した市町村ごとに予測される津波高の最大値を発表した。国による初めての試算で、北海道せたな町の23.4メートルが最も大きく、青森から九州北部までの県ごとの最大値は17.4〜2.6メートルだった。検討結果は、各道府県が今後実施する浸水地域の想定など津波対策に役立てられる。)

 検討会は、最新の科学的知見や過去の津波の痕跡調査などから、日本海側の津波の発生要因となる60の海底断層を選んだ。さらに、各断層で起きる地震の規模をマグニチュード(M)6.8〜7.9と想定し、16道府県173市町村ごとの最大の津波高を推計した。

 その結果、断層が浅いことなどが影響し、各地で地震の規模の割に津波が高くなった。青森から福井までの県ごとの最大値は17.4〜7.5メートル、京都から九州北部では7.4〜2.6メートルで、東日本の方が高い傾向を示した。海底地形の影響で、東北沖で発生した津波が島根県西ノ島町で6.8メートルになるなど、東北から離れた中国地方で高まる場合もあった。

 高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)を含めた沿岸部の11原発付近では5.8〜1メートル。いずれも各電力会社の想定を下回った。

 検討会は、海岸から約200メートルの範囲で標高が8メートル以下の地域を「居住地の多い平地」とみなし、市町村ごとに平地に限った津波高の最大値も試算した。北海道奥尻町の12.4メートルが最大で、青森から福井までの県ごとの最大値は12.2〜4.4メートル、京都から九州北部では4.4〜1.7メートルだった。

 一方、30センチの津波の到達時間も推計。断層が沿岸部から近いため、最短で10分以内の所が半数近くの82市町村に上り、短時間で到達する傾向も明らかになった。

 検討会は昨年1月に設置された。検討結果を受け、道府県は今後、津波対策を全国的に進めるため2011年12月に施行された津波防災地域づくり法に基づき、津波による浸水地域と水深などを想定し、津波災害の警戒区域を指定。市町村は避難体制を充実させる。

 阿部座長は26日、記者会見し、「太平洋側に比べ、地震の規模が小さくても高い津波が予想外に早く来るので、強い揺れを感じたら直ちに避難することが大事だ」と述べた。【奥山智己、金秀蓮、千葉紀和】

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