9回、巨人・ロペス(左)にサヨナラ打を浴びた阪神・呉昇桓
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◇巨人4−3阪神
大暗転。最後の最後に地獄が待っていた。開きかけた天国へと続く扉は、音を立てて固く閉ざされた。悪夢の逆転サヨナラ負け。猛虎軍団が奈落の底に突き落とされた。
守護神の呉昇桓が敵地に沈んだ。1点リードの9回。暴投が絡んで、無死三塁から村田に同点の右犠飛。さらに四球のあと、またしても暴投。そしてロペスに中前へはじき返された。
「いつもと同じ気持ちでマウンドに上がったけど、結果が悪かったので、きょうは特に言うことはありません。明日から気持ちを切り替えてやるしかないです」。失意と疲労感が、呉昇桓の体と表情ににじみ出た。
敗北を見届けてなお、ベンチに立ち尽くした和田監督。ベンチ裏に戻ると、右の拳でスイングルームの壁をたたいた。充血した目。紅潮した顔。全身から悔しさがあふれ出ていた。
「こういう接戦で、首位を争っている試合ではミスをした方が負けるということ」。記録は呉昇桓の2暴投でも、2つ目は鶴岡の股間を抜けていった。抑え捕手のほころび。致命的な痛みとなって、涙雨を降らせた。
2・5差。この3連戦で首位奪取は幻と消え、逆に連敗すれば自力優勝の可能性が消滅する立場に追い込まれた。「この3連戦はどれも大事な試合。きょう落としたことで、より明日が大事になってくる。もう一回行きます」。和田監督は自らを奮い立たせるように力を込めた。 (鈴木健一)
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