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「マイナスイオン」監視室rss

2014/08/22 18:44 更新

  • No.5652

    「『ニセ医学」に騙されないために』に騙されないために

    2014/07/03 00:51

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    ニセ科学批判者のひとり、NATROM氏が表題の書籍を刊行したので、さっそく買って読みました。
    http://www.metamor.co.jp/maegaki/niseigaku.htm

    タイトルは勇ましいのですが、全般的に当り障りのない内容です。それもそのはず、4ページの「はじめに」で「科学とニセ科学の境界が不明瞭なのと同様に、医学とニセ医学との境界も不明瞭だ~この本では、そのようなグレーゾーンは扱わず、わかりやすいニセ医学の例を取り上げた」とあります。あらら、楽な仕事に逃げちゃったんですね。

    判断が難しいグレーゾーンをしっかり値踏みしてこそ、専門家の真価が発揮されるわけですが、そこを回避すると、もうどうでもいい内容になってしまいます。例えば、よくある「マイナスイオンは体にいい」という表現をどう斬るか楽しみにしていたのに、本書では一切扱っていません。がっかりします。

    NATROM氏は10年前、まさにこの点を疑問視していました。

    「マイナスイオン」は体によいか
    http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20041012

    しかし、その後、氏が何かをきちんと調べたことはありません。マイナスイオンについて「『高校の先生のために書いたマイナスイオン』が参考になる」としていますが、嗚呼、これはマイナスイオンのことが何も分かっていない安井氏の記事。
    http://www.yasuienv.net/MinusIonRika.htm

    これじゃダメです。

    グレーゾーンとは言い難い札付きのEMも出てきません。かつては自身がトンデモ科学として扱ったのに。
    http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20081031
    EMを無問題と見なしたのではなく、単に擁護者たちから突っ込まれたくないからだと思われます。健康上の実害が案じられるEMを目こぼししてしまう同書の価値は低いです。

    お手軽な内容で終始している同書ですが、子宮頸がん(HPV)ワクチンの説明には疑問があります。中学生くらいの女の子に投与するHPVワクチンは去年、多くの重篤な副作用の報告により、投与が推奨されなくなっています。それなのに、本書では何十年後のがん抑制効果の有無にだけ焦点を当てており、まったくのピンボケです。

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