厚生労働省が同じく26日に発表した2012年度の都道府県別の医療費に関する分析をみると、「西高東低」の傾向が読みとれる。1人あたり医療費が最も高い高知県と、最も低い千葉県との格差は約1.6倍。西日本では病院のベッド数が多く、医療費の地域格差につながっている。
1人あたり医療費が多い地域は高知県(62万5千円)を筆頭に西日本の各県が上位を占めた。最少だった千葉県は40万1千円で高知県の約3分の2にとどまる。下位には関東や東北など東日本の都県が多い。
地域格差のカギは、医療費全体の4~5割を占める入院費用だ。人口10万人あたりの病院ベッド数(12年)をみると、多いのは高知県、鹿児島県など西日本、少ないのは東京都や千葉県を含む東日本だ。
西日本はもともと大学の医学部が早くから設けられており、医師や医療機関数も多い。ベッド数に余裕があるため、軽い症状でも入院治療を勧めやすくなる。この結果、1人当たり医療費が高止まりしている。
公立病院主体なら国の主導で統廃合もできるが、日本は民間主体の病院が7割超を占める。企業の病院経営への参入も規制しており病院再編は進みにくい。
厚労省は公定価格である診療報酬を調節することで入院の平均日数を短くするよう病院を誘導しようとしている。15年度には都道府県ごとに医療費の支出目標を導入する方針だ。西日本を中心に医療費が過大な自治体にベッド数を減らすよう促し「供給過剰」の是正につなげる狙いだ。
きめ細かく医療費を管理するには、病院数やベッド数を調整する枠組みが必要になってくる。支出目標の導入と並行して、需給バランスを地域ごとに精査する制度作りが課題になりそうだ。
厚生労働省、ベッド数、医療費