吉田元所長証言 物資調達の課題指摘8月25日 4時26分
東京電力福島第一原子力発電所の事故で、吉田昌郎元所長が政府の事故調査・検証委員会に、現場が必要としていた種類のバッテリーが届かないなど物資の調達や輸送を巡る課題を指摘していたことが分かりました。専門家は「証言に基づいて体制を見直す必要がある」と話しています。
政府の事故調査委員会などの調べによりますと、福島第一原発の事故では地震と津波によってすべての電源が失われ大量のバッテリーを必要としていましたが、当初、東京電力の本店から届けられたバッテリーは電圧が低いうえ持ち運びしにくい大型のものばかりで、結局、ほとんど使われませんでした。
これについて、去年7月に亡くなった吉田昌郎元所長は生前、政府の事故調査・検証委員会の聴き取りに対し、「手当たりしだい、集めたものを送ってくるということになったんですね。困るのは、こっちがいちいち仕様を確認しに行かないといけない」と述べ、現場が必要とする物資を本店が把握していなかったと指摘しています。
さらに、事故の翌日以降、敷地の周辺で放射線量が上昇すると、発電機などの物資の多くは原発からおよそ50キロ離れた別の施設までしか届けられなくなりました。
これについて吉田元所長は、「物を取りに行くのに、うちの人間を出さなければいけない。忙しいときにやめてくれよ」と述べ、高い放射線量の下で物資を届ける体制が不十分だったと証言しています。
吉田元所長の証言の記録について、政府は来月にも公表する方針で、福島第一原発の所長を務めた経験がある東京工業大学の二見常夫特任教授は、「吉田さんの証言に基づき、組織の在り方や緊急時の対策、管理などのソフト面についても真摯(しんし)に反省して改善していく必要がある」と指摘しています。
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