東京電力は25日、福島第1原子力発電所の汚染水対策として、建屋付近の汚染された地下水をくみ上げて浄化後、海に流す計画を福島県漁業協同組合連合会に説明した。浄化設備を試運転した結果、浄化後の地下水の放射性物質濃度は「自主基準値を下回ることが確認された」として、漁協側に理解を求めた。
同日、福島市内で開かれた県漁連の組合長会で浄化試験の結果などを示した。各漁協の代表者からは「浄化しても我々から見れば汚染水だ」など海洋放出への反対意見が相次いだが、東電が今後一般組合員向けの説明会を開くことを了承した。
東電は14~16日、地下水500トンをくみ上げ、浄化設備に通した。浄化前の1リットル当たりの汚染濃度はセシウム134が57ベクレル、セシウム137が190ベクレル、ベータ線を出す核種が290ベクレル、トリチウムが660ベクレル。東電の分析によると、浄化後はトリチウムを除き検出限界を下回る濃度に低下した。トリチウムはほぼ横ばいだったが、基準値は下回った。
東電は近く、設備を連続運転し、安定稼働を確認する試験に入る予定。東電の新妻常正・福島復興本社副代表は取材に対し「組合員への説明会では、今回くみ上げる地下水は(溶融燃料に触れた)建屋内の高濃度汚染水とは違うことを説明していきたい」と話した。
計画では第1原発1~4号機の建屋近くにある42本の「サブドレン」と呼ぶ井戸と、海側の5本の井戸で地下水をくみ上げ、浄化後タンクにためた後、配管で海に流す。
第1原発では5月から、建屋から離れた山側の井戸でくみ上げた汚染前の地下水を海に流す作業が始まっている。
東京電力、福島第1原子力発電所