スタートアップでは、サービス改善をしていくための人材獲得や、サービス認知を高めるための広告宣伝を行っていきたいと考えます。その費用を捻出するために、VC(ベンチャーキャピタル)から資金を調達することは一般的な資金調達手段とされています。近年ではVCファンドも増加しており、色々なVCの方と接触される機会も多いかと思います。実際に投資の実現へ向けて交渉を重ねられた時に、必ず確認しておきたいのが、投資契約書に記載されうる条項のパターンです。どんなリスクがあるのかをあらかじめ知っておきましょう。
表明保証条項とは「ある行為」をするとかしないとかだけではなく、契約の前提となった「ある事実」があるかないかを他方が一方に表明し、保証するという条項のことです。この条項のポイントは、守れない厳しい約束は極力しないということです。条項でよく見られるのは、訴訟等がないことの保証や、今後の経理を一定の基準にしたがって行い、毎月投資家に向けて報告するなどです。
これはあらかじめ定めておいたことを行う際に、必ず事前に投資家に通知し、承諾を得なければいけないという条項です。内容によっては、経営判断のスピードが遅くなったり、承諾のための説明・交渉に時間をかけなければなりません。また、投資家の合意が取れないと、やりたいことが全く出来ないことにもなりかねません。
契約書で合意したことが発生した際に、投資家が保有する株式の買取を請求されるというものです。3年以内に資金調達を1億以上のバリュエーションで行わなければ、株式を一定の金額で買い取らされるといった内容です。厳しい内容でこの契約を結んでしまうと、キャッシュが大量に流出することになり、最悪の場合は事業の継続が困難になる可能性もあります。
一定人数の取締役を選定する権利を投資家に与える条項です。ハンズオン支援を積極的に行うベンチャーキャピタルでは、優秀なキャピタリストなどを取締役に派遣して、会社の経営能力を高めてくれます。しかし、ともすれば経営支配権を奪われ、自由な経営が出来なくなるリスクもあります。取締役ではなく、オブザーバー(議決権はない人)として参加してもらうなどの工夫をすれば、メリットを生かしながらデメリットを薄めることは出来るでしょう。
希薄化とは株式の価値が薄まってしまうことで、ベンチャーキャピタルもビジネスで投資をしているので、当然本条項は盛り込まれてくるでしょう。希薄化をするというのは、安いバリュエーションで出資を受けたり、ストックオプションを大量に発行して、調達額がない株式増加によってもたらされます。すなわち、希薄化を防止するために、低バリュエーションでの増資を禁じたり、ストックオプションの発行に制限を加えたりすることがこの条項の内容です。あまりにも制限が強力だと、次回以降の資金調達の選択肢が狭まるので、きちんとフェアな内容へと交渉しましょう。
将来の資金調達の際に、別の投資者と締結する投資契約書上で、従来の投資契約書にない条項はこの投資契約書にも適用するというものです。投資契約書にはほとんどこの文言が入っていますので、結果的には全投資者と同一の投資契約書を締結していることになります。
Drag Along条項と言われるもので、投資を受けた後、目標値を設定し、一定期間内に達成しなかった場合、投資者は株式を売却でき、他の株主も全員株式売却に応じなければならない、という条項です。投資額の回収機会が増えるため投資家にメリットがありますが、スタートアップにとっては厳しい条項と言えます。
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