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<中国覚醒剤公判>稲沢市議気づかなかった…裁判所判断は?

毎日新聞 8月26日(火)20時34分配信

 【広州(中国広東省)隅俊之】中国広東省広州市の白雲空港で手荷物から覚醒剤が見つかり、中国検察当局に麻薬運搬罪で起訴された愛知県稲沢市議、桜木琢磨被告(70)の初公判が26日午前、広州市中級人民法院(地裁)で開かれた。起訴内容の認否で桜木市議は、はっきりとした口調で「罪は認めません」と述べ、無罪を主張した。

 桜木被告の公判では「(スーツケースに)覚醒剤が入っているとは知らなかった」との主張が認められるかが焦点だ。中国の刑法に詳しい一橋大大学院の王雲海教授は「裁判所はスーツケースを渡した人物の証言や被告の行動などから判断するが、中身がサンダルなのに別に3キロもの覚醒剤が入っているのを『気づかなかった』とする弁解を合理的と認めるのは難しい」と指摘する。

 中国当局は国際的な批判を念頭に死刑を減らす方針に転じている。王教授によると、麻薬犯罪を罰する中国の刑法347条は、運搬以外に密輸、製造、販売の行為を規定しているが「運び屋」である運搬罪は他の三つより量刑を軽くする傾向にあるという。

 広州の空港で2011年3月にナイジェリア人の交際相手から依頼されて運んだ荷物からヘロインなど約1.3キロが見つかった中国人女性が執行猶予2年の死刑判決を受けるなど、同様の事案では死刑執行を免れるケースが目立つ。執行猶予がついた場合、期間中に問題がなければ無期懲役以下に減刑される。

 一方、中国では近年、えん罪を指摘する報道が相次いでおり、検察は今回、異例とも言える2度の補充捜査を行った。えん罪の可能性を考慮して慎重に捜査したとみられるが、起訴は検察が立証に自信を持っているとも言える。王教授は「以前と違って無罪の可能性はゼロではないが、現実的には無罪はなかなか難しい」との見方を示す。

最終更新:8月26日(火)21時22分

毎日新聞

 

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