巨人−阪神 9回裏2死二塁、サヨナラ打を放ったロペス(中)に飛びついて喜ぶ阿部。右は坂本=東京ドームで(戸田泰雅撮影)
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◇巨人4−3阪神
6回に阿部の2ランで1点差とした巨人は9回、代わった呉昇桓から村田の犠飛で同点。さらに四球や暴投で2死二塁とし、ロペスの中前打でサヨナラ勝ちした。阪神は継投失敗。メッセンジャーの8イニング2失点の粘りを無駄にした。
◇
執念の1勝だ。大事な首位攻防の初戦。巨人が劇的な形でものにした。1点を追う9回無死三塁から村田の右犠飛で追いつくと、一気呵成(かせい)に虎を攻め立てる。守護神・呉昇桓を2死二塁に追い込むと8番・ロペスがとどめを刺す。中前へのサヨナラ打。打球が外野で弾んだ瞬間、ベンチは総立ちとなった。
「何とか落ちてくれと思っていた。(二塁走者の)大田は足が速かったからね」とロペス。右翼席からの歓声を浴びると満面の笑みだ。宿敵からの逆転サヨナラ勝ちに、原監督も「奇跡のようなゲームでした」と興奮を隠そうとしない。「総力戦の中、よく決めてくれました」。土壇場での選手の底力に目を細めた。
今季は6戦して未勝利の天敵・メッセンジャーに5回まで1安打と完璧に抑えられていた。右翼席のG党からは「またか…」という意味がこもったタメ息が漏れていた。しかし、ナインの意識は違っていた。絶対に諦めない。その象徴といえるのが4番・阿部だった。
6回2死二塁で初球の直球を左中間席へ。指揮官が「(雰囲気が)逆風から、なぎの風に変わった」と絶賛する15号2ランでベンチを鼓舞した。「1点差なら何とかなる」と考えた9回にも先頭で右翼線へ二塁打。サヨナラ劇の口火を切った。しかし、阿部は自らの功を誇らない。「みんなで勝った」。主将らしい言葉が自然と口を突いた。
この1勝で阪神とは2・5ゲーム差。逆転サヨナラ勝ちで首位攻防戦の流れは巨人に傾いた。この1勝に大きな手応えを感じる原監督はこう言い切った。「差は意識しないが、縮まるよりは多少広がった方がいいね」。勢いの差は歴然。27日も一気の攻めで宿敵を押し倒す。 (川越亮太)
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