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 作家の村上春樹さん(65)が23、24日(現地時間)、英国北部エディンバラで開かれている国際ブックフェスティバルに招かれ、読者向けのトークイベントに登場した。村上さんが公の場で語るのは珍しく、世界各国からファンのべ575人が駆けつけた。

 村上さんの最新長編「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」の英訳版が今月発売されたことを記念して、英紙の公開インタビューに応じた。

 同書は、主人公の多崎つくるが、高校時代に親密だった4人の友人からあるとき突然絶交され、その疎外感と向き合って人生を回復していく物語。村上さんは「僕自身、似たような経験をしたことがあり、その喪失感や心の傷はまだ残っている。そういう感情を描きたかった」と明かした。主人公の職業が駅の設計者であることに話が及ぶと、「作家としての僕もアーティストやクリエーターというよりも、エンジニアや修理工だと思う」と語った。

 また、創作活動については「心の中の地下室に入っていくよう」。「暗くて恐ろしい地下室から帰ってくる強さを養うために、毎日早く起きて走り、執筆して、夜10時前には寝る。規則が大事です」と語った。