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【秘密保護法 言わねばならないこと】

(28)戦前の「お上」と似る 俳優・作家 高見 のっぽ氏

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 戦争中、岐阜県の笠松に疎開していた。四キロも離れていない岐阜市が空襲で一夜にして丸焼けになった。防空壕(ごう)の中で焼夷(しょうい)弾の音を聞いた。あの恐怖は忘れられない。

 今の安倍政権は「由(よ)らしむべし、知らしむべからず」、余計なことは知らなくてよろしいという戦前の「お上」に似ている感じがする。特定秘密保護法も集団的自衛権も根っこにはそういう問題がある。何も知らないちっちゃい子どもたちのために、しゃべらない「ノッポさん」もあえて言わせてもらいたい。

 昨年、秘密保護法が成立した。国家の秘密は今までだって全然出てこない。法律にすると「お上」はもっと自由にできる。これを秘密にしますと言ったら、本来なら知っていいものも秘密になってしまう。(米中央情報局の職員だった)エドワード・スノーデン氏が暴露したように、アメリカだってあれだけの悪いことをやっている。わざわざ法律をつくらなくても、今までのやり方でいい。

 集団的自衛権の行使を認めたのもおかしい。自衛隊は、けんかを売られた時に我慢はするが、最後に(個別的自衛権で)鉄砲を撃つのは許されている。これまで通りで十分じゃないか。今の米軍のイラク爆撃は、アメリカ資本の石油のためにやっていること。集団的自衛権を認めたら、自衛隊が行って人を殺さなきゃいけない。冗談じゃない。

 憲法は人間がつくったものだが、人間以上のものということにしておかなければ意味がない。変えるなら変えてもいいが、簡単に一部の人間だけで変えます、では危なくてしょうがない。ちゃんとみんなで話し合いをもっとしてほしい。

<たかみ・のっぽ> 1934年生まれ。俳優、作家、歌手。67〜90年にNHKの子ども向け番組で、しゃべらないキャラクター「ノッポさん」として親しまれる。

 

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