伝承・19歳の殉職警官、今も残る血染めの制服(6日)
45年前に19歳で殉職した鹿児島県警の外山輝宣警部補(当時巡査、殉職後に2階級特進)の事件が、県警察学校(姶良市、柏木重信校長)で代々語り継がれている。
「体を張って市民に尽くす警察官の原点」。半世紀近くの時が流れた今も、若き警察官たちは外山警部補の姿から学び続けている。
外山警部補は1965年4月、県警入り。県警察学校で研修を受けた後、66年3月に川内市(現薩摩川内市)の川内署太平橋派出所に配属された。
配属4か月目に職務質問で窃盗容疑者を逮捕するなど、署長賞を6回受け、将来を嘱望されていた
67年1月5日深夜、隣の阿久根市で発生した連続強盗事件に出動。車で検問を突破した犯人の男を見つけ、車を置いて逃げ出した男を水田に追いつめた。もみ合いになった末、男が隠し持っていた包丁で胸など6か所を刺され、駆けつけた同僚警察官に「署長どん、すみません。犯人を逃がして」と言い残して、病院で息を引き取ったという。男は約1か月後に逮捕された。
殉職後、外山警部補を顕彰しようと、川内市長が中心となって現場に顕彰碑を建立し、地元高校の教諭によって哀悼歌も作られた。
命を懸けて職務を全うしようとした外山警部補。県警では、警察官としての心得や、あるべき姿を学ぶ「職務倫理」の一環として、警察学校の生徒に代々伝えてきた。
同校の資料室には、胸元が包丁で切り裂かれ、血に染まった制服が今も残る。入校前に行われるオリエンテーションでは真っ先に資料室に案内され、事件を追ったノンフィクション「墨の儀式」(中村光至著、講談社)を全員が購入、授業でも使用されている。
今年4月に入校した初任科短期課程の巡査(22)は「外山警部補は地域の人に愛され、周りの警察官にも信頼されていた。自分もそんな警察官になりたい」と話す。
柏木校長は「外山警部補が示した警察官としての誇りや使命感は、今でも我々の大切なお手本。今後も引き継いでいきたい」としている。(峰啓)(
2012年7月6日13時11分
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