吉田元所長 官邸などの指示に疑問8月25日 22時03分
東京電力福島第一原子力発電所の事故で現場責任者として指揮をとり、去年亡くなった吉田昌郎元所長は、政府の事故調査・検証委員会に対し、官邸などから指示や質問が相次いだことを「ずっとおかしいと思っていました」と述べ、重大事故が起きた際の指揮の在り方に疑問を呈しています。
政府の事故調査・検証委員会などによりますと、事故発生から3日後の3月14日の午後、吉田元所長は2号機の格納容器の圧力を下げる「ベント」という操作を検討していましたが、当時の原子力安全委員会の班目春樹委員長や清水正孝社長からは、注水を優先するよう指示を受けました。
これについて吉田元所長は、政府の事故調査・検証委員会に「四の五の言わずに減圧、注水しろということがあって、現場も分からないのによく言うなと思いながらいました」と述べています。
そのうえで「私だって、早く水を入れたくてしようがない。そう思っているんですよ。現場はできるかぎりのことをやって、なかなかそれが通じないんですね。ちゅうちょしていると思われているんです」と困惑した心境を証言しています。
吉田元所長は、このほかにも官邸から指示や質問があったとしたうえで「何で官邸なんだというのがまず最初です。本店の本部は何をしているんだ。ずっとおかしいと思っていました」と疑問を呈しています。
政府は、来月にも吉田元所長の証言の記録を公表することにしていますが、原発の再稼働に向けた動きが進むなか、重大事故が起きた際の指揮の在り方が改めて問われています。
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