訃報:在韓被爆者救済運動の先駆け孫振斗さん死去87歳

毎日新聞 2014年08月25日 12時29分(最終更新 08月25日 12時36分)

 在韓被爆者救済運動の先駆けとなった韓国人被爆者、孫振斗(ソン・ジンドゥ)さん=福岡市博多区石城町=が25日、福岡県志免町の病院で胃がんのため亡くなった。87歳。

 1927年、大阪市生まれ。広島市で18歳のときに被爆した。51年に韓国へ強制送還され、70年に原爆症の適切な治療を求め日本に不法入国した。原爆医療法(現・被爆者援護法)に基づく手帳交付を福岡県に申請したが「正規の居住者ではない」として却下された。

 このため、72年に却下処分取り消しを求める訴訟を福岡地裁に起こした。判決は被爆者であれば不法入国者でも適用対象にあたると認め、2審に続き78年の最高裁も判決を支持し、勝訴が確定した。最高裁が同法には国家補償的な意味があると初の判断を示したのを契機に、在韓被爆者による渡日治療や韓国の被爆者診療所への日本政府の支援などが進んだ。【山本太一】

最新写真特集