集団的自衛権:安倍政権と石破幹事長の対立鮮明に

毎日新聞 2014年08月27日 00時02分

 自民党の石破茂幹事長は、安全保障法制担当相への就任を固辞する理由として、安倍政権との安全保障政策に関する考え方の違いを挙げている。政府は7月の閣議決定で集団的自衛権の限定的な行使を容認。しかし、石破氏は国際法上合法な活動であるなら全面的行使が可能との考えで、安全保障政策を巡る路線対立が鮮明になった。

 「首相は『世界各国と同様の集団的自衛権を認めるには憲法改正が必要』と答弁しているが、石破氏は今の憲法でもできると考えている」

 石破氏の政策をよく知る自民党議員は、首相と石破氏の違いをこう解説した。政府は「国民の権利が根底から覆される」場合に限り、集団的自衛権を行使できると説明。国連による集団安全保障措置への参加も「自衛の措置」に該当する場合に限り認められるとしている。

 これに対し、石破氏は、現行憲法でもより広い範囲で武力行使が可能と主張。憲法9条が禁じているのは「日本が当事者の国際紛争を解決するための武力行使」のみで、個別的・集団的自衛権の行使や国際貢献のための行使に制約はないとの立場に立っている。

 法整備の進め方についても双方には隔たりがある。石破氏は安全保障に関する基本方針などを明示した安全保障基本法を優先して制定するよう求めていたが、安倍首相は関心を示さず、閣議決定に踏み切った。

 自民党の脇雅史参院幹事長は26日の記者会見で、石破氏の対応について「自民党あるいは内閣という組織として掲げる方向が(個人の意見と)必ずしも一致するわけではない。人事は最終的に、人事権者が判断することだ」と苦言を呈した。【青木純】

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